サタデー・ナイト・レイパー 第3回【1】
サタデー・ナイト・レイパー 第3回
性の快楽だけを求める男子高校生とその兄の犯した罪。
●刻々と近づく魔の時間
三人は、軽口や冗談を言いかわしながら、英気の家へと歩いて行った。
英気は、現在、両親のいる家のすぐ近くにあるアパート(それは、親の建てたアパートだが)の一室で生活をしていると麻子と珠子に言った。
両親が老後のためにと、近くに持っていた約三〇坪ほどの土地の上に、アパートを建てた。
その一室を高校生の息子のために提供して、そこに住まわせているらしい。
食事や風呂の時は親の前で済ませて、それ以外はアパートにいる。
英気の住んでいるアパートは、外装だけはなかなか洒落た造りである。
部屋の中には一応バス・トイレの設備もあるが、しかし、トイレはとも角としても、バスは雑すぎてとても使えるシロモノではない。
せいぜい洗濯するのが精一杯といったところである。
家賃を高くするためにのみ備えつけたとしか考えられないバスである。
六畳間ほどの広さの部屋が襖を間に二つ並んだ配置となっていた。
奥の方の部屋にはまだ電気炬燵が置かれていた。
「さあ、どうぞどうぞ。逮慮は要らないよ。どうせ僕一人だからね」
英気にすすめられて麻子と珠子は、それでも、
「お邪魔します」
と言いながら元気よくスニーカーを脱いで部屋に上がって来た。
「へえー、ここが英気君の部屋か。案外片づいているのね。誰か女の人でも来て掃除してくれるのかな。そんなはずは無いよね」
軽口をたたくのは相変わらず珠子である。
英気は、二人をカーペットの上に坐らせて、冷蔵庫からコーラを持ってきてコップに注いでやったり、ピーナッツを出してやったりと、サーヴィスに勤めている。
おまけに吸い殻入れを持ってきて、マイルドセブンをプカプカやり始めた。
英気達のクラスの者、というよりは、彼らが通っている高校の大部分の男子生徒は、その本数はともあれ喫煙の習慣を持っている。
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