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第10章 特殊奴隷・晶【4】

「もうすっかりよくなったみたいね。やっぱり若さの回復力はすごいわね」

部屋に入ってきたのは、晶が初めて見る女医だった。ショートカットの黒髪と縁無し眼鏡が彼女の理知的な美しさを引き立てている。白衣の上からもスレンダーながらも出るべきところは、しっかりと出たスタイルのよさは、はっきりとわかる。

美人女医の登場に、晶はすっかりと目を奪われてしまった。その横で、千尋は少し怯えた様子で女医を見ていた。

「はい、おかげさまで。もうじっとしてるのが辛いくらいですよ」
「もう病人扱いしてるのも可哀想かもね」

女医は微笑んだ。フェロモンがにじみ出てくるような、妖艶な笑みだった。晶は女医の首にも、あの赤い首輪を発見した。この美女も、千尋と同じく奴隷なのだろうか。主人の命令があれば、どんな恥ずかしいことでもするのだろうか。そんなことを想像して、晶は布団の下に隠した下半身が充血して来るのを感じていた。

「もうそろそろ、共和国に連絡は取れないでしょうか」

晶は恐る恐る切り出す。客船ナイアガラ号が遭難し、海原を漂流しているところを助けられ、この部屋に入れられてから一カ月近くが経っている。一緒に乗船していた家族は絶望的だろうが、親戚や友人たちに自分が無事であることだけでも伝えたいと思っているのだ。

「そうね。その件も、はっきりさせておかないとね……」

女医は、晶のベッドに腰を下ろした。半身を起こしている晶に身を寄せる。フッと甘い香りが晶の鼻腔をくすぐった。

「これから彼と大事な話があるから、あなたは席を外してもらえる?」

女医に言われて、千尋は慌てて立ち上がり、部屋を出ていこうとする。そして、ちらりと哀しげな表情で晶を見た。

「失礼します……」

部屋にふたりきりになったことを確認すると、女医はさらに晶に身体を押し付ける。布地越しに肌の柔らかさと体温が伝わってくる。この年上の美女の行動に、晶は緊張してしまう。と、同時にペニスがさらに硬くなる。

「もう、あの子とずいぶんしたんでしょ?」

女医が顔を近づけて訊ねる。

「えっ、何を、ですか……」
「わかってる癖に。セックスを教えてもらってたんでしょ?」
「教えてもらうって……」
「あなたは童貞だったんでしょ。全部わかってるのよ」

女医は妖しげな笑みを浮かべて、晶の目を見る。晶は思わず目を逸らす。心臓がどきどきする。まるで蛇に睨まれたカエルのような気分だ。

「セックス、好き?」
「は、はい……」
「私と、したい?」

女医は白衣の胸元をそっと開いた。谷間が露になる。白衣の下には、ブラジャーすらつけていないようだ。晶の勃起は、痛いほどになっていた。

「えっ……? いいんですか。先生……」

女医が患者を誘惑してくるなんて、共和国にいた時に、こっそり見たポルノ映画のシチュエーションみたいだ、と晶は思った。こんなことが、現実にあるなんて。

「あら、晶君。私のこと、医師だと思ってるのね。違うわ。私は、奴隷。千尋ちゃんと同じ立場の奴隷よ」

赤い首輪を指で触って、晶に見せつける。

「ふふふ、こういう格好のほうが、あなたも興奮するでしょう? 私は真紀。奴隷なんだから、呼び捨てにしてもいいのよ」
「ま、真紀、さん……」
「本当に、可愛いわね、晶君」

顔を真赤にして、自分の誘惑に緊張している晶を、真紀は本当に可愛らしいと思った。女の子と見間違うような整った顔立ちもさることながら、ナイーブな表情が、さらに愛らしさを強調する。

……この子が、スピア様と同じ年だなんて、思えないわね。でも、スピア様が特別すぎるのか。

真紀は、今やこの「島」でもトップの調教師となっている少年を思い浮かべる。まるでしなやかな剣のような強さと怖さを感じさせるあの少年と、この繊細そうな美少年はあまりにも対照的だった。

真紀は晶の寝着の前を開いた。華奢な胸板が現われる。あっけにとられる晶の胸に指を滑らせる。

「あっ……」

真紀の爪の先が、そっと晶の乳首に触れた。そのくすぐったさにビクっと反応する。声が漏れる。

真紀は晶の背中からぴったりと身体を密着させ、前に回した手で、胸元を刺激する。10本の指がさわさわと肌の上を滑る。そして晶の背中には、真紀の乳房が押し当てられた。薄い寝着の布地越しに、乳首の突起までも感じられた。

「感じやすいのね、晶君……」

その言葉通りに、晶は初めて味わう感覚に身体を震わせていた。最初はくすぐったいだけに思えた乳首への刺激も、すぐに新しい快感と変わっていたのだ。

「だめだよ、真紀、さん……」

真紀の愛撫は巧妙だった。爪の先や指の腹を使い分けて、強弱をつけ、晶がまだ自分でも知らない性感帯を的確に刺激していく。真紀の指が動く度に、晶はビクンビクンと震えた。そして真紀は乳房を背中に押し付け、首筋に息を吹きかけたり、舌先でチロリと舐めたりもする。

千尋も、奴隷として十分なテクニックを持ってはいたが、真紀のそれとは比べようもない。晶は頭の中が真っ白になってしまう。

そして真紀は、晶の下半身を覆っていた布団を剥がす。寝着のズボンの前は、はっきりと高いテントを張っていた。晶はそれを恥ずかしがり、手で前を隠そうとしたが、真紀の指に止められる。

そして真紀の指が、そのテントの頂点にそっと触れた。

「うっ……」

すでに爆発寸前にまで膨張していた部分に刺激を受け、晶は声を漏らす。真紀はその根本の部分をギュッと握る。

「まだ出しちゃだめよ」

そう囁いて、晶の耳の穴に舌を滑りこませる。

晶は、ただ、ただ快感に翻弄されていた。いつ、ブリーフまで脱がされて、下半身が剥き出しにされたのかもわからないほどだった。

背中から回された真紀の左手は晶の胸を這い回り、そして右手は陰茎の根本から玉袋の辺りを刺激する。勢いよくそそり立った晶自身は、ブルブルと震えてきた。少ししごかれるだけで、すぐに爆発してしまいそうだ。包皮をかぶったままの先端からは、透明な汁がにじみ出ている。

真紀は、そっと晶を背中から押し倒した。なすがままの晶は、うつ伏せにベッドに倒れこむ。真紀は腰の下に手を入れて、上にひきあげた。晶は真紀の前に尻を突き上げるポーズにされてしまった。

「ふふふ、晶君の恥ずかしいところ、全部丸見えになってるよ」

真紀にそう言われて、晶はハッとして手を後ろに回して尻を隠そうとしたが、真紀の手に阻止される。真紀の腕は、ほっそりしているのに意外なまでの力を持っていた。そして、もう晶には力が入らない。あっさりと、手をどかされてしまう。

真紀は晶の尻肉を左右に押し開いた。その双丘は、男性のものとは思えないほどに柔らかな曲線を描いていた。

「すごいよ、晶くんのお尻の穴も、きんたまの裏側も、丸出し。恥ずかしいわね」
「や、やめてよ、真紀さん……」

晶はそう言いながらも、もう真紀の手を止めようとはしなかった。羞恥で真っ赤になった顔を手で覆い隠していた。

真紀の爪の先が、蟻の戸渡りをススーッと滑る。さらに玉袋の皺を撫でた。

「あ、ああっ」

くすぐったさと紙一重の快感に、晶は声を漏らす。

「女の子みたいな声、出すのね、晶君。可愛いわよ」
「ち、ちがう……」

口では否定しようとも、その敏感な部分を真紀に刺激されると、つい、甲高い声が出てしまうのだ。

そしていつの間にかに真紀の手のひらには、ローションが塗られていた。晶のその部分一帯にも塗りこめていく。ローションまみれになった玉袋や蟻の戸渡りは、さらに感覚が鋭敏になり、快感を増幅させる。

「あっ、あっ、だめだよ、真紀さん……」

もうどこに真紀の指が触れても、ビクンビクンと反応してしまう。その度に硬く屹立したペニスが震え、先端から汁がにじむ。

真紀は再び晶の尻肉をつかんで左右に押し開いた。その谷間に顔を埋める。

「あっ、うああああっ」

悲鳴にも似た晶の声が上がる。真紀の舌先が、晶の肛門を捉えたのだ。それは脳天まで電流が痺れるような快感だった。

フェラチオや玉舐めまでは千尋にされたことがあったが、アナル舐めは全く初めての体験であり、それは晶の発想にもなかった。正しく未知の快感だった。

「あっ、そ、そこは……」
「ふふ、気持ちいいでしょ? ここはあなたのおまんこなの」

真紀は一瞬、口を離してそういうと、再び顔を埋めて舌を動かす。皺の一本一本を舌先でなぞるようにしたかと思うと、その窄まりの中央へねじ込むように侵入させたりもする。

今まで想像だにしなかった種類の快感に、晶は気が狂ってしまいそうになる。

真紀は右手を前に伸ばして、熱く震える肉塊を握った。親指と薬指で輪をつくるようにしてその根本を締め付け、そして伸ばした人差し指で、先端を軽く刺激する。

「ほうら、あなたのクリトリスも、こんなに大きくなっちゃってるのよ。もっと、いっぱい声出して。いやらしくて、可愛い声を、もっと聞かせて」

そんな真紀の卑猥な言葉が、晶の興奮を燃え上がらせる。

晶は小さい頃から、その顔立ちのせいで女の子に間違えられることが多かった。また、よくからかわれていた。そのため、女呼ばわりすることには強い嫌悪感があった。

しかし、今、こうして真紀に女の子のように扱われ、愛撫されていると、自分の中で抑制していた何かが解放されるような気がした。もっと、もっと、辱めて欲しい。そんな欲望までもが沸き上がってきた。

真紀の舌が奥までねじ込まれて来た。まるで犯されているような気持ちになって来る。それは千尋にペニスを愛撫されている時とは、まるっきり違う種類の快感だった。

「晶ちゃん、あなたのおまんこ、すごく美味しいわよ」

真紀が晶の呼び方を変えた。わざと卑猥な音を立てて、肛門をすする。その音が晶の羞恥心を刺激する。そしてそれがさらに快感へとつながっていく。

「ああっ、もう、もう、だめ……」

晶は自分が男なのか、女なのか、わからなくなって来る。自分に責められて感じている時の千尋の表情が脳裏に浮かび、それと一体化しているような気持ちになる。

真紀の舌が思い切り深くまで挿入され、指がペニスを強くしごいた。

「ああ〜っ!」

それは大きく膨れ上がり、そして凄まじい勢いで噴出した。尿が出てしまったのかと思ったほどの長い射精感。肛門もキュウと真紀の舌を絞めつけた。

汗まみれになった晶は、しばらく尻を突き上げたポーズを取っていたが、やがて、ベッドに崩れ落ちた。荒く息をつくばかりで、身動きひとつしない。

「ふふふ、可愛い奴隷になりそうね」

ヒクヒクと震える晶の白い尻を見つめながら、真紀はそうつぶやいた。
(続く)

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11.04.11更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |