化け物や女子高生の死体を観て得した気分になろう!『ムラサキカガミ』公開中!!

世代を超え地域を越え、今も中高生の間で広がり続ける都市伝説「紫の鏡」。この伝説をモチーフにした究極の学園ホラーが誕生した。忌まわしい事件、封印された校舎、車椅子の女、そして血にまみれた戦慄のクライマックス!　次々に襲いかかる恐怖に無防備な女子校生たちが震え上がる!
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確かに昔、聞いた気がする。「夜の何時だかに鏡の前で『紫の鏡』と5回唱えると、化け物が殺しにやって来る!」。さらに話を全部聞かされた後こう続く。「この話を20歳の誕生日までに忘れなければ、誕生日とともにやっぱり化け物が殺しにやって来る!」。
聞いたのは小学生くらいだったか。(おい!　それはねーだろ!)と思いつつ、「ハハハ!　下らねー!!」とか言いながら(やばい、早く忘れなきゃ、考えないようにしよう!　よし、そうすれば忘れられるハズ……)などと焦っていたのを思い出す。幸い俺はもうとっくに20歳を越えてしまった。ちょっと寂しいが、殺されるのよりましだ。もし、今初めてこれを読んだ君が19歳とかだったら御愁傷様。「来週はたちの誕生日です!」。とかだったらもう手遅れだから諦めよう。

主人公は小学生で衝撃のFカップ少女としてグラビアデビューし、現在は高校生になった紗綾。初の主演となる今作では、ダイナマイトボディをジャージの下に隠し、地味でいかにも第六感の強そうな女の子を演じている。本作は出演者が全て女性で、男はなしというのもおもしろい。

母親は他界、父親は仕事で不在がちという寂しい境遇の美奈子(紗綾)。学校泊まり込みのテニス合宿を前にして、最近不吉なことが相次いでいる。そんな中、顧問の佐々木先生(長澤未央)が恐ろしい話を始めた。「夜の11時35分、大鏡の前で『紫の鏡』と5回唱えると焼けただれた少女が殺しにくる。10年前、実際に学校に忍び込んでその噂を試した生徒は、翌朝顔の皮を剥がされた死体で見つかった……」。


やがて始まる合宿。1日目が終わったところで美奈子の友達、絵里(上杉奈央)がいなくなってしまう。そのまま最終日を迎え帰り支度をしている美奈子達。そこに上級生達がやって来て告げる。「絵里がいなくなったのは1年生全員の連帯責任。罰としてクジで当たった3人に、今晩『紫の鏡』を実際に試してもらいます」噂をシリアスに捉え、一番いやがっていた美奈子は当たりくじを引いてしまい……。

というのがストーリーだが、なんと言ってもこの映画、女子の上下関係がよかった。たとえば、美奈子達後輩を指導するキャプテンの女の子(岡本奈月)。合宿中に「もっと声だせー!」と統率してるシーンは観ていて全然幸せになれないし、「なんかこの子、勝間和代に似てるなー」くらいの感想しかなかったのだが、合宿も終わり再び現われた時の彼女の輝き。「今から罰ゲームをやってもらいます」と宣言する彼女はさっきと同じ子なのか?というほどに活き活きして、たとえるならクリスティーナ・リッチだろうか。顔まで違ってみえて、やはり女の子は部活なんかしないで、イジメだけしていて欲しい!　そう感動した瞬間だった。
さらにその仲間の、同じく先輩のおかっぱの子。一列に並ばされた後輩達に「ホラ!」と無言でクジを引かせていく仕草は、『女体拷問人グレタ』が一瞬フラッシュバックするほどサディスティックで、観ていて思わず自分も列の最後尾に加わりたくなる。内気そうな美奈子と相まって、すばらしい興奮度だった。


恐怖映画としても、調べものをする先生の背後に女の子が立っているが、振り向くと女の子は消える。とか、ふざけてやって来た女子高生達は無事帰って行くが、カメラは動かず、観客だけが物陰から何かが見ていたのを知る……。など小出し演出で、恐怖感をあおってくれる。先輩からは「ズルをしないように証拠を撮ってこい」とハンディカメラを渡され、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』風の演出も抜かりない。
しかしこの映画、恐怖だけでなく、その後の惨殺死体までちゃんと映るのがうれしかった。したたり落ちるようなジワジワした恐怖体験をした後は、、化け物と思い切り遭遇!　そして惨殺死体が画面に広がる。なんたって、生首が階段を転がり落ちるところもばっちり観られるし、顔の皮を剥がされた死体も、下駄箱でバラバラになった死体も全部観られるのだ!　なんだか凄く得した気分になるではないか。

ところで映画の前半、奈美子の周りで流行る不吉な写メール。友達が怪物に首を絞められている写真なのだが、その怪物の映り過ぎ感がもはや不吉を通り越してポップだった。照明まで当たってるし、あれはギャグだったのか……。待ち受けにするから「恐怖写メキャンペーン」とかいってぜひ配って欲しい。

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『ムラサキカガミ 』
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