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▼ ハングリー国家 日本の悲劇【10】

ハングリー国家 日本の悲劇【10】


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文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

ハングリー国家 日本の悲劇【10】

強姦未遂事件を起こした少年には母親との不倫の関係があった。

●少年の告白

「巨君、今までの君は、僕に対して本当のことを話してくれてはいない。いいかい、僕は本当の話以外は聞きたくない。これは自惚れかも知れないが、僕は君にとって本当のことを話してくれるに足る人間だと思っている。君が想像する以上に、経験の積み重ねは重要なことだ。僕は君からどんな話を聞かされても決して驚かないだけの経験がある。さあ、今夜は全てを話してくれたまえ」

調査官は普通の状態であれば、オーバーに過ぎて気恥ずかしくなるような言葉を投げかけた。
彼は真剣だった。
真剣さの故に、彼の言葉はそのままの重みを持って、巨の心の中に入り込んでいったようだった。
しばらくの沈黙があった。
やがて巨が口を開いた。
聞いていた調査官は次第に気分が重くなっていった。
それは、今までに彼の経験した中でも、最も後味の悪い陰うつな色合いの告白であった。

僕は今、母親と二人の生活です。
それは調査官も御存知のとおりのことです。
父は僕が中学一年の時に母と別れ、家を出て行きました。
父は名を出せば知る人ぞ知る、中堅どころの洋画家です。
母と別れた原因は父の女性関係です。
父は相当女性関係がはでだったようで、いつも母との口論が絶えませんでした。
母は僕から言うのも変な話ですが、平均以上の容姿の持ち主で、それだけプライドが高かったと思います。
父はその母のプライドの高さ、我の強さ、男まさりにも見えるその性格の重圧に耐え切れなかったがために、他にも女性をつくっていたのだと思います。
子供の目から見ても、父と母との関係が最悪の状態になり、そんな日が数日、数週間続いた或る日、父は外出したままそれきり戻っては来ませんでした。
それまでも時々外泊はしていましたが、到頭、母と僕とを捨てて出て行ってしまったのです。


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