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▼ ベージュ色の襞の欲望 第4回【1】

ベージュ色の襞の欲望 第4回【1】


文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

ベージュ色の襞の欲望 第4回【1】

成男は些細な事で激情し、冷酷非情の行動をとった。

●懲役15年

成男が犯罪者としてデビューしたのは、彼が16歳の時である。この時より、彼の血に染まった経歴が開始される。

中学を卒業した成男は、父親と共に旅館の仕事に従事するようになった。人と交わるのが不得手な彼にとって、旅館の手伝いはまったく好都合な仕事であった。勿論、客に愛想良くすることは大切なことではあるが、黙って部屋の掃除、布団の上げ下げをしたからといって文句を言う客もいない。成男のような性格でも十分勤まる仕事であった。

7歳の少女・浦上恵子が成男と出会ってしまったことは、彼女にとって不運としか言いようがない。悪魔が仕組んだ邪悪ないたずらである。いや、悲劇である。

恵子は釣り好きの父親のお伴をして、成男の働く旅館に1時間程前着いたばかりであった。父親は、エサを入れるためのバケツを買ってくるといって恵子1人を部屋に残し、街へ出かけて行った。父親は恵子に、一緒に行くように声をかけたのであったが、彼女は歩き疲れたからここで待っていると部屋に残ったのである。

成男は玄関で恵子を見た時、背筋に電流が走ったように思った。恵子は7歳という年齢ではあったが、女の子のなまめかしさを既に持っていた。勿論、本人はまだ幼い子供であり、そんなことは意識もしていなかったが。

部屋にお茶の道具を持っていった時、成男は恵子を見て我を忘れた。彼女を強姦しようとしたのだった。

お盆をテーブルの上に置き、それからじっと自分を見る彼の目の光に、何か得体の知れない禍々しさを感じた恵子は思わず後に下がった。それが、彼の犯意の引き金になった。


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