写真シリーズ「ハイツ三文小説」【1】戸山ハイツアパートメント
ワタシは、団地の給水塔をライフワークで撮り歩いている写真家だ、と言えば聞こえは良いが、バブルがはじけてからというもの撮影本数が徐々に減り始め、昨今の出版業界不況のあおりを諸に被り、毎日がホリデー、明日をもしれぬ切迫した経済状況の身、飛び降りるに最適な団地を捜し、日々都内近郊を徘徊している。
しかし写真家の悲しい性なのかもしれない。死に場所を捜してるくせして、高層の団地に登れば、カメラを取り出し、ついつい給水塔を撮ってしまうのである。