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WEB SNIPER Cinema Special Review!!
韓国全土を震撼させたサイコ・スリラーついに日本上陸!!
元TVアナウンサーのソニョン(スエ)は、娘の失語症治療のために渡米を決意し、5年間続けてきた深夜のラジオ番組「真夜中の音楽室」を降板することになった。しかし番組最終回の夜、生放送中に何者かから「自分の指示どおりに曲を流さなければ、お前の大事な家族を殺す」という脅迫電話が......。ソニョンは携帯電話に送られてきたライブ映像を見て愕然とする。そこには、ソニョンの自宅で見知らぬ男が彼女の家族を人質にしている様子が映し出されていたのだった――。現在公開されている注目の韓国映画『ミッドナイトFM』。今回は特別レビューとして、その内容と見所をターHELL穴トミヤさんとしねあいさんの対談でご紹介。全2回に分けてお届けします!! 

※注意! 本記事中には重大なネタバレが含まれてます。映画をご覧になった上でお読みいただくことをお勧めいたします。

全国順次公開中!!
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■「映画」がテーマのサイコサスペンス。最後はなぜかカーアクションに...... 

ターHELL穴トミヤ(以降「穴」) どうも、よろしくお願いします。

しねあい(以降「し」) よろしくお願いします。

 『ミッドナイトFM』、どうでした?

 大変面白い映画でしたね。

 そうですよね。しねあいさんは韓国映画、観たりしますか?

 そんなに詳しくないんです。

 僕もそうなんです(笑)。

 韓国映画の歴史はよくわからないけど、2000年代くらいからすごく盛り上がってきた印象ですね。

 どれ観ても濃いというか。暴力が激しいし。物語が展開するなら、何度でも展開する。もう詰め込みまくり。

 『オールドボーイ』もそういう感じでしたね。

 韓国は映画が盛んな国というイメージがあるんですが、テーマが「暴力」や「恋愛」「コメディ」「恐怖」とかいろいろある中で、『ミッドナイトFM』はまあ裏テーマという感じなんですが「映画」ですね。

 はい。映画についての映画という感じでしたね。

 韓国映画の意外な一面を観た感じで面白かったです。具体的にどういう内容の映画だったかというと......。

 まず、スエさんが演じる主人公の女性がソニョン。彼女は元テレビアナウンサーで、今はラジオDJをやっている。番組名は「真夜中の映画音楽室」。映画と音楽について語るFM番組で、その番組中に電話がかかってくる。で、自分の指示通りに曲を流さないとお前の家族を殺すという脅迫を受けるんですね。番組を進行しながら殺人事件が同時並行的に起こっていく話。

 サイコサスペンスみたいな。

 うん。スリリングなサイコサスペンスになっている。

 で、番組の内容が映画音楽についてだから、自然と映画についての話になってくるという。犯人が映画の話ばっかりしてくるところが、ちょっと普通のサスペンスと違う。むしろ逆に言うと、映画についての映画を韓国で作ろうとすると、それすらもサイコサスペンスになるのかと思って、面白かったですね。

 やはり日本やヨーロッパで映画についての映画というと、シネフィル的な、教条主義的なものになりがちですが、ちゃんとエンターテインメントしていたところが韓国らしいのかなと。

 そうですね。映画はこの「真夜中の映画音楽室」がついに最終回を迎えるってとこから始まってて。

 ソニョンの子供が病気で言葉を喋れないんですね。その手術のためにアメリカに行くという話で、番組の最終回の時に脅迫の電話がかかってくるんですね。

 全体的な構成は、前半はラジオ局の中で、後半はラジオ局を飛び出して移動しながらの放送になっていく。

 最初は二つ場面があって、それがスマートフォンを使うことによって上手いこと繋がってるけど、最終的にはカーアクションになる(笑)。

 そうなんですよ。カーアクションに変わってくんですよね(笑)。


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■可愛いソニョンと不敵に笑うユ・ジテ 

 ソニョンが、可愛かった......。

 可愛かったですよね(笑)。僕は声が大変魅力的だなと思いまして。ラジオDJ役なので声ってやっぱり重要だと思うんです。

 なんかこう、しっとりした感じなんですよね。いかにも深夜ラジオ、あなたに語りかけるみたいな。ちょっとあぶない人だったら「俺の......」って勘違いしちゃうかも。

 俺の嫁的な(笑)。

 冒頭、白黒で始まるんですよね、いきなり。

し あれは印象的でしたよね。で、ソニョンの綺麗な声が流れてきて。

 タクシーでしたっけ。

 そうですね。タクシーでソニョンが眠っているところが白黒で、ラジオ番組の中の「『タクシードライバー』、いい映画でしたね」みたいなナレーションが流れて。冒頭から「おっ」っていう感じ。

 冒頭から『タクシードライバー』は入ってくるんですね。いろんな映画の話が出てくるんですが、一番メインとして語られるのは『タクシードライバー』。『タクシードライバー』の説明を一応しておきましょうか。

 マーティン・スコセッシ監督でロバート・デニーロ主演、70年代の有名な映画ですね。ベトナム戦争帰りでタクシードライバーをやってるトラヴィスというのが主人公で、選挙運動に関わって民主主義の理想と現実みたいなところで精神的に病んでいき、最後は「俺がこの世の不正を正す」といって殺人事件を起こすという話です。

 僕、『タクシードライバー』ってただのあぶない奴がウロウロしてるだけの映画にしか思えなくて(笑)。

 (笑)。トラヴィスですか?

 結構好きな人多いじゃないですか。

 僕は、まあまあ好きな映画ですね。

 僕の中学の英語の教師が好きで、授業中に超勧めてきて。反発を持ちつつ観たのもあり、凄く印象が悪いんですよね。

 個人的な思い出と一緒になってるんですね(笑)。

 あぶない奴が、ひょんなことでスターになるみたいな感じですよね。

 最後は英雄扱いされるんですよね。

 自分の正義を押し通してぶっ殺しまくったけど、殺されてたのがすげえ悪い奴だったから、ヒーローだみたいな。で、『ミッドナイトFM』の犯人もあぶない奴なんですけど。こいつは、『タクシードライバー』は最高だっていうんでしたっけ。

 そうですね。『タクシードライバー』の話をラジオ番組中にして、ソニョンがトラヴィスを褒めたばっかりに自分も英雄になれると思っちゃった。ちょっと可愛そうなヤツですよね。

 そもそもストーカーは2人出てくるんですよね。

 犯人役のほうがある意味ストーカーで、もう一人、熱狂的なファンが出てくる。

 最終回だからって、ファン代表でスタジオに呼ばれてるんですよね。映画が始まった時は、どっちがあぶない奴なのか分からない。

 最初はソニョンに「あいつはストーカーだから」って言って......。

 「なんであんなヤツ呼んだのよ!?」みたいな。

 結構酷い扱いで(笑)。

 そう。でも実際、明らかに挙動不審なヤツで、そいつがよかったですね。大森南朋がオドオドしてるみたいな。

 確かに。大森南朋がちょっと太ったらあんな感じ。

 ですよね。ずっと下向いてる大森南朋。あと、気になった人というと主人公の上司の編成局長みたいな人が結構かっこよくて。

 番組中に怒ってプロデューサーを殴る人ですよね。チョン・マンシクさん。

 『息もできない』っていう映画で、主人公のお兄さん役をやってた人で。今回も面倒見るキャラなんですよね。

 この映画では、プロデューサー役だから板挟みみたいになってる。

 しねあいさんは誰が気になりましたか?

 僕はやっぱり、犯人役のユ・ジテ。『オールドボーイ』にも出てたじゃないですか。サイコパスを演じさせたら凄いなって。

 (笑)。服装からしてヤバかったですよね。毛皮のコートみたいな。

 それに不適な笑顔で。あとは子役の子。喋れないという設定で、電話をかける時に3回叩くと「うん」っていう意味になってる。

 モールス信号みたいなね、それで会話するんです。

 なかなか利発な感じの子で、犯人から上手いこと逃げ回る。

 利発で、いかにも優秀な子役という感じ。僕はイライラしたんですよ(笑)。

 逆に(笑)。

 なんだこのいい子はと思って(笑)。

 ちょっといい子過ぎるところがありますよね。

 でも、もう一人の子は覚えてないですからね。確かにこの子は印象に残りました。で、監督は、キム・サンマン 。

 今回2作目みたいですね。もともとは『オールドボーイ』や『親切なクムジャさん』を撮ってるパク・チャヌク監督の映画で美術監督をやってた人です。パク・チャヌクのスタッフで映画界に入った人なのかなと思うんですが。ユ・ジテもパク・チャヌク作品の常連ですしね。


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■キモいオタクが一転、ヒーローに! 

 まず、見所を言い合いましょうか。僕が一番盛り上がった瞬間は、やっぱりまずキモいストーカーがスタジオの外にいて......。

 ファンのほうですね。

 そう。コミュニケーション不全の大森南朋がいて、映画が進んでいくうちに、こいつが完全にアブないヤツから180度転回して、今この状況を打開できるのはお前しかいないみたいな、いきなりヒーローになる瞬間があるんですよ。あそこがもう、盛り上がるというか、いい映画観にきたなって確信した瞬間。

 細かいところを説明すると、2006年7月12日に放送された放送第1回の最初の曲はなんだっていうクイズを出してるんですよね、犯人が。その曲をかけないと妹を殺すって言ってくる。でも、そんなこと番組やってる本人も覚えてない。そこで、そのキモいストーカーが番組の内容を100パーセント覚えていて、「『今夜はトーク・ハード』の『EVERYBODY KNOWS』だよ」というふうに教えてあげる。それは一気にかっこいいってなりますよね。さすがオタクという。オタクが世界を救う(笑)。

 社会にとって要のなかった知識がいきなり最も重要なものになるという。そこにこの映画を撮った監督の、オタクに対するシンパシーを感じたんですよね(笑)。

 監督ももしかしたら、オタク的なところがあるのかも。

 こんな映画撮ってる時点で絶対あると思うんですよ。あともう一つ、カルトクイズが四択なんですよね。で、思い出せないかもしれないからヒントだって、最初の回にかけた曲は、ラジオDJについての映画の曲なんだって犯人が言ってくる。四択は『グッドモーニング・ベトナム』と『恐怖のメロディ』、『フィッシャー・キング』、『今夜はトーク・ハード』。で、さあどれでしょうってなるんだけど、この並びで言うとクリント・イーストウッドの『恐怖のメロディ』は、いわゆる古き良き名作みたいな。

 ストーカー映画の走りですよね。

 そう。『グッドモーニング・ベトナム』も一応有名なベトナム戦争の映画で。テリーギリアムの『フィッシャー・キング』も有名だけど、正解になった『今夜はトーク・ハード』は学園ものなんですよね、これ。

 そうですよね(笑)。

 一番ボンクラ感のある映画が正解というところで、またボルテージが一段と上がりましたね。でもこれがまたさらなる悲劇を生んでしまう。

 ネタバレになっちゃうけど、曲のバージョンがたくさんある。違うバージョンをかけてしまい、妹が......指を切断される。

 映画でかかってる同名の曲が、サントラでは違うアーティストのカバーで入ってるらしいんですよ。それで激怒して(笑)。


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 この犯人もポリシーがあるのかどうか怪しいですよね。正義の味方気取りなのに、何の落ち度もない妹が犠牲になる。

 この人の要求は、俺の言うとおりの番組をやれということなんですよね。

 最初はファックスしたんです。こういう曲順でやってくれと。それをプロデューサーが捨てちゃった。

 なるほど。元々、いっつもファックスしてくるアブない奴だった。

 それで普通に番組進行してたら......。

 俺を無視するなって、実力行使に出るという。あともう一つ、見所としてこの映画の「FM 放送」の扱いが面白かった。FM放送は適当な話ばっかりしてるという印象が僕にはあるんです(笑)。

 まあ、AMと比べたら......。

 そう。AMは話が面白い。けど、FMはなんか話がつまんなくて、英語の発音だけいいみたいな(笑)。

 (笑)。中身のないこと言ってるみたいな感じはしますよね。

 というところで、ラジオは上辺だけというか、FMは特にお約束的な話しかしない。でも映画はお約束のさらに向こう、その先へどこまで踏み込めるかが勝負じゃないですか。映画ならそれができるというのを示すのが、裏テーマになっていたりするのかなって。この主人公はプロフェッショナルなDJだから、いつも上っ面なトークをしていて、このサイコパスと話す時も最初はFM放送的な受け答えをしてる。だけど映画が進むにつれて、だんだん本音が出てくる。その変遷が面白かったんです。

 なるほど。公共の電波ではこういう表面的な、とってつけたようなことしか言えないけれども、映画ではその裏側が描けるということですね。最近、韓国に限らない映画の傾向として、正義と悪を逆転させるというか、上辺だけじゃなくてもう一歩踏み込んで描くという作品が多いような印象があって。『ダークナイト』とかそうじゃないですか。バットマンが「実はお前もサイコ野郎なんじゃないか」ってジョーカーに指摘される話。あとは『ウォッチメン』。アメリカでも、最近ヒーローもののアメコミを使って、正義と悪の倫理観について一歩踏み込む内容のものが多くて、最近映画監督はみんなそういうことを考えているのかなという印象がありますね。


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■新旧メディアが三つ巴で登場 

 しねあいさん的には『ミッドナイトFM』の見所はどんなところでしょう?

 よかったと思ったのはスマートフォンを使ってるところです。スマートフォンを使ってスリリングさを出す映画、僕は初めて観た気がする。

 スマートフォンで、スカイプの動画機能みたいのを使って脅してくるんですよね。

 あれ上手いなと思いましたね。スマートフォンがガジェットとして使われてるから、ソニョンのほうはDJブース、犯人はソニョンの家、二つの場所が繋がることでスリリングさが生まれてる。あとは早目に警察に通報して、警察が突撃をしてるという(笑)。

 確かにこういう脅迫ものの映画って、理由もなく被害者が自分で解決しようとしがちで。そうすると観ていて「まずは通報だろ!」ってとこがフラストレーションになるんだけど、『ミッドナイトFM』はもうかなり初期に、上司が通報するんですよね。

 ちゃんと通報しましたよね。テレビに事件のことがバレちゃって、番組中にテレビ局が踏み込んでくる。ラジオ番組を進行しながらテレビ局の取材を受けて、警察もいて......。

 ある意味メディアミックス。当事者はラジオの放送をしていて、その野次馬になるマスコミはテレビ局。で、その外側で解決しようとしてる警察っていう。

 映画の後半、「これから犯人の方にインタビューに行きます」ということで話が進んでいきますよね。リアルタイムで事件を放送するという凄い展開になっていく。

 劇場型犯罪。これはまた先の話になるけど、放送って絶対に止められないじゃないですか。ラジオものって止めたら放送事故になるというのがひとつのギミックになっていて、それが映画の緊張感になってる。絶対に止められない放送の周りでみんながドタバタするっていう、三谷幸喜の『ラヂオの時間』とかそれがすべての原動力になってる映画ですけど。で、この舞台裏がバレるかバレないかというところで、ラジオものは二つに分けられるのかなと。『ミッドナイトFM』の場合はバレるんですね。舞台裏がバレてしまって、でもそれすらもラジオ番組になっていくという。さっきの四択のクイズに出てきたラジオ映画で言うと、イーストウッドの『恐怖のメロディ』はバレない。脅迫されて放送中に家に帰る時でも自分が前に吹き込んだテープをかけて、ラジオ放送が破綻しないようにして出て行く。『フィッシャー・キング』の場合は、すぐクビになっちゃうからバレるとかはなくて。で、『今夜はトーク・ハード』は......。

 バレるんですよね。

 みんな立ち上がれみたいな。

 そう。10代の主張みたいな(笑)。

 実は俺が覆面DJだったんだみたいな。だから『ミッドナイトFM』に一番近いと言えば近いですよね。リスナー巻き込み型みたいな。で、『グッドモーニング・ベトナム』は軍事放送だから放送事故がない。NG発言すると普通に電波止めちゃうけど誰も気にしない。

 『ミッドナイトFM』は早々にバレちゃいますよね、裏側が。中盤くらいで警察も踏み込んで、テレビも来て。

 そこから、外に飛び出して......。

 飛び出して、カーチェイスになっていく。


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 この映画の要素はカーチェイス、サイコスリラー、それから......恋愛はないですよね。

 恋愛はないです。親子愛みたいなものはある。

 親子愛、映画愛。それから、メディアですか。

 そう。いろんなメディアが出てくるのが特徴ですね。

 FM、テレビ局、それからスマートフォンというメディアも入ってくる。

 そこがすごい大事だと思う。

 各メディアの違いは......。

 その三つの中では、テレビが一番マスなメディア。表面的なことしか言わないメディアでもある。ラジオはどうですか。

 FMは適当ってさっき話しましたけど、それでもラジオのほうが、少し突っ込んだこと言いますよね。

 そうですね。視聴者に近いメディアではある。

 スマートフォンは、その中では一番......。

 テレビやラジオと違って、一対一なもの。

 これはYoutubeのスローガンであるブロードキャストユアセルフを犯人がやってるということですよね。俺の起こしてる事件をお前が観ろという。

 さらにそれがラジオで放送されるという、複雑なメディアの混ぜ方をして作られている映画ですよね。


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■オタクフォースの暗黒面におちた犯人 

 ブロードキャストユアセルフで思い出したんですが、漫画が好きな人は同人誌を作って二次創作するじゃないですか、設定だけ借りて。この犯人がやってることは、究極の二次創作っぽいと思って。作者を脅して、自分の好きなように自分の好きな世界を再構築する。例えば『パトレイバー』が終わって、パトレイバー大好きなのに終わっちゃったよ、もっとパトレイバーの世界に浸っていたかったのにって思う......するとそこに同人誌があるっていう。それと同じようなことで、放送が最終回を迎えちゃうから、この世界から出たくないという主人公が自分で二次創作を始めたという映画でもあるわけですよね。

 なるほど、製作者本人に作らせるということですね。どうなんだろう、それを二次創作といっていいのか。一次創作なんじゃないかと。

 強制一次創作(笑)。そうか、スティーヴン・キングの『ミザリー』ですね。

 普通なら、番組の好きな部分だけ切り抜いて......。

 エディットして、俺ベスト版を。

 とかだったら二次創作だって言えると思う。

 なるほど、それはいいストーカーのやり方(笑)。

 もちろんいいストーカーです。

 あと、自分が真似して番組を始めるとか。でも、そこでフォースの暗黒面に堕ちてしまうと(笑)、この彼みたいに脅迫して、自分の好きな番組を本人にやらせればいいんだってなっちゃう。

 (笑)。

 番組に対する愛を持った二人のストーカーがこの映画の中に出てきて、一方は無害。キモいんだけどホントはいい奴だった。一方はホントにアブないヤツになってしまったという、出発点が同じなのにそれこそフォースの暗黒面とジェダイの騎士に枝分かれしてるのも面白かったですね。

 その対決になってますよね。

 最後はその直接対決になりますから。

 うんうん。

 この二つを分けるものはなんですかね。

 単純に犯人のほうが、病気なんじゃないか、統合失調症なんじゃないかという気がするんです。

 (笑)。病理的な問題。

 ちょっと話逸れちゃいますが、最近ニコニコ生放送とか自分で放送ができるけど、そこで女の子が放送してると、スカイプで突っ込んでいって、何かエロいことを言うやつがいるんですよ。

 ニコニコ生放送、僕はよく分からないけど、こちらからも話しかけられるんですか? テキスト以外に。

 凸待ちと言って、スカイプでID晒すからかけてきて下さいと言って、番組をやってる人たちがいるんです。

 それで、スカイプで話してるのをさらに......。

 生放送してるという感じなんですよね。そこに突入して番組荒しに来るヤツと、ファンのコメントとして参加してるヤツがいる。それこそ、なんかこう......。

 暗黒面と......。

 そう。ニコニコ生放送は、生放送のラジオみたいなものじゃないですか。インターネットの世界でも、暗黒面に振れるヤツとジェダイの騎士になるヤツで分かれてきてるなという印象があって(笑)。

 『ミッドナイトFM』だと、その凸待ちの一番ヤバいやつが、自宅に突入して電話をかけてくる(笑)。

 一番ヤバい奴ですね、うん。


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■犯人の動機は同一化欲求?

 この映画の犯人は考えたんですかね、凸入する時に。一番効果的な凸入とは......って(笑)。

 家まで行っちゃえみたいな(笑)。

 ただ、そもそもコイツはなんでそこまでこの番組に惚れこんだのか。そこが、イマイチはっきりしないんですよね。『タクシードライバー』には思い入れあるみたいですけど、熱狂的な映画好きって感じもしないし。

 これは深読みかもしれないけど、スコセッシの『タクシードライバー』も、あれはベトナム戦争帰りで精神を病んでるという話なんです。それで「俺が不正を正す」みたいな人間になってしまったと。韓国も未だに徴兵制があるじゃないですか。だから、そういうところで日本人だとわからないような世の中の現実に直面して、世の中の現実と理想の狭間みたいなところで揺れている時に、たまたまこの番組を聴いて深く同一化してしまったいうことなのかと思ったんです。

 それで最終回を迎えるにあたって、うまく凸してやるぜと。

 うん。こいつは単純にファンというより、精神的に病んでいる時にたまたまこのソニョンさんの『タクシードライバー』のトラヴィスを褒めてる話を聞いてしまって、そこに深く心を揺さぶられてしまったということじゃないかなと思うんですけどね。

 こいつは映画ファンというより、このラジオ番組のファンなんですかね。それともスエさん、っていうか彼女が演じていたソニョンですね、彼女のファンなのか。放送、第1回目から聞いてますからね。

 ファンというよりはソニョンになろうとしてるという感じ、どっちかといえば。そのものに。

 同一化したい。

 そう。俺の理想通りに番組を作りたい。そうじゃなければ人を殺してもいいくらいのことですよね。

 逆にソニョンは、この番組に思い入れがない感じを僕は受けたんです。

 そうですね。あっさりしてて。

 ソニョンって結構上昇志向が強そうですよね。テレビのニュースキャスターからFMラジオのDJって、出世的には逆ですけど。でもアメリカ行って帰ってきたら、私はもっと偉くなると。見送りパーティの時に発言してたりとか。

 ありましたね。

 あくまで上向きで。そして個々の番組に思い入れはないと。

 結構子供思いで、子供のためにラジオも辞める。

 ちなみに、なんで夫がいないんでしたっけ。

 なんででしたっけ。上昇志向が強そうだから、いかにも離婚しそうな感じはありましたけどね(笑)。

 忙しくてすれ違いが多いのでみたいな(笑)。メチャクチャいい部屋でしたよね。すっげーデカい。

 そう、家が広いから子供も逃げ回れる。

 あれ日本だったらもうね、二部屋しかない(笑)

 すぐ捕まってますね(笑)。

 風呂の中しか隠れる場所ないですよ。

(続く)

韓国でボックスオフィス初登場No.1獲得・大ヒット!
その夜、予期せぬ戦慄のON AIRがスタートする......。


FLV形式 5.27MB 1分56秒

『ミッドナイトFM』
全国順次公開中!!
(C)2010 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

原題= MIDNIGHT FM
監督= キム・サンマン(『ガールスカウト』)
出演= スエ(『夏物語』) 、ユ・ジテ(『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』)

提供=キングレコード
配給=ビーズインターナショナル

2010年|韓国|カラー|106分

関連リンク

映画『ミッドナイトFM』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/

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しねあい  ミクスチャーマガジン『BLACK PAST』編集。映画やアニメに関する論考、小説などを書く傍ら、プログラミングをやったり。
最近の書きものに、「ふつうの言葉で」(『BLACK PAST』)、「あらかじめ運命を定められた子供たち――『とらドラ!』の歴史=物語をめぐって」(『アニメルカ vol.4』)など。
http://blackpast.jp/
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