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第6章 外交奴隷・アイリ【6】

「サガラ財団?」

その名前には聞き覚えがあった。

「ああ、世界各地の紛争を和解させることが目的とかいう団体だ。結構過激な行動で問題視されることが多いよ。何しろ、平和のためなら手段を選ばないんだ。殺人すら許容するらしいからな。本末転倒というか……」
「そんなところとは、あまり関わりたくはないな。バックスはあくまで政治とは無関係でいたい」
「イサク。その気持はわかるけど、バックスはすでにおれたちの国の景気を左右するほどの企業になってるんだぜ。まぁ、それにしても、サガラみたいなところとは付き合わないほうがいいというのは同感だ。丁重にお断わりしておくよ」
「うん、頼む」
「せっかくのバカンスの邪魔をしてしまって申し訳なかったな。どうだい、楽しめるだろう?」
「ああ……。恥ずかしい話だけど、今じゃ、君に感謝してるよ。こんなに仕事のことを忘れられるなんて、思ってもみなかった」
「ははは。でも、もうあと二日間だ。思い残しのないように、愉しむがいいさ。でも……、こっちに連れてくるだろ?」
「ああ……。もう彼女なしの生活なんて、考えられないよ。住まわせる部屋の手配を頼む。くれぐれも内密にね」
「もちろんだよ、イサク。お前くらいの立場になって、秘密の趣味をひとつも持っていないほうが不自然だったからな。その辺のことは、おれに任せておけよ。帰ってきたら、おれのドールにも会わせてやるよ。合同プレイも楽しいもんだぜ」
「そういうのは、ちょっと……、と今までの僕なら言うところだけど、それも面白そうだって気がしてる」
「ふふふ、ずいぶん変わるもんだな、イサク。でもそういう積極性、悪くないと思うぜ。じゃあ、よいバカンスを!」
「ああ、ありがとう、ダニエル」

長年の親友であり、現在は共にバックス社を支える仲間であるダニエルからの電話を切る。足元にしゃがみこんでいたアイリが、イサクを見上げた。アイリはダニエルから電話がかかってくるずっと前から、イサクの足に舌を這わせていた。

「聞いてただろ、アイリ。このバカンスが終わったら、一緒にマティラに行こう。君が住む家も探しておくから」
「本当ですか、ご主人様」

イサクが、首都であり、バックスの本社のあるマティラへ連れていくと言うとアイリの顔がパッと明るくなった。アイリは表情が豊かで、嬉しい時は本当に嬉しそうにするし、恥ずかしそうな時は顔が真っ赤になる。それがイサクには可愛くてたまらない。

「アイリはずっと僕の奴隷だからね」
「はい、ご主人様。嬉しいです」

アイリはそう言うと、再び床にしゃがみ込み、全裸でソファに座っているイサクの脚を舐め始めた。アイリも全裸に首輪だけをつけた格好だ。両腕は革製の腕輪によって、後ろで拘束されている。舐めるたびにプリプリと動くアイリの小さくて可愛らしい尻をイサクは眺めているうちに、悪戯心が芽生えてきた。

アイリが膝立ちになり、イサクの内腿のほうまで舌を這わせてきた時だ。微かなモーター音が聞こえた。

「あ、あんっ」

アイリが小さな声を上げる。何かに耐えるような表情になり、舌の動きが止まった。

「だ、だめ、ご主人様……」
「ふふふ、どうしたんだい、アイリ。まだご奉仕は途中だよ」
「は、はい。ごめんなさい」

アイリは再び、イサクの股間に顔を埋め、舌を這わせようとするが、続けられない。断続的に甘い声が漏れ、そしてビクンビクンと肩が震える。

アイリの膣内で、小さなカプセルが暴れまわっていた。超小型のモーターを内蔵したそれは、強力な振動でアイリを刺激しているのだ。

「ほら、ちゃんと舐めてくれよ、アイリ」
「は、はい。ご主人様……。あ、ああ……」

アイリは懸命に襲い来る快感に耐え、目の前にそそり立っているイサクのペニスへと舌を這わせた。根元からゆっくりと舐め上げていく。その頬は上気し、桃色に染まっていた。

「ふふふ、がんばれよ、アイリ」

イサクは手にもったコントローラーの、もうひとつのスイッチを入れた。新たなモーター音が重なる。

「ひっ!」

アイリの下半身が跳ね上がり、悲鳴が上がる。肛門の中に挿入されていたカプセルも動き出したのだ。膣内と肛門内の二つのカプセルはそれぞれ激しく振動し、腸壁を挟んでぶつかりあったりもする。お互いの干渉によって、予想もつかない動きを見せるのだ。

「あっ、あっ、ああっ」

敏感な二つの器官を同時に責められて、アイリは耐え切れなくなり、イサクの膝の上に突っ伏した。

「ふふふ、気持ちいいのかい、アイリ」

ビクンビクンと体を反応させるアイリの姿をイサクは楽しそうに眺めていた。

「あっ、ああっ」
「どこがどう気持ちいいのか、いってご覧、アイリ」
「は、はい……。お、おまんこと、お尻の、穴を、ご主人様に、ローターで、あっ、あっ、責めて、いただいて、ああん、き、き、気持ち、いい、いいです……」
「よく言えたね、アイリ。それじゃあ、ご褒美だ」

イサクはコントローラーを操作した。するとアイリの体内から漏れ聞こえる二つのモーター音が、さらに激しいものになった。

「ひっ、ひっ、あっ、ああああっ!」

アイリは体を仰け反らせて、叫んだ。もう、とてもご奉仕の作業は続けられない。その部分からは、ダラダラと愛液がこぼれ落ち、白い腿を伝い、濡らしていく。

「あっ、だめ、だめです、ご主人様、アイリ、イッて、イッてしまいます。あっ、ああっ!」

そして、一際大きな声が上がり、体が震える。そのまま床に崩れ落ちた。

足元に倒れている白い裸身を見ながら、イサクは微笑みながら、言った。

「だめじゃないか。ご奉仕も途中で、勝手にイッてしまうなんて。これはおしおきが必要だね、アイリ」


「これは我が国に対する、あきらかな威嚇行動です。ここで奴らを調子づかせるわけにはいきません。報復あるのみです、将軍」
「ううむ。しかし、まだ向こうの出方をよく見るべき段階ではないかな」
「将軍……」
「いずれにせよ、時期早尚だ。しかし監視の目は緩めるな。今日はここまでにしよう」

将軍と呼ばれた男は立ち上がり、会議室のテーブルに並んだ男たちをグルリと見渡した。どの顔にも不満の色は見えていたが、将軍は全く気にしていないようだった。

「急ぐことはない。鋭い鉾は長持ちしない、だよ、諸君」

将軍はその国の古い諺を言い残すと会議室を出て行った。

「砂丘の爆弾とまで言われた男が……」

そんな小さな声が耳に入ったが、将軍は聞こえないふりをした。今は無理に戦うべき状況ではないのだ。複雑にからみあった民族問題から生じたこの紛争だが、まだ話し合いの余地がないわけではない。大切なのは、お互いが歩み寄る姿勢なのだ。


1時間後、将軍は別荘にいた。その存在は将軍の一部の側近しか知らない秘密の隠れ家である。やや裕福な屋敷といった外見だが、実はその地下には核兵器の攻撃にも耐えられる巨大なシェルター構造を持った部屋がいくつも秘められている。

その中のひとつの部屋に、最近の将軍は入り浸っていた。少しの暇を見つけては足繁く通っている。

「あっ、ああっ!」

鋭い悲鳴が上がった。天井から吊り下げられた全裸の女体が激しく仰け反る。

「ここがいいのか? ふふふ、それともこっちか?」

将軍は革製の細いムチを振るい、尻肉に打ち付けた。ムチが当たった部分は、白い肌が無残に赤く染まり、ミミズのように腫れあがる。

女の両腕は大きく左右に開かれれ、天井から垂らされた鎖につながれている。そして両脚も開かれて床の鎖に固定されている。つまりX字の状態で吊るされているのだ。秘めておきたい部分も大きく広げられてしまう女としては屈辱的なポーズだ。しかも、その股間の肉裂には、極めて太いバイブレーターが埋め込まれていた。

股間だけではない。両の乳首にもクリップ式のローターが取り付けられ、妖しい振動を女体へと与えていた。

女の背後から、将軍はまたムチを振るう。ピシっと肉の裂ける音がする。女の白い尻は、たちまち真っ赤へ染まってしまう。

「あ〜っ!」

女は仰け反って悲鳴を上げるが、その声には微かな甘い響きがあった。

「ユリ、どうだ、久しぶりのムチの味は。たまらないだろう?」
「お、お許し下さい、ご主人様。ムチはつ、つらいです」
「口ではそんなことを言ってるが、それじゃあ、どうしてここはこんなになっているんだ?」

将軍は女の股間に指を伸ばした。バイブレーターをくわえ込んだ無毛のその部分は、溢れんばかりに濡れそぼっていた。

「そ、それはバイブレーターが……」
「いいや、違うぞ、ユリ。バイブで責めるだけじゃあ、お前はこんなに濡れない。お前はムチが好きなんだ。ムチで叩かれると、感じてしまう変態なんだ」
「ああ……、そんなことを言わないで下さい。恥ずかしい……」

ユリはXの字に広げられた体をくねらせた。乳房も尻も大きく、みっしりとした肉付きの見事な肉体だった。そして、その絹のように滑らかな白い肌をムチで真っ赤に染め上げていくのが、将軍のお気に入りのプレイだった。ムチを受けた時の、ユリの悲鳴は切なく悩ましく、将軍をたまらなく興奮させる。

その後、三発目のムチで、ユリは失神してしまった。その瞬間に上げたユリの悲鳴は、将軍にはエクスタシーを迎えた時の声のように聞こえた。

ユリは失神から覚めると、将軍の体に奉仕した。でっぷりとして脂ぎった褐色の肌の隅々までユリは舌を這わせた。
将軍は一度目の射精はユリの口の中に放出した。大量の濃い精液を、ユリは黙って飲み込んだ。その時の悲しげな表情に将軍は興奮し、放ったばかりなのに、すぐにまた硬さを取り戻す。

今度は、ユリを再び天井から吊るして、そのままの姿勢で犯した。まるで腕のように太く長い将軍のペニスで、不自由な体を貫かれたユリは、悲鳴とも快楽の声ともつかない絶叫と共に、絶頂へ追い上げられた。

「ふふふ、まだだ。まだ満足していないぞ、ユリ。今夜はもっともっと楽しませてもらうぞ」
「ああ、もう許して下さい、ご主人様。ユリは壊れてしまいそうです」
「何を言ってるんだ。お前の体は、まだまだ物足りなそうだぞ」

将軍は、ユリの両足首をつかんで左右に大きく広げる。

「ああっ、いや……」

両腕を天井から吊るされているユリに抗う術はない。股間が限界まで広げられ、無毛の肉裂から、今さっき注ぎ込まれた将軍の白濁液が溢れてくる。それはあまりに淫らな光景だった。

「まったくお前の体はたまらない。責めれば責めるほどいやらしく輝いてくる。ふふふ、今度はどんなふうにいじめられたいんだ?」

その日の明け方まで、ユリは悲鳴を上げ続けた。


(続く)

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10.07.12更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |