すあまにあ倶楽部 第2回 石原めぐみがいた風景を訪ねて 文=抱枕すあま |
セーラー服の似合う日本三大SM女優の一人といえば、分かっていただけるかもしれません。ちなみに、日本三大SM女優の他の2人は、小泉ケイさんと宮地奈々ちゃんです(小泉ケイさんのことは、現在発売中のS&Mスナイパー7月号のp.198『SMビデオ探偵団』にて、西村知彦さんが詳しく述べられています)。
ビデオでは、『狙われた女子校生 放課後の愛奴』(アート)、『インモラル天使\x87[』(シネマジック)といったSM作品に出演していました。カメラマンの杉浦則夫氏が撮影した写真集『美少女SM』(三和出版)は、未だに不朽の名作といわれています。人気サイトの『SM探偵団』で実施した、20世紀に制作されたSMビデオの人気投票において、作品部門では『女体実験』(ベティー)が第10位、女優部門では堂々の第1位に輝いています。石原めぐみちゃんは、名実ともにSM女優のナンバー1なのです。
↑こちらが石原めぐみちゃん。ジャケットは『おんな犬の啼く夜』(シネマジック)です。
私は、この石原めぐみちゃんの大ファンです。いつか本人とお会いして、彼女の温もりを感じたい……。まるで中学二年生の男子生徒のような、常に悶々とした日々を過ごしているのです。そんなある日のこと、私は石原めぐみちゃんが出演しているビデオを見ていて、急にあることを思いついたのです。
そうだ鹿島旭、行こう。
なぜそう思ったかというと、石原めぐみちゃんが出演した『ミニスカ首輪調教VOL. 2』(桜桃書房)を見ていたら、画面いっぱいに鹿島旭駅が映し出されたのです。そして、石原めぐみちゃんは、鹿島旭駅のそばにある公衆電話で、電話をかけていたのです。
(石原めぐみちゃんが触れた受話器に私が触れることができれば、彼女の温もりを感じることができるのではないか?)
そう思った私は、いてもたってもいられず、鹿島旭駅へと旅立ったのです。この鹿島旭駅、茨城県の大洗海岸の近くにあります。都内の私の家からは、とても遠いところにあるのです。上野駅9:49発の常磐線に乗ると、水戸駅には11:59に着きました。この時点で、もう既に3時間近く電車に乗っていました。座りっぱなしだったので、かなり腰が痛くなっています。しかし、目的地の鹿島旭駅へ行くには、そこからさらに鹿島臨海鉄道大洗鹿島線に乗り換えなくてはならないのです。
結局、鹿島旭駅に到着したのは、12:37でした。自宅から鹿島旭駅まで来るのに、3時間以上もかかったのです。し、しかしですね、つ、ついに念願の鹿島旭駅へとやって来たのですよ!石原めぐみちゃんが目にしたのと同じ風景が、私の目の前に広がっているのです!!
↑やっと会えたね、めぐみちゃん。
まず私は、ビデオの舞台となった駅舎を撮影することにしました。鹿島旭駅は、私以外に誰も降りる人がいない小さな無人駅でした。そのため、誰にも気兼ねすることなく撮影ができたので、駅舎を様々な角度から撮っても5分くらいで終わってしまいました。
そして私は、今回の旅の最大の目的である、石原めぐみちゃんが電話をしていた公衆電話へと向かい、ゆっくりと歩き始めました。ずっと大好きだった石原めぐみちゃんの温もりを、10年以上の歳月を超えて、ようやく感じることができるのです!! 一歩進むごとに、憧れのめぐみちゃんに近づいていきます。宇宙飛行士のニール・アームストロング艦長と同じ気持ちになり、ついつい『人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ』と呟いてしまいました。
そして、その公衆電話がコレです!!
あ、あり!?
公衆電話がないじゃん……。
車が止まっているだけだし……。
車の下や壁の隙間も調べましたが、公衆電話はありませんでした。とほほっ。3時間もかけて来たというのに……。10年という歳月が、何もかも変えてしまったのです。公衆電話は別の場所に移動し、昔の緑色の電話機からISDN対応の灰色の電話機へと変わっていました。どうやら、この10年の間ずっと変わらなかったのは、私の石原めぐみちゃんに対する想いだけでした。
しかたがない、帰るか。結局、3時間以上かけてやって来た鹿島旭駅の滞在時間は、ほんの10分程度でした。これから、また3時間以上もかけて、家に帰るのです。さてさて、現在の時間は12:50です。次の電車はと……。
えっ!次の電車、13:44ですかッ!? 今、12:50ですよ!! 次の電車が来るまで、1時間近くあるんですけど……。行きは3時間以上かかりましたが、帰りは4時間以上かかることになりそうです。しかも、この鹿島旭駅の周辺には、飲食店どころか、コンビニも何もないのですよ。どこかで昼食を食べればいいやと思っていた私は、食べる物を何も持ってきませんでした。ポケットの中には、ボンタンアメの空箱しか入っていません。お腹が減ったよぉ〜〜
しかたがない。自分の指をしゃぶって、空腹を満たすか。ちゅぱっ、ちゅぱっ、ちゅぱ……。やっぱ、人差し指が一番美味いな。電車が来るまで、薬指を肴に、人差し指をしゃぶっていよう。ちゅぱっ、ちゅぱっ、ちゅぱっ……。
抱枕すあま 『SM探偵団』(ガッツ)で男優兼監督としてデビュー。その後、カメラマン、照明を経てスタッフその3となる。着実に一歩ずつ大物監督へのステップを踏み外している。最近では、『SM魔女狩り審問会』(エピキュリアン)において、金属製拘束具のデザインおよび製作を担当した。抱き枕との生活を綴ったブログ『すあま日記帳』もある。 |
07.06.10更新 |
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