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▼ ベージュ色の襞の欲望 第6回【1】

ベージュ色の襞の欲望 第6回【1】


文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

ベージュ色の襞の欲望 第6回【1】

成男は些細な事で激情し、冷酷非情の行動をとった。

●逮捕

まさに地獄図のような有様であった。

被害者である女性の腹部は真横に切り裂かれ、小陽が飛び出していた。それは、ソーセージを何本かつなぎ合わせたかのような形で腹部の筋肉の間から外に、2〜3メートルの長さで飛び出していた。

又、女の右の乳房もその麓の部分から決りとられていた。女の体から噴き出した血は部屋中に飛び散り、異様な臭気が室内に充満していた。

捜査本部が直ちに設置され、早速犯人追及の布陣が敷かれた。

被害者は、浅草のキャバレーホステスであった。どうやら男とは閉店後のつき合いで、旅館に入ったのであろう。幸いなことにこの事件では、目撃者があった。2人を部屋に案内した従業員である。商売上、客の顔を直視するようなことはしないが、それでも客に気付かれないように、顔や、服装などを点検するのはこの種の商売のイロハである。

従業員が本部に呼ばれ、モンタージュ写真の作成が行なわれた。

出来あがった写真が早速前科者達の記録と照合された。似ているものとして、10人ほどがピックアップされた。従業員の記憶に基づくモンタージュは、その点、犯人を特定出来るほどの正確さはなかった。が、これである程度の指針をたてることが出来る。この10人ほどの中に箱崎成男が含まれていた。

捜査本部では、3カ月ほど前におこった、隣接署管内の飲み屋のおかみ殺人事件との関連性が指摘された。ひょっとすると、その事件も同一犯人によって引き起こされたのではないかというのである。モンタージュによって、名前のあげられた10人ほどについて、早速捜査が始められた。


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