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▼ 色魔の勲章 第4回【3】

色魔の勲章 第4回【3】


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文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

色魔の勲章 第4回【3】

養子として虐げられた幼年期を過ごした男に宿った性への渇望。

●事件の顛末

蔵子は、抵抗する気力を失ったのか、ぐったりとして、体を安高に弄ばれるままになっている。
安高はまず、彼が最も興味を持つ蔵子の部分、両下肢の接合部を攻めた。
彼はゆっくりと女体を嬲り、苦悶のうちに法悦境にまで導くといったテクニックはいまだ身につけていなかった。
若さの命ずるまま、自らの欲望の命ずるままに行動をとってしまう年代であった。
上品な形につくられているラビア、ゆったりとした盛り上がりを見せるマウント、その麓にひっそりと息づく可愛らしい真珠、その周辺を覆う、淡い翳りの恥毛の群山。
それらが今、すべて安高の意のままになるのだった。

「いいかい、声を出したりすると、ここは安普請だから全部筒抜けになるよ」

安高は駄目押しをし、彼女を心理的に拘束して、淫らな指使いで彼女の秘所を抉り回した。
それは丁度、安高の幼少時代近所の女の子と雑木林の中で互いに恥部をまさぐりあった頃を彷佛とさせるものがあった。
人差し指を挿入し、引き抜き、又挿入し、内部の肉襞の構造を感じ取り、顔を近づけてその香気を嗅ぎ取り、愛らしい背後の入口に指を差し入れ、弄び、安高はそうすることによって彼女のすべてを吸収しようとしているかのようであった。
一旦安高に体を蹂躙されると、蔵子は彼の求めるがままにその肉体を提供するようになった。
彼女にとっては安高が最初の男であった。

こうした関係が約半年間も続いたが、安高が彼女の母親にまで、その欲望の目を向けるようになり、母親はたまりかねて娘を諭し、娘もようやく安高と別れることを決心した時に、あの事件が起こったのである。
別れ話を持ち出した蔵子に激怒した安高は、それまでの性交時に何度かポラロイド・カメラを使って撮影した、彼女の性器を含めたヌード写真を持ち出し、別れるならこれをバラまいてやると脅しているところを、母親の通報で駆けつけたS警察署の刑事に現行犯逮捕されたのである。
安高の生い立ちを聞いた若い弁護人は、弁護方針を決めかねていた。
彼の生い立ち、不幸な幼少時に、彼の行動の秘密がすべて隠されているように思われる。
しかしこの事を主張したとして、はたしてどの位裁判官が斟酌してくれるであろうか。
彼は一人、あれこれと思い悩みながら、昔、近所の女の子と一緒にした淫靡な遊びのことを、ぼんやりと記憶の底から引っぱり出してくるのであった。


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