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▼ サタデー・ナイト・レイパー 第4回【2】

サタデー・ナイト・レイパー 第4回【2】


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文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

サタデー・ナイト・レイパー 第4回【2】

性の快楽だけを求める男子高校生とその兄の犯した罪。

●籠絡方法

品の悪いことおびただしいものがあるが、これは客観的に見ているからそう思えるのである。
リビドーの爆発に自分でもどうして良いのやらわからず、ひたすら性交を希求する若者の会話はこんなところが普通なのである。
英気も兄の毒気に次第にあてられてきた(よし、明日は誰か連れてきて、やってしまおう)。兄の言葉に返事こそしないが、頭の中で獲物を物色しているのである。
二~三分考えて、相手は決まった。
何となく気配で、自分に好意を抱いているのがわかる、クラスメートの美空麻子と、尻軽な女生徒で、麻子の友達の淡谷珠子である。
英気は、またこの二人のどちらともセックスの関係は無かった。
二人との関係はないものの、英気のセックスの経験はかなりのものだった。
最初の経験は、友人の母親と。
彼女とは二度関係を持った。
中学二年の時である。
この時はお互いの技量の差からして、英気の方が、弄ばれたといった方が真実に近い。
次は、夏休み、キャンプに行った山中湖畔で知り合った年上の高校生の女の子と、昼間蝉しぐれを聞きながら、草を押し倒して。
そして、新宿の街を流しながら引っかけた都立高校の女の子と。
土曜日はよく友達の吾郎と連れだってディスコに行き、女の子を誘い、旅館に泊ったこともある。
英気と、吾郎と、相手の女の子二人と合計四人で一部屋に入り、相手を取り替えてのセックスも経験した。
英気には、愛する者との充実したセックスとかは興味がなかった。
数こそが全てだった。
スポーツのようなものだった。
数多くの女の子を相手に続く限り打ちまくる、そんなことが可能な自分が英気は楽しかった。
この点にこそ英気の青春は存在した。
まず、ジャブを打って、相手の反心を確かめるための第一回めの射精、続いて、余裕を持って相手の反応を楽しみ、肌触わりを味わいながらの二度めのエジャキュレーション。
そして、自分の体力を相手に誇示し、自分の誇りを満足させるための、体の芯が痺れるような第三回めのエジャキュレーション。
自分を燃焼し尽くしたかのような四回めの……。
英気は、女の子をたらし込む白分の腕に自信を持っていた。
それに、すぐ誘いにのってくる女の子を見分ける眼にも。
麻子や珠子を選んだのも、すぐ誘いにのる女の子と見たからだ。
電話ででも誘ってやろう。
断わられることはあるまい。

「いいよ、兄貴。明日の晩、女の子を二人呼んでやるよ。いいのがいるよ。しかし俺一人なら、彼女達、すぐやらせてくれると思うけど、兄貴が相手じゃどうかなあ。心配だな。俺の方が腕いいんだからな」

「馬鹿を言え。ガキのくせにナマ言うんじゃないよ。しかしそうだな、初めてだと暴れるかな、声を出されたりするとヤバイぞ」

拳二は、アルコールのおかげで、次々と、女の子を籠絡する方法が浮かんでくるらしい。

「おい、英気、お前、コーラに目薬を入れて飲ませると一発で女の腰が立たなくなること知ってるか」

「いや知らない。そんなことしなくても俺は大丈夫だもの」

「うるさい。あれはものすごく効くんだよ。おい、明日は、俺と会わせてみて、女の子がその気にならないようだったら、わからないように、飲み物に目薬を入れろ。すぐ効いて動けなくなる。ビールやコーラに入れれば味が変わらないから、入れたのは気づかれないからな。いいか」

「ああ、そんなことしなくても大丈夫だと思うけどな。駄目だったら、そうするよ」

この親にしてこの子ありとよく言われるが、この兄にしてこの弟ありである。
この段階では、兄の拳二も、弟の英気も、自分らの計画しでいる行為が犯罪を構成するなどということは考えもしない。
勿論、強姦という罪があることは知っている。
知っているが、現実の自分らの行為とは結びつかない。
彼らの周囲では、女の子を無理矢理に犯した、やってしまったなどという話は、それこそ日常茶飯事のことであり、その結果、男がつかまったり、裁判になったりしたという話は聞いたことがない。
警察につかまったりするのは、よほど運が悪い人であり、交通事故に遭うようなものである、その位の認識しかないのである。
やがて、自分達か逮捕され、起訴ざれようとは、大海に浮かぶ一毛ほども考えなかった。


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