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第13章 女上司・麻奈美【7】

「麻奈美、ボールペンがないわ。総務まで取りに行ってちょうだい」

白浜紗香に言われると、麻奈美は大きい声で返事をする。

「はい、少々お待ち下さい」
「待てないわよ、すぐ持ってきてよ」
「でも、今、高崎様に頼まれた作業を……」
「あんたがのろまだからでしょ。使えない奴隷ね」

コピー機の前でオロオロする麻奈美の尻を、紗香は思い切り叩いた。パシーンと乾いた音がオフィスに響き、社員たちが一斉に紗香たちを見た。

「も、申し訳ありません」

麻奈美は深々と頭を下げる。注目を集めてしまって気まずくなったのか、紗香はプイと横を向く。

「急いでよね」
「はい。今、すぐに行ってまいります」

麻奈美は総務室へと向かった。紗香の手形が真っ赤に残るボリュームのある尻がプリプリと揺れていた。

とりあえず、イサク・バックマンへの接待を成功させたことで、佳織の企んでいた男子トイレでの肉便器奉仕は免れた。そして、せっかくの企業奴隷なのだから、社員の労働意欲向上のために活用するべきだという陽太の提案に基づいて、その月に最も社に貢献した部署に一日、麻奈美を自由に扱えるという制度が作られた。それ以外の時間は、このように社員のアシスタントとして働いたり、接待として使われることになっている。

もちろん全裸に首輪だけの姿で、働かされている麻奈美を男性社員たちは、ニヤニヤと喜んで見ていたが、女性社員たちはサディスティックに接した。かつての憧れの的がこんな姿を晒しているという失望感と、男性たちの注目を集めているという嫉妬が、彼女たちをそうさせたのかもしれない。

特に麻奈美のアシスタントを務めていた紗香は、目立ってつらくあたっている。

男子社員たちは「女は怖いな」とヒソヒソと陰で噂をしているほどだ。身体を傷つけることは絶対に禁止という規則がなければ、大変なことになっていたかもしれない。


昼休み、福利厚生室には長蛇の列が出来ていた。オフィスの片隅に、新しく作られたばかりの小さな部屋だが、だれも正式名称で呼んではいなかった。麻奈美の部屋、と呼ぶほうが通じるのだ。もっと直接的にフェラ部屋、抜き部屋などと呼ぶ者もいた。

最初は、日常的な性的奉仕はなしということだったのだが、全裸の麻奈美がオフィスをうろついていれば、性欲も抑えきれなくなるという男子社員からの申し出で、昼休みに限り、希望者にフェラチオの奉仕をさせることになったのだ。

初めて福利厚生室を訪れた大原剛士は緊張を隠せなかった。剛士も陽太と同じく、今年入ったばかりの新入社員だ。チームは違ったが、仕事が出来て美しい麻奈美をいつも憧れの目で見ていた。それだけに、複雑な気持ちがあった。あの麻奈美を自分の手で汚したくないとも思ったが、やはり性欲には勝てない。

麻奈美を利用するには、昼休みになると同時に受付である陽太に申し込み、希望者多数の場合は抽選になる。だいたい一人あたり5分だ。時間内に発射できないと、就業時間後に「残業」と称して改めて麻奈美が奉仕することになる。そのため、わざと射精を我慢して、残業に持ち込もうと考える者もいた。残業が増えると、おしおきを受けることになるため、麻奈美も必死に時間内に射精させようと努力し、そのテクニックはどんどん向上していった。

その日、剛士の順番は3番目だった。ドアが開き、先輩社員の石橋が中から出てきた。すっきりしたような、残念なような複雑な表情をしている。

「ちくしょう、麻奈美の奴、ずいぶん上手くなりやがったな。ありゃ、たまらねぇよ。次は大原か。せいぜい楽しみな」

どうやら我慢しきれずに射精させられてしまったらしい石橋は、剛士の肩をポンと叩くと、去っていった。

さぁ、剛士の順番だ。ドアを開けると、そこは三畳ほどの小さなスペースだ。中には簡易ベッドが置かれているだけ。その横には、全裸の麻奈美が床に正座している。

「大原様、ようこそ。それではご奉仕させていただきますね」

何しろ時間がないのだ。麻奈美はテキパキと大原のスーツのパンツ、そしてブリーフに手をかけて下ろす。

剥き出しになった剛士の股間のものは小さく縮こまっていた。緊張と複雑な気持ちが勃起を阻んでいたのだ。

麻奈美はその状態を気にかけるそぶりもなく、そっと指で袋のあたりを撫でる。

「あっ……」

快感が剛士を貫く。麻奈美の指は男の快楽のツボを知り抜いていた。指を巧みに這わせながら、唇を先端に押し付ける。舌先でチロリと舐めた。

「あっ、ああ……」

思わず声が漏れる。今まで味わったことのない快感だった。

実は剛士は童貞だった。たくましそうな名前とは裏腹に気が弱く、人付き合いの苦手な剛士はこれまで女性には縁がなかったのだ。だから麻奈美が初めて見る生身の女性だったし、性器を触られるのもこれが初めてだった。

ものすごく興奮しているし、快感も感じている。それなのにペニスは少しも固くならない。麻奈美の口の中でフニャフニャのままだ。

「すいません。私が下手なばかりに。やっぱりこんなおばちゃんではダメですよね」

いくら舐めても大きくならないことに、責任を感じているのか、麻奈美はそんなことを言う。確かに麻奈美はずいぶん年齢は上だが、実は年上好きの剛士には、それは魅力であれ、不満に思うことなどない。

このままでは「残業」になってしまい、麻奈美に迷惑をかける。そう思った剛士は、ひとつのお願いをした。

「あの、あそこを見せてもらえませんか?」
「えっ?」
「見せてもらえれば、勃つような気がするんです。お願いします」
「あ、はい。わかりました」

麻奈美は床の上に横たわり、膝を抱え込むようにして、左右に広げる。脚がM字型に開いた。無毛の下腹部が露になり、肉裂が剥き出しになった。

「うわぁ……」

剛士はその部分を覗き込み、凝視した。企業奴隷として麻奈美がハイライズにやってきて以来、遠目では何度も目にはしていたが、間近で見るのは初めてだった。

それはあまりにも艶かしく、生々しかった。剛士は唾を飲み込む。

「あ、ああ、そんなにご覧にならないで……」

奴隷の身になって以来、数え切れないほどの人に秘部を晒してきた麻奈美だが、これほど熱心に覗き込まれたのは初めてだった。もう見られることには慣れてきていたはずなのに、たまらない羞恥に襲われる。身体が熱くなる。

「指で、開いて、下さい」
「ああ……。わかりました……」

どんなに恥ずかしくても、命令には従わなければならない。麻奈美は両手を股間へと伸ばして、腿の付け根に押し当てて、左右に開いた。裂け目が広げられ、ピンク色の内壁が顔をのぞかせる。パッと花が咲いたようだ。

「す、すごい……。ビショビショだ……」

剛士に覗き込まれた羞恥に、麻奈美の肉体は激しく反応していた。開いた途端に、透明の液がトロリとこぼれ落ちた。もちろん、内壁はヌラヌラと濡れ光っている。

剛士は吸い込まれるように、その部分に顔を近づけていた。甘く魅惑的な香りがその部分から放たれている。それが発情した牝の匂いだということは、童貞の剛士にもよくわかった。

それまで何をしても無反応だった剛士のペニスがむくむくと大きくなった。たちまちはち切れんばかりの硬さとなる。剛士は無意識のうちに股間に手をやり、それをしごいていた。しごかずにはいられなかった。

麻奈美も興奮していた。鼻がくっつかんばかりに剛士の顔がそこに近づいている。荒い息がその部分に感じられるほどだ。

ああ、見られている。こんなにじっくりと見られてしまうなんて……。

麻奈美にも、剛士が女に不慣れだということはわかっていた。だからこそ、こんなに夢中になって自分の部分を凝視しているのだ。それはたまらなく恥ずかしく、それでいてどこか誇らしげなようで、そしてたまらない興奮をもたらした。

知らず知らずのうちに、秘肉を広げる麻奈美の指が妖しく動きだしていた。人差し指が、敏感な頂に触れていた。

「あ、ああ……」

腰がヒクヒクと動いてしまう。指の動きも少しづつ激しくなる。クチュクチュと湿った音が響く。

ああ、あの北村さんが、おれの目の前でオナニーしている……。

剛士の興奮も高まり、自分のペニスをしごくスピードも上がっていく。勃起したのだから、麻奈美にフェラチオさせるという発想は、もうなかった。長年、右手が恋人だったのだ。習慣はなかなか抜けない。

「あん、ああ、だめぇ……」

麻奈美の指の動きもどんどん早くなる。クチュクチュクチュと湿った音がさらに大きくなる。腰が浮き上がる。

「ああ、おれも、もう……」
「ああっ、あっ」

二人が絶頂に達したのは、ほぼ同時だった。麻奈美の腰が大きく跳ね上がった。剛士のペニスからは勢いよく精液が噴き出し、カーペットにかかった。

「あ、いけない……」

射精の余韻に浸るまでもなく、剛士はカーペットを汚してしまったことに気づいた。

「だ、大丈夫ですよ」

息を荒げながら麻奈美は、射精したばかりの剛士のペニスに舌を這わせた。舌で精液を拭いとった。

「あ、ああ……」

敏感になっている亀頭を舐められるのは、くすぐったいようで、気持ちいいようで、なんだか不思議な感覚だった。

そしてその後、麻奈美は床に這いつくばって、カーペットにぶちまけられた剛士のザーメンを舐めとった。

「あ、そんなこと……」
「いいんです、後片付けも奴隷のお仕事ですから……」

麻奈美はにっこりと笑った。つられて剛士も笑った。

その時、ドアを叩く音がした。

「おい、もう時間過ぎてるぞ」

順番を待っている社員の声だった。

「はい、今すぐ出ます」

剛士は慌てて着衣を整える。部屋を出る前に、一度振り向いて、麻奈美を見た。

「ありがとう」
「すみません、ちゃんと出来なくて」
「また来ます」

麻奈美はぺこりと頭を下げる。

ドアを開けると、明らかにいらついた顔の先輩社員がいた。

「時間は守れよな」
「すいません」

その男は急いで福利厚生室へと入っていった。並んでいる男が剛士に声をかける。

「なんか麻奈美の喘ぎ声も聞こえてたけど、お前まさかセックスしてないだろうな?」

剛士は目をパチクリさせる。セックスどころかまともにフェラチオもしてもらっていないのに。そう思うと何だかおかしくなった。

「まさか……。でも、すごく気持ちよかったです」

なんとかいい業績をあげて、麻奈美を自由にする権利を手に入れよう、と剛士は思った。自分の童貞を失う相手は、麻奈美がいい。

そのために、いい仕事をしなくちゃいけないな。まだ昼休みに時間は残っていたが、剛士は途中までで中断していた企画書の続きにとりかかった。

(続く)

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11.11.28更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |