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2010.05.28 Fri -06.12 Sat  at kichijouji baustheater
2月15日(金)〜6月12日(土)
東京・吉祥寺バウスシアターにて開催
通常の映画用の音響セッティングではなく、音楽ライヴ用の音響セッティングをフルに使い、ボリュームも限界まで上げた大音響の中で映画を鑑賞する「爆音映画祭」。映画にとって爆音とは何を意味するのか、また貴方にとって爆音で観る映画とは!? 現在開催中の第3回「爆音映画祭」の模様を、ターHELL穴トミヤ氏がいち早く予習レポート!!
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爆音映画祭がまた始まった。
オープニング作品は「ソウル・パワー」。ジェームス・ブラウン、B.B.キング、ザ・スピナーズにモハメド・アリまで出演する74年に行なわれた一大イベントのドキュメンタリー映画(6/12全国公開)を皮切りに、5/28(金)から6/12(土)までの2週間、吉祥寺のバウスシアターで知られざる名画が爆音で上映される。
元々ライブハウスだったこの映画館にLive用巨大PAを搬入、「爆音」で映画を観よう!と始まったこの企画は、今年で6年目だ(映画祭になってからは3年目)。
作品によって爆音度に違いはあるものの、ここでの上映は爆発もバンド演奏もドアの音も全部がでかい。登場人物が車で移動するたび、本来背景音であるエンジンのブオオー!という低音に映画館中が揺さぶられるなんていうのは、この映画祭だけの光景だろう。やっているほうは、「映画の見方を変える! 爆音によって新たな映画が出現する!」と大まじめだが、考えすぎて一回転してしまったに違いない。この映画祭の馬鹿さは世界レベルだ。
そんな会場に毎回、ジットリした映画マニアからポップコーン片手に「超デカい音で映画観ようぜ!」みたいなノリの奴まで、揃いも揃ってボンクラばかりが集まって来る。暗くなった館内に最初の爆音が鳴り響くたび「こんな馬鹿な場所にいられるなんて、なんて幸せなんだ。世界のどこを探してもこんな馬鹿な上映会はないに違いない!」と人生の幸せを噛みしめずにはいられない。

爆音だから音楽映画やハリウッド大作をやるのかと思えば、この映画祭はそれだけでもない。たとえば今回なら「ソウル・パワー」や「宇宙戦争」(さらに3D上映の爆音「アバター」が決定)などの「爆音向き」の作品がある一方で、毎回それ以外にも「爆音以前に、こんないい映画あったのかよ」という作品が混ぜてあるのだ。
過去には、「ハート・ロッカー」で2010年度のアカデミー賞を受賞したキャスリン・ビグロー監督の、初期のカルト作品「ラブレス」(現代アートなのか、SFなのか、アメリカンニューシネマなのか区別付かない傑作!)を上映したり、波を高速度撮影で撮っただけなのに半端じゃないサイケデリック映像で人類誕生50億年の歴史を感じてしまうサーフ映画「CRYSTAL VOYAGER」を上映したり。「爆音だし……」となんとなく出かけて、これらの映画を初めて観た時の衝撃は大きかった。「通ってると、知らなかったいい映画に何かしら出会える。もしかしたら、めちゃくちゃいい映画にぶち当たる!」というのも、この映画祭の大きな魅力なのだ。

今回は、最初の1週間は朝から晩まで、次の1週間はレイトショーのみで全27本を爆音上映(+通常上映7本)する。
ラインナップを見てみると、楽しみなのは大林宣彦のデビュー作にして、切り貼りみたいな猫のカットアップに生首などが飛びまくるカルト作「HOUSE」(Youtubeで一瞬観てずっと気になっていた!)。それから深作欣二の次々と運転手がぶち切れて連続カーチェイスになだれ込んでパトカーはもちろん大破!(やったぜ!)みたいな映画「暴走パニック 大激突」(カーチェイスシーンだけ友達の家で観せられ、ずっと気になっていた!)だろうか。
さらに、「SRサイタマノラッパー」をまだ観たことがない人がいたら、公民館のライブシーンを爆音で観て「あの瞬間だけマンチェスター」みたいな感じを体験して欲しいし、実は日本にも脈々と続くドラッグカルチャーがあった!(シンナーです)という「国道20号線」(これは爆音上映じゃない! 残念!)も観てぜひバッドになって欲しい。

実はすでに今回観た中でもちらほら、いい映画があった。一発目の「ソウル・パワー」(残念ながら、今回爆音映画祭での上映は初日1回のみ。6/12以降のバウスシアターでの上映が爆音かは未定とのこと)は、これはもうめちゃくちゃよかったし、ソクーロフ監督の「チェチェンへ アレクサンドラの旅」があんま爆音じゃないけど(虫の音が爆音)、ロシア軍の中を婆ちゃんがひたすらうろうろするという作品でこれまたよかった。「スローターハウス5」もおすすめだし(ドレスデン爆撃の音が凄い)、音だけで言えば「ポーラX」のインダストリアルノイズ集団の演奏も凄かった(シックスナインの音もいつもより大きめ……)。

今回で3回目となった爆音映画祭。昼間からぶらぶらしてる人も、夜仕事が終わってから時間がある人もぜひ足を運んでみてほしい。ちなみにおすすめの座席ポジションは、中央、前から4列以内だ!

文=ターHELL穴トミヤ

第3回「爆音映画祭 Bakuon Film Festival 2010」


開催日時=5月28日(金)〜6月12日(土)
※チケットの購入方法、上映時間等、詳細は「爆音映画祭」公式サイトにてご確認下さい。

会場・問い合わせ先=
東京 『吉祥寺バウスシアター』
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23
電話 0422-22-3555

関連リンク

第3回「爆音映画祭」公式サイト

吉祥寺バウスシアター

爆音Twitter

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊 ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。 http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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10.06.03更新 | WEBスナイパー  >  イベント情報
文=ターHELL穴トミヤ |