スナイパーアーカイブ・ギャラリー 1981年2月号【4】
法廷ドキュメント 晒された秘部 第四回 文=法野巌 イラスト=笹沼傑嗣 男の目の前で白い裸身が顫え、秘唇が引き裂かれる |
前回掲載してご好評をいただいた法廷ドキュメント第二弾です。挿絵ともどもお楽しみ下さいませ。
真夜中の侵入者
等々力商店に押し入り、2人をロープで縛るところまでは等々力一平の供述調書のとおりである。以下、継夫が店を逃げ出すまでの出来事、裁判所には決してあらわれなかった出来事、しかも一番重要ではないかと思われる出来事を要約して述べる。
継夫が等々力商店に押し入ったのは、店先で眺めた女の存在かかなり大きな理由であった。出来ることならあの女をモノにしたい。金を盗ろうという気持ちは2の次であった。いや、継夫には女のことしか頭になかったのかも知れない。
出刃庖丁で2人を脅迫し、ローブで両手両足を縛り、身動き出来ないようにした後、継夫はしばらく、二人を相手に喋りはじめた。「ほおっ、なかなか別嬪さんじゃないか。こんなところに居るのが勿体ないな」「おい、お前ら俺の目の前で夫婦の契りってやつをやってみなよ。遠慮しなくていいんだよ御主人。あんまり遠慮してるとピンチヒッターをたてるよ」
一平と早夜は、出刃庖丁を持ったいかにも兇悪そうな男を目の前にして、ただ震えるしかなかった。ハンチングとマスクとで顔の大部分が隠され、男の目だけが異常な輝きを放っているのが一層不気味である。「おいどうした、夫婦は仲良くするもんだ。もっともそれじゃあ無理だな」
男は手にしていた出刃庖丁で一平の猿股を切り裂き、彼の陰茎を露出せしめた。それは暗い翳りの中で、息を潜めるかのように、小さく身を縮めていた。「へっ、なんだ、元気のない奴だな」
男は低く呟きながら今度は、早夜のゆかたをはだけ、下着を刃で切り開き、そして、ロープだけを残して、全裸にした。
男の目の前に、早夜の白い、豊満な、肌理の細かい裸身が晒された。「やめろ、やめてくれ!」
一平の腹からしぼり出すような声が男の耳に届いた。「何! せっかく俺が好意で、2人に楽しい時間をすごさせようとしているのに、やめろとは何だ。俺の言うことをきかないとためにならないぞ」
男は庖丁を畳にブスッと突き差すと、右の手拳で一平の頬を強烈な力で殴りつけた。ブスッというような肉特有の鈍い音をたてて一平の頬は男の暴力に歪んだ。
殴られて一平は男の脅迫が言葉だけでないことを悟った。抵抗すると本当に殺されるかも知れない。死んでしまっては何にもならない。この際は男の言うなりになって早くこの家から出て行ってもらおう。「わかりました。私が悪かった」「へえ、悪いだって、何が悪かったんだよ、言ってみろ」
男は酷薄な目の光を一平に向け、庖丁の刃の側面を頬にピタビタと軽く叩きつけながら言った。「この野郎、何も言えねえくらいなら最初から黙っていろ」
男は視線を早夜に向けた。「おい、おかみさんよ、お前の亭主と毎晩していることをやってもらおうか。夫婦だから別に恥ずかしがることもねえだろう。ふん、それじゃあ手も足も動かせないか」
男はそう言うと早夜の手を束縛していたロープを解いた。「さあ、まず、御主人のx×ポをマッサージしてやりなよ」
それから早夜は男の命ずるままに、一平の陰茎を愛撫し、口唇にて刺激を加え、口中に含み、彼の男の部分を弄んだ。しかし已然として一平の男性自身は可能な状態にならなかった。「へっ、だらしのないやつだ。よくそれで奥さんを喜ばせることが出来るな」「おい、奥さんよ、亭主はほっとけ。俺が相手してやるよ」
男はベルトを解くとズボンと下ばきを一緒に脱ぎ捨てた。
早夜と、一平の目に、熊を思わせる毛むくじゃらの下半身と、そして、想像を絶するほどの巨大な男根が飛び込んできた。それは雄々しくとしか形容のしようがないほど、その可能なかぎりの膨らみを見せ、急角度で屹立していた。
早夜は男の示す光景に思わず目眩を感じていた。これまで味わったことのない不思議な感覚であった。恐怖感はある。この兇暴な男は何を仕出かすかわからない。どんな暴力を加えてくるかわからない。しかし恐怖感と共に、早夜の心の奥深くに、この男に対する憧憬のような気持ちも生じていた。それは、この男の馬を思わせる巨根を見た時に生じたらしかった。
その感覚は、勿論事件当日の早夜には意識的には把握されようもなかった。何しろ目の前には包丁を持った男が立っているのだから。男が逮捕され、刑を宣告され、そして一平が死んだあと、一人きりになって早夜が当日の夜のことを思い出して考えた結果のことである。「おい」と男は早夜の目の前に屹立したものを示した。男の手ぶり、身ぶりで、自分に何を要求しているのか早夜はわかった。今更拒否したところで何になろう。夫か、あるいは自分の身に危険が生じるだけだ。この際は言いなりになろう。一平でさえ抵抗する気力を失っているのだ。まして女の私が抵抗したところで何になろう。
早夜の勝手な弁解かも知れなかった。たとえ殺されようと、あくまでも男に抵抗すべきかも知れなかった。だが、その時の早夜の頭には抵抗することなど浮かんでこなかった。夫の一平でさえ今はもう気力を失ってぐったりとして、焦点の定まらない目を男の方に向けていたのだから。早夜は最後の最後まで従順な女であった。その従順さがやがて残酷な結果を引きおこすとは、その時点で早夜にはわかりようもなかった。
(続く)
07.06.05更新 |
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