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GIGA作品の撮影現場に潜入!
特撮AV製作の裏側をお見せします!



インタビュー・取材・文=
安田理央


作品からは想像できない製作の苦労がココにある!? 一味違うGIGAさんの撮影現場へ、安田理央さんが潜入!


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羹灼監督の「サイボーグヒロイン 機械戦士マシンジャー」の撮影現場にお邪魔してきました。これはサイボーグヒロインという新しいシリーズの第一作目。主演は鈴木杏里さん。ファッションモデルのような彫りの深い超美貌とスーパープロポーションでありながら、実は古い歌謡曲や昔の漫画が大好きというサブカルっ子にはたまらない女の子なのですよ。このGIGAの撮影にも自ら希望したとか……。これは期待が高まりますね。

さて長時間にわたることで知られるGIGAの現場。事前に入手した香盤表(各シーンごとの出演者が書き込まれた表。撮影スケジュール)を見ると、午前6時30集合で8時には撮影開始。そして終了予定は24時! これは確かにハードです。
最初から張り付かなくては、とも思ったのですがちょっと日和って10時過ぎに大森のGIGAスタジオを訪ねました。
その時は、野外ロケの真っ最中。付近の公園脇の裏道で、戦闘員とマシンジャーがアクションを繰り広げておりました。赤と青のツートーンのキカイダー系のサイボーグ。細かくカット割りしつつ、アクション指導が入りつつも、サクサクと撮影は進んでおります。
想像していたよりもスタッフが少人数ですね。カメラを持った羹灼監督の他にはスタッフは3名、そしてメイクさんのみ。あとは主演の鈴木杏里さんと戦闘員が3名の計9人の現場です。あのテレビドラマ並みの画面の作り込みから考えると、もっと大所帯だと思ってました。しかしだからこそ小回りが効くということでしょう。この後も、スタッフが出演したり、戦闘員が他の怪人になったりと何役もこなしていくのです。


↑アクション演技の指導はかなり細かい。


それにしても8月です。めちゃくちゃ暑いのです。その中で、こんな顔まですっぽりと覆う衣装を着てアクションを決めるのですから、大変です。短い休憩があると杏里さんや戦闘員たちもマスクを外して水分を取っていたのですが、もうみんな汗びっしょり。こりゃあ、体力いるわぁ。こんな調子で夜中までもつんでしょうかと心配になります。


↑こまめにマスクを取らないと暑くて倒れてしまう……。


美人でナイスプロポーションが魅力の鈴木杏里さんの顔も身体も隠してしまうなんてもったいないなぁと思ってしまうのが正直な感想。しかしじっと見ていると、コスチュームの下はノーブラらしく、おっぱいが透けて見えるんですね。そしてコスチュームも肌にぴったりと貼り付いたものですからボディラインはくっきりとわかって、これはこれで結構エロティックだなぁと思ったりして。マスクで表情がまるっきりわからないというのも、不思議な感じですしね。

さて、お昼前に外撮りは終了。スタジオに戻って昼食です。ガウン姿の杏里さん、お弁当を食べながら持参したiPodにスピーカーをつないで音楽を聴いているのですが、その選曲が渋いのなんの。沢田研二に堀江淳に野口五郎ですよ。そして松田聖子に中森明菜はともかく、姫乃樹リカなんて、あんたどこのアイドルマニアですか。
「好きなんですよー。声が聖子ちゃんっぽくないですか?」だって。噂に違わぬマニアックな子ですね、杏里さん。


↑渋い懐メロを聴きながら食事中の鈴木杏里。



ちょっと撮影の感想を聞いてみましょうか。
「普段運動してないから、大変ですね。こんなに動いたのはビリー・ザ・ブートキャンプ以来ですよ」

ちなみにビリーは2周きっちりやったとか。それはすごい。
「マスクがきついですね。息ができないし、周りの音がよく聞こえないんです。こういうのかぶるのって縁日のお面以来ですね」

いや、縁日のお面はこんなに頭をすっぽり覆わないですけどね。

ちなみに前述の通りに杏里さんは自分から出演を志願したほど、昔の特撮ヒーローが大好き。
「昔の仮面ライダーとか、キカイダーとか。一番好きなのはレインボーマンですね」と、やっぱりマニアック。

そんな間にも、スタッフはスタジオでセットの準備をしていました。ガランとしたスタジオの奥から様々なセットが引き出されてきます。怪しげな機械パネルや拘束台。メカはPCの部品やキーボードなどをメタリックに着色して、それっぽく見せてるんですね。計器やスイッチがたくさんあるのが昭和特撮っぽくていい味出してます。あっという間に悪の組織の拷問室ができあがりです。

スタジオの奥には、ビル街のミニチュアなんかもありました。巨大ヒロイン物を撮る時に使うんでしょうね。いや、ホント。スタジオのあちこちに興味深い小道具があって、楽しいのなんの。


↑よく見ると身近な材料で作られていることがわかる。


↑楽しげな小道具(笑)がいっぱいのGIGAスタジオ。


↑スタジオの片隅には巨大ヒロイン用のセットも。


そうこうするうちに午後の撮影がスタート。まずはスチール撮影です。ビシっとマシンジャーのコスチュームを決めた杏里さん。顔だけ出した姿だと実に美しくカッコイイんですよね。長い黒髪が素敵、素敵。ああ、この美貌を隠しちゃうなんてもったいない。

でも、マスクをつけたらつけたで奇妙なエロティシズムが生まれるのが、また不思議。このマシンジャーの顔、なかなか美人な造形ですしね。

ポーズにはかなりこだわりがあるようで、監督や役者さん(一般の特撮番組などの経験もあるベテランさんみたいです)たちから、指導が入りまくりです。


↑美人のこういう格好は素敵すぎる!


そしていよいよ拷問シーンの撮影なんですが、その前にマシンジャーがやられて機械が剥き出しになっているという細工をするんですね。コスチュームの下のボディスーツの上に、「機械バレ」(何かの回路基盤)をはり付けて、コスチュームに穴を開けて行くわけです。原始的な手法ではありますが、ちゃんと壊れて機械が剥き出しになっているように見えますよ。


↑機械バレの部分を貼り付ける。手作り感覚の特撮。


あちこち破壊され、ボロボロになったマシンジャーが鎖で繋がれ、立ち大の字に拘束されます。うわぁ、なんかこれ非常にエロティックですね。このサイボーグヒロインは、こうやって機械の身体を破壊されていくのを主眼においたシリーズということなんですが、なんかツボがわかるような気がします。ちょっといいなぁ、こういうの。




↑GIGA定番のスモークはこのマシンで噴出!





↑WS読者へのサービスカット(笑)。作中では全裸は一切なし!


そこへ悪の組織の首領・プロフェッサーミゲルと、ごっつい怪人のデストラーが現れてマシンジャーを拷問します。中の人は午前中に戦闘員だった人たちです。
殴ったり、機械が剥き出しになった部分へ電撃を与えたり、ドリルを突きつけたりします。
「貴様の身体をバラバラに分解してやろうか」
ミゲルが甲高い声で言いますが、あれ、ミゲル役の人は身振り手振りはしているだけで、声は別のところから聞こえます。なんだ、監督がカメラを構えながらミゲルのセリフを言ってるじゃないですか。なかなかの演技力ですね、羹灼監督。しかも脚本に無いようなセリフもどんどんアドリブで作っちゃってます。

実際、事前にもらった台本と、大きな流れは同じなんですが、細かいところはかなり違ってます。その場でどんどん変更して作っていってるようです。即座にカット割りなんかも考えながらやっていて、その臨機応変な演出力は素晴らしいですね。

撮影中、定期的にスタジオの隅に置いてある装置からスモークが噴出されます。スモークが充満している向こうから逆光になる強いライト。おお、これがGIGAおなじみの照明セッティング。このライティングを見るとGIGAだなぁと実感しますよ。

あと小道具の準備に結構時間を食うんですね。普通のAVの現場では、男優の勃起を待つ「勃ち待ち」なんて時間があるんですが、GIGAではかわりに小道具待ちがある。いや、それでもかなりテキパキと進んでましたけどね。

さて、電撃でも屈しないマシンジャーに、今度はコンピューターウィルス攻撃です。マシンジャーのシステムにウィルスを送り込んで淫乱にしてしまうという作戦。マシンジャーは自分の意志とは裏腹に、快感に翻弄され、オナニーまで始めてしまうのです。

実はこれも当初の脚本には無い展開。あちこちが壊れた女サイボーグが、身体をくねらせながら自分の胸や股間をまさぐる姿は、かなりエロいです。羹灼監督冴えてますねぇ。

システムが誤作動を起こしたということで、マシンジャーのマスクが取れて人間の顔になります。なぜかオッパイも生身になります。さっきまで機械が剥き出しになっていた穴から、杏里さんの生オッパイが顔を覗かせます。

いやぁ、ここまでAVの撮影現場に来ていたことをすっかり忘れてましたよ。なので、いきなり現れた杏里さんの生オッパイが眩しいのなんの。普通の現場で見るのより、ありがたい感じがしました(笑)。

戦闘員がマシンジャーの身体をまさぐり出し、どんどんAVっぽくなってきましたよ。大股広げて喘ぎまくる杏里さん、さすがに色っぽいです。

しかし、ここからまた現場はAVっぽさがなくなるんですね。うつ伏せで縛り付けられたマシンジャーに巨大なハンマーを持ったデストラーが近づいていきます。さっきまで剥き出しになっていた生オッパイも再び機械になって隠されています。残念。

さぁ、いよいよ本作のクライマックスシーンです。デストラーがハンマーでマシンジャーの両手両脚を破壊して行くというんです。両手両脚がもげて、達磨のようになってしまうというショッキングな展開。

羹灼監督、これはどういう特撮を使うんですか? と思わず聞いたのですが、
「うーん、どうしようかなぁ……」

え、まだ決めてないって……、これがハイライトなんじゃないですか?

しかし、羹灼監督は非常にアナログな手法でありましたが、見事にマシンジャーの手足を一本一本破壊していくシーンを撮っていきました。現場だと、正直よくわかりませんでしたが、たぶん完成品では見事に破壊されたように見えているはずです。

いやぁ、スタッフが少ないゆえの小回りのよさが実に心地いい現場でしたね。臨機応変にパッパッパと動いていきます。スタッフの多い大規模な現場だと、こうは行かないでしょうね。羹灼監督をはじめとするスタッフの若さで大学の映画研究会サークル的なノリも感じられつつも、プロならではの手際のよさも光ります。何よりも、モノを作っているんだという楽しさが現場にあふれていることに感動しました。カラミ一発のAV現場では、あまり感じられないムードなんですよね。

ああ、いい現場だなぁとしみじみ思いました。僕も現場取材はずいぶんしてきましたが、こんなに見ていて楽しい現場は珍しいですね。

そして素晴らしい演技を見せてくれた鈴木杏里さん。苦悶の絶叫も、ヒロインっぽいセリフ廻しもお見事でした。そして現場の休憩時間に好美のぼる先生が昭和47年に描いた超カルトな漫画「妖怪七変化」を読んでゲラゲラ笑い、「これをGIGAで実写化しましょうよ〜」なんて言ってましたよ。さすが。

僕は10時過ぎに取材を終えたのですが、撮影はこの後も五反田スタジオに移動してまだまだ続くのです。おそらくてっぺん(24時)は楽に超えちゃったでしょうね。お疲れ様です。つくづく、好きじゃなくちゃできない現場だなぁと思いました。

いやぁ、現場取材したら、さらにGIGAファンになっちゃいましたよ!


文=安田理央


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yasuda_face.jpg 安田理央 エロ系ライター、アダルトメディア研究家、パンク歌手、ほか色々。この夏、ついに四十代に突入ですよ。もう人生の折り返し地点かと思うと感慨深い。主な著作に「エロの敵」「日本縦断フーゾクの旅」「デジハメ娘。」など。趣味は物産展めぐり。でも旅行は苦手。

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