WEB SNIPER Cinema Review!!
ヒット映画『キック・アス』を越える!? スーパー素人ヒーローが誕生!!
冴えない夫フランク(レイン・ウィルソン)は、セクシーでイカれたドラッグディーラー(ケヴィン・ベーコン)を追って彼の元を去った妻(リヴ・タイラー)を取り戻すために、クリムゾンボルト=赤い稲妻へと変身! お手製のコスチュームを身に纏い、クレイジーな相棒ボルティー(エレン・ペイジ)と共に危険地帯の犯罪に立ち向かう。すべては愛する妻のために――。SFホラー・コメディ『スリザー』でデビューした俊英ジェームズ・ガン監督の意欲作!!7月30日(土)よりシアターN渋谷、新宿武蔵野館にて“シャラップ クライム!”スーパー!ロードショー! 他、全国順次スーパー!公開!!
アメコミを原作にしたヒット作『キック・アス』を御覧になった方は、いったいどれくらいいるだろう。
冴えないオタク高校生って設定だけどよく見るとイケメンな主人公、ロリコン垂涎の強くて可愛いヒロイン・ヒットガール。そんな大作じゃないのにいきなり出てきてハリウッド感をアップさせるニコラス・ケイジ、人がガンガン死ぬスーパーアクション。
私ももちろん観て2時間熱狂した。でも、正直言ってこっちのヒーロー、こっちの映画のほうが数段凄いと思う。
そう、スチール写真を観てもらえば一目瞭然だが、この作品、期せずしてキャラや設定が『キック・アス』に酷似しているのである。
でも、これだけは言いたい。「どうせ『キック・アス』がヒットしたから二匹目のドジョウ狙ったんでしょ」なんて思ったら大間違いだ(いや、もしかしたら便乗する気持ちもあるのかもしれないけど、観終えたときの感動はまったく別物!)。
『キック・アス』は、冴えない高校生がアメコミヒーローに憧れて勝手にヒーローになり、街の小さな悪を退治するというストーリーだった。やがて、ギャングに復讐を誓った銃器マニアの元刑事とその娘が現われ、話は空を飛んだり爆発したりとどんどん派手に大きくなっていく。
しかし、こっちのヒーロー“クリムゾンボルト”は、もっと全然しょぼい。なんといっても中の人・フランクはご覧の通り腹の出た中年で、職業は場末の食堂のコック。自分にはそぐわない美しい妻(リブ・タイラー)だけが幸福の源だが、それも元ヤク中だった彼女が更生するためにした結婚であり、案の定、ある日ドラッグディーラーの男に奪われてしまう。
妻に去られたフランクは、テレビで観たアメコミヒーローに感化され(でもこのアメコミヒーローも、マニアからは「超つまらない」と言われるような駄作)、妻を取り戻すためにクリムゾンボルトに変身する。ちなみに、『キック・アス』のヒーロースーツはネットで買ったものだったけれど、こっちはキンカ堂みたいな店で布を買ってきて縫ったお手製だ。
内気で、真面目で、とにかく妻一途。それだけだったらいかにもなアメコミヒーローの中の人。でもフランクはそう一筋縄ではいかない。なんというか、どれをとっても過剰なのだ。
テレビアニメを見ているうちに触手に襲われる妄想をしてしまうほど“内気”だし、映画の列に割り込んだ男をスパナで殴って血だらけにしてしまうほど“真面目”、そして最後にはドラッグディーラーのアジトに乗り込み、手下を皆殺しにして妻を取り戻そうとするほど“妻一途”。
このブッ飛びっぷりは『キック・アス』以上だろう。しかも、本人はいたって真面目に考えたり悩んだりしているのに、ちょっとネジがゆるいせいでそうなってしまう。スケールが小さいぶん妙にリアルなところもたまらない。
そうそう、あとこれを忘れちゃいけない。クリムゾンボルトの相棒・ボルティー!
『キック・アス』ではなんといっても可愛い顔でガンガン人をブチ殺すヒット・ガールに釘付けだったが、こちらのスーパーヒロインもかなりキテる。
彼女はアメコミショップの店員で、フランク以上に何をしでかすかわからないクレイジーガール。そして冴えない中年男であるフランクにさえ迫るほどのヤリマンだ。演じるのは『JUNO』でヒロイン役を演じたエレン・ペイジ。小さく華奢なつるぺたボディをヒロインスーツに包み、楽しそうに大笑いしながら目をふさぎたくなるような過激さで“悪を退治”する。
身長が195\x87pあるフランクと2人並んで戦う姿はちょっと見物。ロリコンでヤリマン好きな貴君は必見でありましょう。
そして、テンションMAXのボルティーを伴い、妻を取り戻しに向かうクリムゾンボルト。
辛く危険な戦いを乗り越え、危機一髪だった妻を真面目に一途に助け出した彼は――。
あっという間に上映時間の90分が経ち、結局この話はフランクという冴えない中年男の、一生一度の恋物語だったのだということに気づいた。
ラストシーンは、これまでのはちゃめちゃぶりに比べるとびっくりするくらい普通だ。まったく派手じゃないしスッキリしない終わり方。
でも、このいたって平凡な終わり方こそが、この作品の一番の名シーンなのだ。アニメーションによるポップなオープニング(これもたまらない!)と併せて、じっくり味わってもらいたい。
文=遠藤遊佐
手作り感満載のコスチュームを身い、
スーパー!素人ヒーロー“クリムゾンボルト”参上!
FLV形式 4.92MB 1分30秒
『スーパー!』
7月30日(土)よりシアターN渋谷、新宿武蔵野館にて“シャラップ クライム!”スーパー!ロードショー! 他、全国順次スーパー!公開!!
映画『スーパー!』7月30日(土)初日来場者全員に「スーパー!うちわ」プレゼント!!
レイン・ウィルソン『ギャラクシー・クエスト』× エレン・ペイジ『JUNO/ジュノ』『インセプション』 × リヴ・タイラー『アルマゲドン』 × ケヴィン・ベーコン『フットルース』
まさかの豪華キャストが勢揃いした本作、7月30日(土)初日ご来場いただきましたお客様には、気前よく“スーパー! うちわ”を全員にプレゼント!!!
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映画『スーパー!』公式サイト
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