アノ男のライフワークがメーカーの垣根を越えて復活!
私を女優にして下さいAGAIN 【監督】カンパニー松尾 価格】3,990円(税込み) 【メーカー】ハマジム |
Don't Stop Walking the Wildside……。あのテーマソングを聴いた途端に、何とも言えない気持ちが甦ってきた。カンパニー松尾のライフワークとも言える『私を女優にして下さい』が、遂に復活したのだ。
彼の自主レーベルである「ハマジム」は、2004年に販売不振を理由に新規リリースを凍結。以降はインターネットのサイト『ポルノグラフ』を中心に活動をしていたが、すぐに『ポルノグラフ』で発表したムービーをまとめるという形でオリジナルDVDの発売を再開。堀内ヒロシ監督が手がけたロリータ系作品『ALICE』が大ヒットを記録するなど、「ハマジム」を取り巻く環境は好転しつつある。
そんな中での『私を女優に……』の復活だ。このシリーズはAVに出たいと応募してきた素人女性を松尾が訪ね、ハメ撮りするというのが一環した内容で、そこで松尾は「彼女たちは、どうしてAVに出るのか」というテーマを繰り返し問いかける。
新作は、「V&R」時代の作品と比べると、重さはなくなり、ずいぶんドライになった印象を受けるが、それでも男優の存在を極力消すという方向に動いている現在のAVの流れには明らかに逆行している。今のAVが男優を無個性な存在とすることによって視聴者が、あたかも自分がセックスをしているかのように思わせる作りをとっているのとは違い、この作品では女性とセックスしているのは、カンパニー松尾という個人だ。視聴者は、松尾のセックスを覗いているという立場になる。セックスが人間と人間とのコミュニケーションである以上、女性と男性の個性がなければリアリティは生まれない。この新作に収録されている三人の素人女性と松尾のセックスは生々しいこと、このうえない。匂ってくるようないやらしさが画面から溢れてくる。
その一方で、オナニーのツールとして没頭するためには他の男の存在が邪魔だという考えもそれはそれで理解できる。どちらが間違いということもない。どちらも正しいのだ。ただ、現在は男の存在感をないものだけがAVといわんばかりに、そうした作品ばかりが大量生産されている。性の価値観は、本来多種多様なはずなのに。
この作品のラストで松尾は、こんなテロップを入れている。
「あの頃とはまるで違う、自分もまわりも、AVも」
でも松尾は立ち止まることはしない。我が道を歩き続けている。大きくて太い道だけが一本しかない世界なんて面白くもない。裏道や横道が必要なのだ。世界にも、AVにも。
文=安田理央
私を女優にして下さいAGAIN 【監督】カンパニー松尾 【価格】3,990円(税込み) 【メーカー】ハマジム |
関連リンク
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ハマジム作品 LINE UP=http://www.hamajim.com/lineup/index.html
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