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浮世絵絵師が贅沢な顔料と精緻な技法を用いて描く肉筆春画
人間の性愛の営みを描いた日本の芸術「春画」。その中でも絢爛豪華な一点ものとして描かれた「肉筆春画」には、版画作品とはまた趣を異にする、迫力ある独特のエロティシズムが横溢している――。富裕者たちからの注文を受けて描かれた贅沢な絵画の数々を一冊にした、豪華な永久保存版の肉筆春画集が発売されました。肉筆春画は絢爛豪華な特別製の一点もの
春画とは、人間の性愛の営みを描いた絵画のことである。それはもっとも人間的な行為を描く絵画といってもよい。
こんにち絵画といえば、喜多川歌麿や葛飾北斎といった江戸時代の浮世絵師による版画や版本が思い浮かばれるだろう。確かに浮世絵師のおもな仕事は、版画の下絵を描くことである。しかし、ときには絵師自ら筆をとって画絹または紙に墨で線を引き絵具で彩色をした本格的な絵画、いわゆる肉筆画も制作する。それらは複数生産可能な版画と違い、絢爛豪華な特別製の一点ものであった。限られた富裕な享受者らの注文を受けて、絵師が贅沢な顔料と精緻な技法を用いて筆を揮う高価な絵画だったのである。
尽きることのない肉筆春画の魅力
各時代に実力のある絵師が登場して、その時期の美意識を反映した肉筆春画の魅力は尽きることがない。とりわけ、絵師が一点一画に精魂を込めた筆遣い、その線の躍動、精緻な彩色から形づくられる生命感や情感をご堪能いただければ幸いである。そこに描かれているのは、エロティシズムという最も根源的な営みを含んだ人間存在の肯定であり、人生の謳歌なのである。
以上、『肉筆春画傑作選』より
『肉筆春画傑作選』(大洋図書)
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