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官能羞恥小説の新鋭、小林電人衝撃のデビュー作登場!
自分が最も興奮する妄想シチュエーションを......。徹底的に羞恥とアナル責めにこだわった連載小説をネット上のサイト「羞恥学園新聞」に発表する女子高現役教師・藤井慎治。そのマニアックで執拗な羞恥描写は、多くのマニアから支持を受け、アナル、羞恥フェチたちの人気サイトとなっていた。自らS学園長と名乗り、多くのファンを持つ彼にメールでメッセージが届くことなどいつものことだったのだが......。一人の女性の突然の告白から、物語は動き始める。
第一章 女子校教師の密かな愉しみ
I ナル 1
「実は私、女性なのです。今まで黙っていて申し訳ありませんでした」
ナルと名乗る人物とメールの交換を始めて、一ヶ月ほど経った頃、そんなカミングアウトをされた。
「羞恥学園新聞」は藤井慎治が2年ほど前から趣味でやっているインターネットのサイトだ。自分が最も興奮する妄想なシチュエーションを小説にして、そこで連載している。それは性的な体罰が日常化している学園を描いた小説で、藤井の性癖に従ってひたすら羞恥とアナル責めに重点を置いたものだった。同好の士も多いのか、それなりのアクセス数を稼ぎ、ファンだという者からのメールもよく届いた。
ナルもそうしたメールを出してきた一人だった。
「初めてメールいたします。『羞恥学園新聞』拝見させていただきました。これこそ私がずっと求めていたものだと感動いたしました。今まで多くの官能小説を読んで来ましたが、ここまで自分の性癖にぴったりの作品を読んだのは初めてでした。S学園長様は、羞恥のツボを本当にわかっていますね。特にアカネが体育館で初めての公開浣腸おしおきを受けるシーンなどは、何度も何度も読み返し、しっかり使わせていただきました(笑)。これからも楽しませていただきます。がんばって下さい」
S学園長とは、藤井がネット上で使っているペンネームである。もともと几帳面な性格である藤井はそうした読者からのメールにひとつひとつ返事を書いていた。そこからメールのやりとりが始まり、親しくなった者も何人もいた。しかし、彼らと実際に会ったことはなかったし、自分のプロフィールを明かしたこともなかった。ネット上では、藤井は自分の個人情報を可能な限り消していた。
それは藤井が女子高の教師をしているという事情があったためだ。現役の女子高の教師が、女子学生を性的な体罰を加える妄想小説を公開しているなどということが公になったら、ただでは済まない。
藤井が勤務する女子高は、かなりの名門校であり他校に比べれば生徒の品行も悪くないと言われるが、それでも現実の女子高生というのは、藤井が長年抱いていた幻想とは大きくかけ離れていた。そのギャップから生まれたストレスが、藤井を妄想小説の執筆に走らせたのである。
藤井が返事のメールを書くと、ナルは感激したらしく、すぐにメールを返してきた。それ以降、毎日のようにメールをやりとりした。時にはリアルタイムでメールを出し合い、チャット状態になることもあった。メールの内容は、藤井の書いた小説で、この女生徒キャラへのおしおきシーンはよかったという感想や、今度はこんなおしおきはどうかといった提案だったが、そのうちにお互いが影響を受けた小説や漫画、映画の話になった。そうなると30代半ばを過ぎている藤井と、ナルの間でジェネレーションギャップがしばしば感じられた。どうもナルは、藤井よりもだいぶ若いらしい。最初のうちは、話題にする作品が共通するので、同世代だと思っていたのだが、ナルはそれらの作品をリアルタイムではなく、後追いで触れたらしい。
藤井は珍しく、自分の年齢をナルに教えた。相手の年齢を知りたかっただが、自分のプロフィールを一切隠したままでは失礼だろうと思ったからだ。
「はい。お察しの通り私はS学園長様より、だいぶ年下です。でも若造だからといって嫌わないでくださいね(笑)。昔から古いものが好きで、同世代の人たちとは話が合わないのですよ。60年代から80年代のものばかりを、いつも古本屋などで漁っています。ですので、S学園長の話は、いつも勉強になります。私は年上の人たちが、羨ましくてならないんですよ。ああ、私ももっと早く生まれたかった」
藤井自身も、自分より上の世代の文化が好きで、同じように古本屋めぐりをしていたのでナルの気持ちはよくわかった。急速にナルに対して親近感がわき、少しずつ自分のプロフィールを明かすようになった。もちろん職業については一切触れなかったが。
そんな風にしてメールのやりとりが一ヶ月続いてからのナルのカミングアウトだった。それまでのメールの文体からは、ナルが女性であることは全く予想もしなかったし、自分のサイトを女性が好んで見るなどとは考えても見なかった。
藤井は、少なからず動揺した。今まで女性に自分の性癖を明らかにしたことはなかったからだ。藤井は女性経験が少ない方ではなかったし、離婚歴もあるのだが、そうした関係の中ではごく普通の性欲の男性として接していた。藤井は、まるでオナニーの現場を見られてしまったような恥ずかしさを感じた。
しかし、その一方で、これほど自分の性癖をわかってくれる女性がいるということに感動もした。そしてどうやら、ナルは藤井の小説の中で女生徒たちに加えられる恥辱を、自分に置き換えて興奮していたらしい。つまり、かなりMっ気のある女性ということだ。
ナルのカミングアウト以降、二人のメールのやりとりは急に生々しいものとなった。自然な流れだろう。片方は羞恥責め、アナル責めが好きなサディストであり、片方はそれに興奮するマゾヒストであるという関係がはっきりしているのだから。
ナルのメールの文体は、あくまでも固く丁寧な言葉使いだったが、それがまたM女っぽさを強調し、藤井を興奮させた。
だが、慎重な藤井は一気に関係を深めようとはしなかった。自分の身分がばれることへの危険。そして、どうせこんなメールを出してくる女など、まともなルックスであるはずがないという思いこみがあったからだ。藤井は、かつてSM系の出会い系サイトなどで、さんざん痛い目をみた経験がある。多少なりともルックスのいい女は、みな金銭目当てであり、そして本気の女はまともな性欲をかき立てるのは難しいようなルックスの持ち主ばかりだった。そうそう美味い話などないのだと藤井は自分に言い聞かせていた。もしかしたらナルが女性だということも手の込んだ嘘かもしれない。
それでもメールのやりとりが、次第にメール調教の様相を示してくると、ナルに実際に会いたいという欲求を抑えられなくなってきた。羞恥責めに最も興奮し、アナルを嬲られたいと切実に願っている女がネットの向こうにいるのだ。自分が長年夢見ていたプレイを望んでいる女が存在するのだ。
それは藤井の警戒心を弛緩させるのに十分な甘美な果実だった。
メールのやりとりを始めてから三ヶ月後。遂に藤井はナルと実際に会うこととなった。お互いに会うことを望んでいながら、なかなか自分からは切り出せない。そんな関係であったため、藤井が遠回しに持ちかけると、話は一気に進んだ。
それまでのやりとりの中でわかっていたが、藤井とナルの住んでいる町は、かなり近かった。どちらからも交通の便のいい繁華街のデパートの前で待ち合わせを決めた。
よく晴れた日曜日、藤井はナルに伝えたようにグレーのジャケットを着て、目印の雑誌を手にして、約束の場所に立っていた。もし手の込んだ美人局だった時のことも考え、免許証など身分のわかるようなものは一切持ってきていない。念のためにと携帯電話のメールアドレスは伝えたが、電話番号は教えていなかった。
約束の12時を10分過ぎた。胸をときめかせながら待っている藤井には、永遠のように長い時間に思えた。ナルは一体どんな女性なのだろうか。過剰な期待をしてはいけないと思いつつも、つい絶世の美女だったらなどと妄想をふくらませてしまう。
遅すぎるな、と藤井が不安を感じ始めた頃に携帯電話にメールが入った。
「大変申し訳ありません。急に体調が悪くなってしまいました。緊張しすぎてしまったのかもしれません。このお詫びは、必ずいたします。すいませんが、お会いするのは後日ということにできませんでしょうか」
ああ、やっぱりな。藤井は、がっかりすると同時に、なんだかホッとした。今後も実際にナルが会ってくれることはないだろうなと直感した。もしかしたら、やっぱり女性を装ったネットオカマだったのかもしれない。そうだ、そんな美味い話など、あるわけがないのだ...。藤井は目印代わりの雑誌を近くにあったゴミ箱に乱暴に投げ捨てた。道化を演じてしまった自分が無性に腹立たしかった。
その時、目の前を歩いてきた少女と目が会った。見覚えのある顔、どころではない。藤井が勤務する学校の生徒だった。
「あ、藤井先生...」
1年S組の仲村忍である。セミショートの黒髪が可愛らしい女生徒だった。年齢相当の幼さの残るあどけなさと同時に、少し大人っぽい陰のある表情をしているのが印象的な子だ。顔立ちは整っていて美少女といってもいいのだが、おとなしく地味な性格のため、クラスでも余り目立たない存在だった。中学時代はいじめられっ子だったというが、現在はそれなりに上手くやっているようだ。
実は藤井は忍をモデルにした女生徒を、自作の小説の中に登場させている。それも、最もおしおきを受けてしまう役だ。藤井の妄想の中で忍は、全校生徒の前で全裸で大の字に縛り上げられて肉体の隅々までを晒されたり、教室で肛門を愛撫され、クラスメート全員の前で絶頂を極めさせることまでされているのだ。藤井にとって、忍は最もいじめてみたいタイプの少女だった。もちろん、学園ではそんなことを考えているなどと、おくびにも出さずに彼女と接しているのだが。
しかし、よりによってこんな時に忍と会ってしまうというのは、あまりにもばつが悪かった。忍には、藤井が誰と待ち合わせているかなどわかるはずもないのだが、藤井は平静を装うのに必死だった。
「ああ、仲村か。買い物か?」
「はい、ちょっと本屋さんに行こうかと思って」
そういって忍は微笑んだ。はにかんだような線の細い笑顔だった。地味な白いワンピース姿で、学園にいる時と印象は変わらない。清楚ではあるが、その弱々しさが藤井のような人間には加虐心をかき立てさせるのだ。
「仲村は読書家だったっけな」
そういえば忍は、年頃の女の子とは思えないような古めの小説をよく読んでいたりして、驚かされることがあった。
「先生は、友達と約束してたんだけど、急病になったとかですっぽかされちゃったよ。帰って大人しく部屋の片付けでもするさ」
藤井は、わざとらしく肩をすくめた。
「もしかしてデートだったんですか?」
忍が興味深そうな表情で尋ねる。へぇ、この子もこんな表情するんだ、と藤井はちょっと驚いた。
「ははは。だったらいいけどね。残念ながら男だよ。大学時代の友達」
大人しい忍とはいえ、女性の影など見せたりすると学園中に噂はあっという間に広がる。気をつけなければ。
すると忍は、何か言いかけたような表情をしたが、そのまま言葉を飲み込んだ。
「じゃ、私、これで」
「おう、明日学園でな。盛り場で悪さなんかするんじゃないぞ」
「いやだ、そんなことしませんよ」
まぁ、忍に限ってそういう心配はないだろうが、一応言ってみただけだ。人混みの中に消えていく忍の華奢な背中を見送ってから、藤井は家路についた。
今夜は、例の小説の中で、忍をモデルにしたキャラクターに、思い切り恥辱を味あわせてみようと藤井は考えていた。そして、ああ、おれってつくづく最低な教師だよなぁとも思った。
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官能羞恥小説の新鋭、小林電人衝撃のデビュー作登場!
自分が最も興奮する妄想シチュエーションを......。徹底的に羞恥とアナル責めにこだわった連載小説をネット上のサイト「羞恥学園新聞」に発表する女子高現役教師・藤井慎治。そのマニアックで執拗な羞恥描写は、多くのマニアから支持を受け、アナル、羞恥フェチたちの人気サイトとなっていた。自らS学園長と名乗り、多くのファンを持つ彼にメールでメッセージが届くことなどいつものことだったのだが......。一人の女性の突然の告白から、物語は動き始める。
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第一章 女子校教師の密かな愉しみ
I ナル 1
「実は私、女性なのです。今まで黙っていて申し訳ありませんでした」
ナルと名乗る人物とメールの交換を始めて、一ヶ月ほど経った頃、そんなカミングアウトをされた。
「羞恥学園新聞」は藤井慎治が2年ほど前から趣味でやっているインターネットのサイトだ。自分が最も興奮する妄想なシチュエーションを小説にして、そこで連載している。それは性的な体罰が日常化している学園を描いた小説で、藤井の性癖に従ってひたすら羞恥とアナル責めに重点を置いたものだった。同好の士も多いのか、それなりのアクセス数を稼ぎ、ファンだという者からのメールもよく届いた。
ナルもそうしたメールを出してきた一人だった。
「初めてメールいたします。『羞恥学園新聞』拝見させていただきました。これこそ私がずっと求めていたものだと感動いたしました。今まで多くの官能小説を読んで来ましたが、ここまで自分の性癖にぴったりの作品を読んだのは初めてでした。S学園長様は、羞恥のツボを本当にわかっていますね。特にアカネが体育館で初めての公開浣腸おしおきを受けるシーンなどは、何度も何度も読み返し、しっかり使わせていただきました(笑)。これからも楽しませていただきます。がんばって下さい」
S学園長とは、藤井がネット上で使っているペンネームである。もともと几帳面な性格である藤井はそうした読者からのメールにひとつひとつ返事を書いていた。そこからメールのやりとりが始まり、親しくなった者も何人もいた。しかし、彼らと実際に会ったことはなかったし、自分のプロフィールを明かしたこともなかった。ネット上では、藤井は自分の個人情報を可能な限り消していた。
それは藤井が女子高の教師をしているという事情があったためだ。現役の女子高の教師が、女子学生を性的な体罰を加える妄想小説を公開しているなどということが公になったら、ただでは済まない。
藤井が勤務する女子高は、かなりの名門校であり他校に比べれば生徒の品行も悪くないと言われるが、それでも現実の女子高生というのは、藤井が長年抱いていた幻想とは大きくかけ離れていた。そのギャップから生まれたストレスが、藤井を妄想小説の執筆に走らせたのである。
藤井が返事のメールを書くと、ナルは感激したらしく、すぐにメールを返してきた。それ以降、毎日のようにメールをやりとりした。時にはリアルタイムでメールを出し合い、チャット状態になることもあった。メールの内容は、藤井の書いた小説で、この女生徒キャラへのおしおきシーンはよかったという感想や、今度はこんなおしおきはどうかといった提案だったが、そのうちにお互いが影響を受けた小説や漫画、映画の話になった。そうなると30代半ばを過ぎている藤井と、ナルの間でジェネレーションギャップがしばしば感じられた。どうもナルは、藤井よりもだいぶ若いらしい。最初のうちは、話題にする作品が共通するので、同世代だと思っていたのだが、ナルはそれらの作品をリアルタイムではなく、後追いで触れたらしい。
藤井は珍しく、自分の年齢をナルに教えた。相手の年齢を知りたかっただが、自分のプロフィールを一切隠したままでは失礼だろうと思ったからだ。
「はい。お察しの通り私はS学園長様より、だいぶ年下です。でも若造だからといって嫌わないでくださいね(笑)。昔から古いものが好きで、同世代の人たちとは話が合わないのですよ。60年代から80年代のものばかりを、いつも古本屋などで漁っています。ですので、S学園長の話は、いつも勉強になります。私は年上の人たちが、羨ましくてならないんですよ。ああ、私ももっと早く生まれたかった」
藤井自身も、自分より上の世代の文化が好きで、同じように古本屋めぐりをしていたのでナルの気持ちはよくわかった。急速にナルに対して親近感がわき、少しずつ自分のプロフィールを明かすようになった。もちろん職業については一切触れなかったが。
そんな風にしてメールのやりとりが一ヶ月続いてからのナルのカミングアウトだった。それまでのメールの文体からは、ナルが女性であることは全く予想もしなかったし、自分のサイトを女性が好んで見るなどとは考えても見なかった。
藤井は、少なからず動揺した。今まで女性に自分の性癖を明らかにしたことはなかったからだ。藤井は女性経験が少ない方ではなかったし、離婚歴もあるのだが、そうした関係の中ではごく普通の性欲の男性として接していた。藤井は、まるでオナニーの現場を見られてしまったような恥ずかしさを感じた。
しかし、その一方で、これほど自分の性癖をわかってくれる女性がいるということに感動もした。そしてどうやら、ナルは藤井の小説の中で女生徒たちに加えられる恥辱を、自分に置き換えて興奮していたらしい。つまり、かなりMっ気のある女性ということだ。
ナルのカミングアウト以降、二人のメールのやりとりは急に生々しいものとなった。自然な流れだろう。片方は羞恥責め、アナル責めが好きなサディストであり、片方はそれに興奮するマゾヒストであるという関係がはっきりしているのだから。
ナルのメールの文体は、あくまでも固く丁寧な言葉使いだったが、それがまたM女っぽさを強調し、藤井を興奮させた。
だが、慎重な藤井は一気に関係を深めようとはしなかった。自分の身分がばれることへの危険。そして、どうせこんなメールを出してくる女など、まともなルックスであるはずがないという思いこみがあったからだ。藤井は、かつてSM系の出会い系サイトなどで、さんざん痛い目をみた経験がある。多少なりともルックスのいい女は、みな金銭目当てであり、そして本気の女はまともな性欲をかき立てるのは難しいようなルックスの持ち主ばかりだった。そうそう美味い話などないのだと藤井は自分に言い聞かせていた。もしかしたらナルが女性だということも手の込んだ嘘かもしれない。
それでもメールのやりとりが、次第にメール調教の様相を示してくると、ナルに実際に会いたいという欲求を抑えられなくなってきた。羞恥責めに最も興奮し、アナルを嬲られたいと切実に願っている女がネットの向こうにいるのだ。自分が長年夢見ていたプレイを望んでいる女が存在するのだ。
それは藤井の警戒心を弛緩させるのに十分な甘美な果実だった。
メールのやりとりを始めてから三ヶ月後。遂に藤井はナルと実際に会うこととなった。お互いに会うことを望んでいながら、なかなか自分からは切り出せない。そんな関係であったため、藤井が遠回しに持ちかけると、話は一気に進んだ。
それまでのやりとりの中でわかっていたが、藤井とナルの住んでいる町は、かなり近かった。どちらからも交通の便のいい繁華街のデパートの前で待ち合わせを決めた。
よく晴れた日曜日、藤井はナルに伝えたようにグレーのジャケットを着て、目印の雑誌を手にして、約束の場所に立っていた。もし手の込んだ美人局だった時のことも考え、免許証など身分のわかるようなものは一切持ってきていない。念のためにと携帯電話のメールアドレスは伝えたが、電話番号は教えていなかった。
約束の12時を10分過ぎた。胸をときめかせながら待っている藤井には、永遠のように長い時間に思えた。ナルは一体どんな女性なのだろうか。過剰な期待をしてはいけないと思いつつも、つい絶世の美女だったらなどと妄想をふくらませてしまう。
遅すぎるな、と藤井が不安を感じ始めた頃に携帯電話にメールが入った。
「大変申し訳ありません。急に体調が悪くなってしまいました。緊張しすぎてしまったのかもしれません。このお詫びは、必ずいたします。すいませんが、お会いするのは後日ということにできませんでしょうか」
ああ、やっぱりな。藤井は、がっかりすると同時に、なんだかホッとした。今後も実際にナルが会ってくれることはないだろうなと直感した。もしかしたら、やっぱり女性を装ったネットオカマだったのかもしれない。そうだ、そんな美味い話など、あるわけがないのだ...。藤井は目印代わりの雑誌を近くにあったゴミ箱に乱暴に投げ捨てた。道化を演じてしまった自分が無性に腹立たしかった。
その時、目の前を歩いてきた少女と目が会った。見覚えのある顔、どころではない。藤井が勤務する学校の生徒だった。
「あ、藤井先生...」
1年S組の仲村忍である。セミショートの黒髪が可愛らしい女生徒だった。年齢相当の幼さの残るあどけなさと同時に、少し大人っぽい陰のある表情をしているのが印象的な子だ。顔立ちは整っていて美少女といってもいいのだが、おとなしく地味な性格のため、クラスでも余り目立たない存在だった。中学時代はいじめられっ子だったというが、現在はそれなりに上手くやっているようだ。
実は藤井は忍をモデルにした女生徒を、自作の小説の中に登場させている。それも、最もおしおきを受けてしまう役だ。藤井の妄想の中で忍は、全校生徒の前で全裸で大の字に縛り上げられて肉体の隅々までを晒されたり、教室で肛門を愛撫され、クラスメート全員の前で絶頂を極めさせることまでされているのだ。藤井にとって、忍は最もいじめてみたいタイプの少女だった。もちろん、学園ではそんなことを考えているなどと、おくびにも出さずに彼女と接しているのだが。
しかし、よりによってこんな時に忍と会ってしまうというのは、あまりにもばつが悪かった。忍には、藤井が誰と待ち合わせているかなどわかるはずもないのだが、藤井は平静を装うのに必死だった。
「ああ、仲村か。買い物か?」
「はい、ちょっと本屋さんに行こうかと思って」
そういって忍は微笑んだ。はにかんだような線の細い笑顔だった。地味な白いワンピース姿で、学園にいる時と印象は変わらない。清楚ではあるが、その弱々しさが藤井のような人間には加虐心をかき立てさせるのだ。
「仲村は読書家だったっけな」
そういえば忍は、年頃の女の子とは思えないような古めの小説をよく読んでいたりして、驚かされることがあった。
「先生は、友達と約束してたんだけど、急病になったとかですっぽかされちゃったよ。帰って大人しく部屋の片付けでもするさ」
藤井は、わざとらしく肩をすくめた。
「もしかしてデートだったんですか?」
忍が興味深そうな表情で尋ねる。へぇ、この子もこんな表情するんだ、と藤井はちょっと驚いた。
「ははは。だったらいいけどね。残念ながら男だよ。大学時代の友達」
大人しい忍とはいえ、女性の影など見せたりすると学園中に噂はあっという間に広がる。気をつけなければ。
すると忍は、何か言いかけたような表情をしたが、そのまま言葉を飲み込んだ。
「じゃ、私、これで」
「おう、明日学園でな。盛り場で悪さなんかするんじゃないぞ」
「いやだ、そんなことしませんよ」
まぁ、忍に限ってそういう心配はないだろうが、一応言ってみただけだ。人混みの中に消えていく忍の華奢な背中を見送ってから、藤井は家路についた。
今夜は、例の小説の中で、忍をモデルにしたキャラクターに、思い切り恥辱を味あわせてみようと藤井は考えていた。そして、ああ、おれってつくづく最低な教師だよなぁとも思った。
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電人blog |
著者=小林電人 長年夢見ていた自分の「理想のSMビデオ」を自主制作したことがきっかけで、AV&SM業界のはじっこに首をつっこむことになった都内在住の40代自営業。ひたすら羞恥責め、アナル責めを好み、70年代永井豪エッチ漫画の世界を愛する。これまでの監督作品として「1年S組 高橋真弓のおしおき」「同2」「穴牝奴〜町内会人妻肛虐倶楽部 」がある。以前、永井漫画をモチーフにした小説をネットに発表したことはあるが、オリジナルは本作が初めて。 |
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