ＳＭの王道を歩き続けるために【５】

老舗SMメーカー情報第2弾！
ＳＭの王道を歩き続けるために【５】

“イモ天”の愛称で知られるシネマジックの大人気シリーズ『インモラル天使』。記念すべき第１作は川村慎一監督。もちろん現在でも新作がリリースされており、旧作もＤＶＤ化されている。

インタビュー・文＝安田理央

老舗が誇る「シネマジック」クオリティの秘密に迫る！

トップブランド「シネマジック」の社長兼
名匠・吉村彰一氏ロングインタビュー!!

「シネマジック」のビデオがSMとの出会いだったと語るマニアは少なくない。特に80年代終わりから90年代前半にかけて、従来の暗く陰湿だったSMのイメージを払拭して登場した「シネマジック」の美麗なパッケージの数々。レンタルビデオの店頭で思わず手を伸ばした読者の方も多いのではないだろうか。SMビデオの王道とも言えるスタイルを貫き通し、マニアの人気を「アートビデオ」と二分する業界トップブランドの秘密に迫る！

<<<前回の記事 | 次回の記事>>>

２００６年、ビデ倫を脱退したシネマジック。
代表・吉村彰一氏にその真意を尋ねる。

さて、最近の「シネマジック」の話題と言えば、2006年のビデ倫脱退である。ここ数年、「トライハート・コーポレーション」、「クリスタル映像」、「ｋｍｐ」といった大手メーカーが次々とビデ倫を離れているが、ＳＭメーカーの老舗、「シネマジック」の脱退には驚かされた。これでビデ倫に残ったＳＭメーカーは「アートビデオ」だけになってしまった。

しかし、ビデ倫はつい先日（※２００６年８月審査分より）、修正の緩和、つまりヘアとアナルを解禁することを発表したばかりである。これでいわゆるセル系（非ビデ倫）と修正の面ではほぼ同等になった。それなのに、「シネマジック」はビデ倫を脱退するという。その真意を聞いてみた。

８６年の作品、『ＳＭハード調教熱き生贄』調教師として読者の方にはおなじみの志摩紫光氏の名前があがっている。

吉：「遅すぎたんだよ。今頃ヘア解禁しても、もうビデ倫の作品はモザイクが大きいものだってイメージが定着しちゃっている。お客はビデ倫って書いてあるだけで、どうせ見えないんだろって判断するよ。もっと早くに手を打っておくべきだった。うちも、もう少し早くに脱退を考えてもよかったんだけど、ビデ倫監視委員会の監事とかやっていたから、なかなかね（笑）」

今後はコンテンツ・ソフト協同組合（メディア倫理委員会　メディ倫）の審査ということになる。

しかし、そうなると「ｈ.ｍ.ｐ」などがリリースしているように新基準修正による過去の名作の再発を期待したいのだが……。ヘア、アナルが解禁された『シスターＬ』や『インモラル女子高生』なんて、想像するだけで興奮を禁じ得ないではないか。

吉：「残念だけど、それはない。うちは編集が終わると素材（元の撮りテープ）は、流出防止のために全部廃棄しちゃうから、修正し直すということは出来ないんだ。当時は、まさかこんなことになるとは思っても見なかったからなぁ」

２００７年３月に復刻発売された菊池えり主演『被虐の花嫁』。『薔薇の貴婦人』も同時に収録されているが、修正は残念ながら新基準ではない。理由は本文中で吉村監督が仰っている通りであるが、マニア待望の復刻作品であることは間違いない。

残念ではあるが、これも裏流出を防ごうというメーカーとしての誠実な態度によるものである。ならば新基準で制作される今後の作品に期待したい。

続きを読む＞＞＞

※この記事はＳ＆Ｍスナイパー2006年12月号に掲載された記事の再掲です。
また記事中の画像の著作権は、全て株式会社シネマジックに帰属します。

関連リンク

シネマジック公式サイト＝http://www.cinemagic.co.jp/

安田理央の恥ずかしいblog
http://d.hatena.ne.jp/rioysd/

新刊「エロの敵　今、アダルトメディアに起こりつつあること」（翔泳社）
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4798111082

安田理央　気がつけば、今年で40代を迎えるエロ系ライター。今年はボーッとしてると大変ヤバイことになってしまいそうなので、色々と新しい行動を起こすぞと考えたり考えなかったりしております。「エロの敵」に続くアダルトメディアルポも構想中。　

<<<前回の記事 | 次回の記事>>>

07.04.18更新 | WEBスナイパー > インタビュー