毎週日曜日更新! あの日“アイツ”を追いかけた 全ての女子たちへ! 「腐った遺伝子」 第12回 文=早川舞 ←『ペンギンのおかいもの』 発行:幻冬社 著者:さかざきちはる 定価:1,260 円(税込) COPYRIGHT 2006 GENTOSHA INC. ALL RIGHTS RESERVED. |
うわあああああ! ワタクシ、恐れ多くも前回の遠藤遊佐さんの記事に顔出しして(されて?)しまいました! しかも堤さやかタンに似てるなんて……御大! そりゃ買いかぶりすぎってもんです! 私なんて人よりちょっと嘔吐が得意な三流女王ww に過ぎません。今まで似てると言われたことのある有名人なんて、実際Suicaのペンギンぐらいなもんです(……人?)。
しかし、御大のそんな記事の直後に載った私の記事のトップ画像が、いきなり『忍たま乱太郎』とは……もう、何でもありにもほどがありすぎですWEBスナイパー!
年末にはワタクシ、コミケのレポートにも行ってまいります。しかもガチで「腐臭」の漂う3日目。
念のために付け加えておきますが、「腐臭」の「腐」は「腐女子」の「腐」ではありません。そんな概念的な甘いものではなくて、本当の、本物の腐臭で館内が覆い尽くされる、悪名高き「コミケの3日目」です。『風の谷のナウシカ』の「火の7日間」とちょっと似ていますが、こっちのほうが圧倒的にかっこわるいです。
目的はSNK系のふたなりエロ同人誌をゲットしてくることです。あと、3日目だからあんまり期待してないけど、『ヴィンランド・サガ』のやおいもほしいなぁ。おっさんと美少年のカラミが見たいです。北欧に行くときのオカズを増やしたい。
(前回からの続きです)
SMは知っているけれど、実際にその世界に足を踏み入れるところまでは行っていないという中途半端な状況のときに出会ったのが、五反田にあった「サーバント」というお店に在籍していらっしゃったゆい女王様でした。きっかけは、風俗誌でのインタビューの仕事でした。
それまでSMの女王様に顔見知りはいるけれど、面と向かってしっかりお話をしたことまではないという私にとって、そのインタビューは新鮮の一言に尽きました。
スラリとした肢体をレザーのコスチュームで包んだ、当時の私には極めて「コスプレ的」に見えたゆい女王様の、「SMは相手を思いやる気持ちをベースにした、特殊なだけに濃い関係性が生まれるゲームのようなもの。それは愛情表現にもよく似ている」という持論は、それまで、あくまでも見た目だけを追求し、静止画的であった私の「理想の世界」に新たな息吹を吹き込んでくれました。
それは今思うと「理想の世界」が二次元から三次元に変化して、「実際に手で触れられるものになった」瞬間であり、自己顕示欲と自己愛をルーツとした「不特定多数を侵食したい」という漠然とした原始的な欲求に、具体的な手段と精神論が示された瞬間でした。
私はこのときに初めて、脳だけでなく、実際に自分の体で、理想と現実の世界を行き来できるようになりました。
とはいっても、「理想の世界」を構築可能な「土地」の利権を手に入れられただけで、そこに何かしらのものを構築する手腕という意味では、技術不足や懐の狭さゆえに、なかなか思うようにはいきませんでしたが……。しかし、とにもかくにもそういう「土地」があったということは驚きでした。
その日のうちに私は、ゆい女王様からいただいた名刺に書かれていた彼女のメールアドレスに「お話に感銘を受けたので、私もやってみたいです」とメールを出しました。
ホント、もうちょっと考えろよって話ですが、もう「コレだ! コレしかない!」って思ってしまったんですね。多分、あのときが今だったとしても、考えずにやってしまっていたと思いますけど。
数日後、お店の方からの伝言ということで「それでは一度面接に来ていただけませんか?」というお返事をいただき、そこから私のSM人生が始まることになりました。
とまぁ、長々と抽象的なことを書いてしまいましたが、ワタクシも別に論で食って生きているような高尚な人間ではないですから、それだけで彼女に惹かれたわけではありません。
ゆい女王様は、とにかく美しかったんです。美しいといっても近寄りがたい、迫力のある美しさというよりは、少女の面影を残した愛らしい美しさでした。
それでいてハードなイメージの革のワンピースがとてもよくお似合いになっていて、喋り方も、かわいらしいながらも聞いている人を安心させるような落ち着きがありました。
先ほど書いたように、それまでも女王様と呼ばれる方たちにお会いしたことはあり、少なからず憧れもあったのですが、彼女たちの多くはモデルのようなクール・ビューティ系。チビで、どうがんばってもそういう方面の女子にはなれそうもない私には縁のないものだと思っていました。
ゆい女王様はそういった女王様がたとは違うカラー、言うなれば「かわいい系」の方で(何でもかんでも系統分けするのもいかがなものかと思いますが、ここはとりあえず)、そこに私は憧れと希望を抱いたのです。
「女王様のカラーってひとつじゃないんだ! こんな私にも当てはまるカラーがあるのかもしれない! 私もゆい女王様みたいになりたい!」と。
↑ゆい女王様はもう、一目見てかわいくてきれいでびっくりしました。今風にいうなら、萌え要素までお持ちの方です。ファーストインプレッションを絵にするとこんな感じ。私の人生において間違いなくベスト5に入る美人さんですわ。しかし、そのほかの4人ってどんな人かなぁと考えると、ことごとくSMの女王様だというのが何ともかんとも。
かくして私はライターを続けながら、週1回のペースでSMを始めることになりました。
この頃はまだ、ボンデージ衣装はコスプレの延長線上にあったことはいうまでもありません。というか、今でもそれは否定はできないんですけど(笑)。
しかし、始めてから予想外の困った出来事が起こりました。親バレでも仕事バレでもありません(※この頃はまだ顔出しをしていませんでした)。
それは摂食障害が日に日にひどくなったことでした。「理想の世界」が脳内にのみあったアイテムや衣装が実際に触れられるようになったということは、私が私自身に求めるもののレベルをさらに引き上げました。
そんな心情の変化に加えて、収入にも変化があったことが追い討ちをかけました。
週に1回といえどもSMなんてことをやっていると、やはり普通の大卒1年目の女子と比べれば、多少は多めの収入にはなるのです。
今日は食べ物を買いすぎちゃった、でも来週にはまたお金が入ってくるし……。そう思うと、どんどん歯止めが効かなくなりました。最盛期(笑)は少なくとも2日に一度は吐いていたような……。
思えばこの頃は人生でいちばんメイクにもお金をかけていたし、まがりなりにも風俗業界と呼ばれる世界の片隅にいたというのに、ホンットに貧乏だったなぁ……。
ここまで頻繁に吐いていると肉体的にもかなりつらくなり、それが精神にくることもありましたが、しかし、それが「理想」に直結していることから落ち込み一辺倒に偏ることもなく、ビョーキのレベルのヘビーさから考えたら、おおかた明るく過ごしていました。
とはいうもののやっぱりゲロでしたから、自分のサイトでカミングアウトして心情を吐露したりとか、友人に相談したりなんてことはできず、落ち込むときはひとりで徹底的に落ち込んでいましたが……やっぱりゲロだし、どう転んでも格好つかないしねぇ。
汚いし、恥ずかしいですよ。横文字の処方薬とかも出ないし。
そんなときに私の元に舞い込んできた話が「大食い大会」出場の誘いでした(笑)。
過食嘔吐の人って、文字通り大抵異様なぐらいの量を食べるんですが、それが見込まれてのことでした。そう、私はあと少しでギャル曽根になれるところだったのです(笑)。女王様だし、もうキャラ立ちすぎー。
元々転んでもタダでは起きたくないというか、変なところで楽天的な性分のある私は、この頃から、せっかく人より食べてゲロを吐いているのだから何かに使えないかと貧乏くさいことを思い始めており、SMクラブのオプションにゲロを付け加えようかと考えていたぐらいだったのですが、そんな矢先の話でした。
←『喰いしん坊! 2 〜大喰い苦闘編〜編』
品番:DMSM-7408
税込:4,935 円(税抜4,700 円)
販売元:GP ミュージアムソフト
発売日:2007/12/25
Copyright(C) 2003 GP ミュージアムソフト Allrights reserved
↑私ももしかしたらこういった作品に出演することになっていたかもしれないのです(笑)。なかばやけっぱち気味な出演者の変な豪華さがすごい。どんなドラマなんでしょうね。ドラマといえば小林尊さんのホットドッグの食いっぷりは間違いなくドラマですよね。「早食い界のマイケル・ジョーダン」の異名をとっているらしいです。
(続く)
早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。 現在、フェティッシュ・ミックス・バー「ピンク・クリスタル」に毎週木曜出勤。
Reverse Dead Run |
07.12.23更新 |
WEBスナイパー
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