2014.5.29 Thu ~ 6.1 Sun at tinyalice
2014年5月29日(木)~6月1日(日)東京・新宿「タイニイアリス」にて開催
ご存じ「サディスティックサーカス」などで強烈な個性を発揮、上演のたびに客席からは悲鳴と歓声が飛び出す小劇場界きっての異端児「ゴキブリコンビナート」が、久々の本公演を敢行。"座って観ることが出来ない"異様な公演の模様を、インターネットラジオ番組「押忍!! アダルト塾!」でも活躍中の地下アイドル・姫乃たまさんが突撃レポートです!!その後、長い鉄の棒で男女三人の頬を串刺しにして、鼻の穴を右から左へ細いチェーンを通し、ふがふが言いながら団子三兄弟を歌っていました。
この種も仕掛けもない3K小劇団、ゴキブリコンビナートの記念すべき第30回目の公演「毛穴からニュートリノ」に行ってきたのですが、いやあ、今回も凄かったです。
まず何が凄いってチラシの裏に「4つのエリアを同時進行的に展開する演劇を自由に移動しながら観劇する!? SF時代劇ミュージカル」とあるのですが、全然分からないです。
高校生の時から欠かさず本公演に通っているにも拘わらず全く想像がつかないです。だいたい4つのエリアって、会場のタイニイアリスはただでさえ小箱なのに......。
しかし、その下に主宰のDr.エクアドルより「またしても前代未聞の観劇方法にチャレンジします」とのコメントが書かれています。常に前回を超えてくるゴキコンのことです、百聞は一見にしかず、とにかく足を運んでみました。
夏祭りのお化け屋敷のように、数分間隔を空けてひとりずつ入場させられます。グループで来ている人も関係なく引き剥がされてひとりひとりです。入口の時点ですでに悲鳴と叫び声と何かの破裂音と重低音が聞こえてきて、恐怖に震えているとスタッフから手の甲に赤い「加油」(中国語で頑張れ)のスタンプを押されます。
阿鼻叫喚の声が聞こえる会場に足を踏み入れると、迷路のような通路になっているのですが、地獄かと思いました。ひとつ角を曲がると、完璧な暗闇で何にも見えないのです。しかもすごく狭い。
ささくれだった板の壁を頼りに、途中、スネを何かに強打したり、おでこに柱をぶつけたりしながら悲鳴の聞こえるほうに進んでいくと、暗闇にひとつの明かりが見えました。......「地球」?
そして黒い布をめくると、そこには2115年のゴミだらけで、奇形児しか生まれない地球がありました(SFっぽい!)。
安定しないハシゴをなんとか下りると、せ、狭い。ほぼ舞台の上に立っているような感じです。ふと隣を見るとおじさんの手の甲から血が流れていました。移動の時に切ったのでしょう。カップルで来た女の子は足元にシャム兄弟が倒れ込んできて動けなくなり動揺しています。
しかしその狭さを逆手にとるのがゴキコン。次のフロア「とある星」に移動すると、音響が全フロア同じであることに気がつきます。この劇は同じバックトラックが流れ続ける中で、同時に各フロア20分ほどの芝居がループしているようです。客が移動するための通路とは別に、役者が移動するための通路も用意されており、同じ役者が別のフロアに移動して何役も演じています。なんて緻密な演出と、舞台設計なんでしょう。
とある星の出口(非常に狭く150cmの筆者ですら四つん這いになってやっと通れる)をでると、会場の入口にでてしまいました。あれれ。フロアは四つあるはずなのですが。
きょろきょろしているとスタッフさんに迷路の途中で分岐があることを知らされます。
「最初の分岐は、左手が地球で、右手が江戸なんですが、みなさん江戸のほうにあまり気づかれないようです」とのこと。なんか凄い会話です。
ここまでで一時間半が経過していました。ようやく休憩です。頭からペットボトルの水をかぶる役者さんと、何かの水をかぶってしまった観客が、死に際のゴキブリのように会場の外へぞろぞろ出てきます。
気を取り直して二巡目。通路が狭いのか暗闇から男性のうめき声が聞こえてきます。怖いよう。なるほど、注意してみると右手に江戸がありました。
「宇宙兄弟、兄、ペロペロ星人の子種を宿した純子はおかしくなり、不思議な生き物を産み落とす」(劇団公式の文章より)三つ頭がついた不思議な生き物(Dr.エクアドル)を産み落としてしまった爆裂セクシーミュータントの純子が錯乱して松明をふりまわしています。
最後のフロアは「膀胱」です。穴から中を覗き見るようになっているので、安心していると、「脳みそが肥大した宇宙天皇」と「腕のない三本足」との戦いで水がかかります。
なんとこのフロア、下に大量の水が溜まっているのです。しかも汚い。恐らく「膀胱」だからという演出ではなく、単純に設営時のペンキや色々が溶け出していて、嗅いだことのない匂いがします。うう。
でも汚水がかかるとみんな嬉しそうです。隣のお兄さん(レインコート持参)も思いっきり臭い水がかかってましたが、濡れた眼鏡を人差し指でくいっと戻してニヤリとしていました。
タイニイアリスの懐深さに感激しつつ、体を縮めて会場の外へ出る時に、ふと茶室のにじり口を思い出しました。ここを通るときはどんなに偉い人も有名な人も、荷物をおろし、頭を下げなければ通れません。
ゴキブリコンビナートの芝居は不条理な差別や、性的なものを題材にしていることが多いけれど、それを観に来ている観客たちはみな平等であることに気づきました。髪は濡れてるし、服は臭いし、目薬さしたら目からほこりが流れ出すわ、なんだかすごいけど、まあいいか。
写真・文=姫乃たま
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