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▼ ハングリー国家 日本の悲劇【12】

ハングリー国家 日本の悲劇【12】


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文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

ハングリー国家 日本の悲劇【12】

強姦未遂事件を起こした少年には母親との不倫の関係があった。

●少年の告白

僕は学校の先生からも聞いて知っていると思いますが、割と試験の成績は良かったのです。
今の高校は国立大学への合格者が多いことで有名な私立高校です。
合格した時、母はとても喜んでくれました。
合格のお祝いにと言って、母は僕をハワイ旅行に連れて行ってくれました。
その頃が僕の今までの中で一番楽しかったように思います。
ハワイには一週間ほど滞在していました。
母も僕と二人きりの旅などしたこともなかったのでとても楽しそうでした。
僕とどころか、母は父との結婚生活中もほとんど国内旅行もしていなかったと思います。
ハワイについた最初の晩、ベッドで寝ていましたら、何か体に触わる感じがしましたので、目を開けますと、母が僕の隣に体を横たえて僕の体を抱いていたのです。
それは丁度、母親が子供を抱きかかえるような感じでした。
僕が目を覚ますと、母はすぐ気がついたらしく、

「あら、起きちゃったの、ごめんなさい。母さん、巨の小さい頃を思い出していたの。さあ、目をつむって休みなさい」

そう言って僕の頭を胸のところに抱きかかえて、背中を撫でてくれたのです。
僕は母の柔らかな胸のふくらみに顔を伏せて、遠い遠い昔に嗅いだ懐しい臭いを思い出しながら母の乳房から伝わってくる温さを感じていたのです。
そんなことがあったのは最初の一晩だけでした。
母も最初の夜の行動に多少後ろめたさを感じたのでしょうか、二日目からは全くそのようなことをする気配すら見せませんでした。


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