| web sniper's special AV review. ＷＥＢスナイパーＡＶレビュー 灼熱の交配 引き裂かれたセーラー服 『少女仮面＋狂楽の花芯（アートビデオ）』 文＝井上文 アートビデオ初期作品がDVDで復活。１９８８年代の傑作シリーズより、「少女仮面（高円寺ひかる）」と「狂楽の花芯（竹下美久）」の２作品を収録した１本。 |
▲『少女仮面 〜灼熱の交配〜 』
▲『狂楽の花芯 〜引き裂かれたセーラー服〜 』
まず『少女仮面』。冒頭から高円寺ひかるの囁くようなナレーションで多感な少女の掴みどころのない内面が表現され、甘酸っぱい世界観を全開にします。「少女」も「セーラー服」も今では即物的な記号でしかなくなっていることが多いんですが、懐かしいファンタジーが蘇ってきます。
ストーリーはやや謎めいた感じ。ナルシスティックに孤独に浸る美少女が、広い瀟洒な一軒家の中で関係性不明の「おじさん」から変態的な愛情を注がれ、どこか覚めた内面を吐露しながらも淫らに感じ昂ぶっていくというもの。「おじさん」役の甲斐太郎氏が、暴力とはまったく違うアプローチで（むしろ少女を畏怖するように）若い肉体に溺れていきます。
本番シーンはなく、指によるパンティ越しの陰湿な愛撫から始まって、ポールに固縛してのパンティ切り刻みや、経血いじり、乳首を嬲りながらのバイブ挿入へと進み、「思うように感じていいんだからね。いいね」と祈るような言葉と共に少女を追い詰めていきます。
タンポンを抜いて血のついたそれをしゃぶったりするシーンもありますが、キャラ設定と耽美な世界観がしっかりしているのでグロい感じにはなりません。アナルバイブを使った二穴責めや開脚縛りでの熱蝋責めも（しっかり責めていつつも）、過激というよりは妖美。浣腸・脱糞シーンですら陶酔の色に染め上げているところは拍手ものだと思います。
最後に明かされる「おじさん」と少女の関係性、そして『少女仮面』というタイトルの意味まで、SMドラマとしてしっかり練られた佳作です。
続けて『狂楽の花芯』。教師と生徒の禁断の関係が描かれたドラマものです。個人的にはこっちのほうが好きでした。女子校生役の竹下美久も地味ながら可憐でたまらない魅力を持っているのですが、教師役をしている若き日の速水健二氏が非常に繊細な演技をしています。背徳的行為に堕ちていく恐怖や快楽を震えるような声で表現し、作品全体に危うさを横溢させているのです。
舞台は人里離れた山の中の一軒家。教師に恋をして思いつめた少女をここに連れ込み、「好きなことをしていいんだね？ どんなことをしてもいいんだね？」「先生のしたいこと、全部して......」と、互いの覚悟を確認し合った上で道を踏み外した秘め事に突入します。
この「いけないことをしている」というムードがあらゆる行為を「もの凄いこと」に見せてくれるので、キス一つとっても眩暈のするような興奮が......。ましてや少女に自分で（アソコに）指を入れさせたり、口の中に射精したり、縛ったりするとなると、もはや事件級のインパクトがあります。
組んだポールに少女を固縛してバイブを挿入する段になると、少女の愛液音だけでディープな非日常にトリップ。徐々に抽送を激しくしていき、切ないアエぎ声を洩らす少女の小さな菊門までもアナルバイブで貫くと、見ていて苦しいほどの妖しさが醸されます。快感に足の指を反り返らせ、「先生、助けて！」と叫びながら登り詰めていく様は中盤のクライマックスです。
後半になると大の字固縛でのローター責め、極太張り形挿入、イク寸前での熱蝋責めなど濃厚なSM行為がさらに踏み込んだ形で展開され、少女の反応も激しさを増しています。腰をグイングインと前後させて悶える様はかなり直接的にワイセツですが、前半で可憐なキャラがしっかり作られているので、「堕ちていく・汚れていく」という流れをドラマティックに感じることができます。
そして終盤、庭の大木に少女をたぬき吊りにして浣腸する場面は極めつけの冒涜性が爆発。純情で無垢な少女が堪える様、諦める様、開花していく様が、短い時間の中に凝縮された名シーンになっています。
二本とも古い作品ですが、セーラー服というアイテムの印象が（今だからこそ）一新されるような革命性を感じます。温故知新とはよく言ったもの。いつしか使い古された感のある様々な属性やアイテムも、たぶん、適切な方法を用いることで何度だって蘇らせることができるのです。
文＝井上文
灼熱の交配 引き裂かれたセーラー服
『少女仮面＋狂楽の花芯（アートビデオ）』
女優：高円寺ひかる、竹下美久
監督：峰一也
収録時間：120分（DVD）
発売日：2009/01/28
価格：4,095円（税込）
商品番号：ADV-0346
メーカー：アートビデオ
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井上文 １９７１年生まれ。ＳＭ雑誌編集部に勤務後、フリー編集・ライターに。猥褻物を専門に、書籍・雑誌の裏方を務める。発明団体『BENRI編集室』顧問。 |
09.01.29更新 |
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