スナイパーアーカイブ・ギャラリー 1981年2月号【5】
法廷ドキュメント 晒された秘部 第五回 文=法野巌 イラスト=笹沼傑嗣 男の目の前で白い裸身が顫え、秘唇が引き裂かれる |
前回掲載してご好評をいただいた法廷ドキュメント第二弾です。挿絵ともどもお楽しみ下さいませ。
淫事の果て
早夜は男の一物を口に含んだ。それは巨大で、男を歯で傷つけないために、思い切り口を開かねばならなかった。男が根元まで挿入してきた時、早夜は思わず叶きそうになった。喉の奥の粘膜への刺激のためであった。
一平はどうしようもなかった。為す術を知らなかった。今、目の前で愛する妻が男の一物を口の中に迎え入れている。こんなことは一平は今まで一度もしたことはなかった。最初のうち早夜は苦しそうに喉を鳴らしたりしていたが、2回、3回と頭を前後に揺動させているうちに、コツを知ったのか、滑らかな動きをするようになっていた。
これは早夜の裏切り行為ではないか。
いやこんな状況では仕方のないことだろう。
一平は目の前の陰惨で淫靡な光景を眺めながら煩悶していた。
男は早夜の口から男根を外すと、彼女を布団に仰向けにして横たえた。そして、彼女の足の縛めを解くと、両足を割り、その太股部に男の腰をあてがい、そしてゆっくりと沈めていった。
男の腰はまるで蒸気機関車のように激しいスピードで動いていた。快楽の頂点を意図的に早めているような動きであった。男は身を早夜の体内に入れて5分もたたないうちに、快楽の泉を爆発させたようであった。男の短い呻き声がそれを示していた。
だが、男はそのままの姿勢をしばらく続けていたかと思うと、又、再び動きを開始した。2度めに挑戦したのだ。しかも一時たりとも早夜の体から男の体を外さないままで。
一平には信じられないことであった。
彼の2週間どころか、1カ月分ほどの行為を今、男は目の前で演じているのだ。極めて短時間のうちに。
早夜は、男が彼女を犯してから5分もたたないうちに射精したことを感じた。
これで終わりだ。そう思ったのがいけなかった。気を緩めたのが間違いだった。男は射精後も早夜から離れなかった。その男根は相変わらずの力強さを保ったままで早夜の体腔内にとどまっていた。そして、再び快楽の波を生じさせるべく始動したのだった。
あっと思った。だが手遅れだった。
早夜の体は、男の2度めの攻撃を迎え入れてしまった。局部に快楽の火がついてしまっていた。その火は早夜にも予想のつかない火だった。このような火がつくことを早夜はこの時初めて知ったのだった。点火した火は僚原の火のように早夜の体中に広まって行き、快楽の波はどうしようもないほどの高波となり早夜を翻弄した。
もはや押さえることは不可能だった。
早夜は呻き声をたて、足を男に絡ませ、快楽を肯定する短い言葉を発した。この快感の波から逃げるためには、自分も一緒になって動きを共にすることだと早夜の肉体は考えたのかも知れなかった。
驚いたのは早夜だけではなかった。
一平の衝撃はすさまじいものがあった。
たったの今まで見ず知らすだった男に犯されながら早夜は喜悦の声をもらし、そればかりではなく、その両手両足でもって男に絡みついてさえいるのではないか。
信じられないことだった。あの大人しい早夜が、一平との夜の生活においても極めて淡白だったあの早夜が。
一平は恐ろしかった。それは男の振る舞いに対するものではなかった。早夜が、いや女というもの全般に対する恐怖であった。
嵐は去った。男はたて続けに5回早夜を犯した。早夜の体は全く別人のように男に反応していた。5回犯した後で男は金を奪い、等々力家から去って行った。
犯人が逮捕され、強盗の罪で起訴された。犯人の白木継夫には前科があり、実刑を科されることは間違いのないことだった。
だがたとえ継夫が実刑となり再び刑務所に収監されようと一平の気持ちはおさまりようがなかった。事件の発生した以前の状態に戻すことは不可能だった。早夜との平穏な、平和な生活を取り戻すことは絶望だった。
早夜は、事件後も一平にはよく尽くしてくれていた。優しかった。それはあの事件を忘れるためとしか言いようのないほど献身的なものであった。
一平もそんな早夜が哀れであった。しかし一平は早夜が相変わらず従順で優しいのがたまらなかった。そうであればあるほど一平は苦しかった。遣り場のない怒りが湧いてきて、体が引き千切れんばかりとなるのだった。何に対する怒りだろう。犯人に対してか。応えてしまった早夜に対してか。早夜を喜ばせることの出来ない自分に対してか。
早夜には夫の苦しみがわかっていた。
だがどうすることも出来なかった。
そして一平は自ら命を断った。
(おわり)
07.06.06更新 |
WEBスナイパー
>
スナイパーアーカイヴス