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第9章 潜入捜査官・エリカ【10】

そして羞恥劇は、ようやく終わりを告げた。エリカの股間の真下に置かれたバケツの中には大量の流動物が満たされている。その周囲にも飛び散り、その排泄の凄まじさを物語っていた。

エリカはしゃがみこんだまま、童女のように泣きじゃくっている。真っ赤に染まった顔は涙でぐしゃぐしゃだ。

「ふふふ、ずいぶん派手にひり出しましたね。やはり海外の方はひり出し方もダイナミックだ」
「ダイナミックなのはいいですけれど、後片付けをするものの事も考えて欲しいものですよ。ほら、こんなに広範囲にまで飛び散らせて……」

男たちはエリカに下卑な哄笑を浴びせ、容赦なく言葉で傷つけていく。

「ごめんなさい……、ごめんなさい……」

エリカに残った最後のプライドも、完全に打ち砕かれていた。こんな無様な姿を晒してしまっては、もう女としてはおしまいだ。エリカは、ただ泣きじゃくるしかなかった。

「ほら、拭いてあげますから、お尻を上げて。さぁ、もっと高く」

ティッシュペーパーを手にした小林に言われるがままに、エリカは腰を上げ、汚れた尻を突き出した。そんな恥ずかしいポーズを自分から取るなどと、以前のエリカからは全く考えられないことだった。

小林はエリカの尻肉を開き、菊花をむき出しにした。

「ふふふ、お尻の穴が汚れてますよ、美人スパイさん。綺麗にしないとねぇ」
「あっ……」

ティッシュペーパーを窄まりにあてがわれて、エリカは思わず声をあげた。排泄の後でそこは敏感になっていたのだ。

「小林警部にお尻の穴の後始末までしてもらえるなんて光栄ですよ。感謝しないと」

明智たちは、足元の汚れたバケツなどを片付けている。その手際のよさは、これまで何人もの女性を同じような目に合わせてきたことを伺わせた。

「ああ……。ありがとうございます」
「いえいえ、こんな美人のお尻の後始末なら、全然苦になりませんよ。ほーら、綺麗になった」

小林は、汚れを完全に拭き終えると、ピシャリと尻肉を叩いた。

「あっ」

エリカは声を漏らすが、叩かれた尻を下げることはなかった。肛門までさらけ出す無様で、屈辱的な姿勢を保っている。

明智たちは、飛沫まで清め終え、取調室の空気まで入れ替えた。もはや、エリカの排泄の痕跡を残すものはなかった。

「さて、あなたの排泄物も調べましたが、肛門内には何も隠していなかったようですね」

小林は、エリカの顔を覗き込んで、語りかける。エリカは涙で濡れた顔で頷く。

「はい……。本当に、何も隠していません」
「まぁ、そんなことだろうとは思っていましたけどね。ところで、あなたの国の大使館に問い合わせをしました。エリカ・コルピという女性が我が国に入国していないかとね」

エリカは力なく小林を見つめた。

「大使館からの返事はこうでした。エリカ・コルピという国民は存在しない、とね」
「!?」
「従って、あなたをどう扱おうと、国際問題にはならないんですよ。あなたはこの世界のどこにも存在しない人間なんですから……」
「ど、どうして……」
「それから、あなたの国でPTWのメンバーも次々と逮捕されているそうですよ。罪状は様々みたいですが。いや、あなたの国だけじゃなく、世界各地で起きているようですけどね。そしてこの東京でもね」

エリカは目を見開いたまま、黙っている。小林の話が理解できないのだ。いったい、PTWに何が起こったのか。

そもそもPTWことPOWER TO WOMENはヨーロッパを中心とする女性の権利を守るための団体だ。1960年代にアメリカで起きたウーマンリブの運動の流れを引き、時にその手段を選ばぬ行動は過激だと言われることもあるが、あくまでも合法的な組織である。

「女性運動もいいですけど、あなたたちは、国家の余計なところに首を突っ込んじゃったんじゃないですかね」

エリカは、ハッと息を飲む。エリカたち末端のメンバーには詳しいことは知らされていないが、多くの国の有力者たちの秘密のネットワークに女性の人権を侵害する要素があるのではと、PTWが調査を進めているという話は聞いたことがあった。そして、自分の指命である東京国の国民奉仕法の実態調査も、その問題に関わっているらしいということも感じ取っていたのだ。

しかし、もはやエリカにPTWのメンバーとしてのプライドは残っていなかった。一瞬だけ甦ったPTWの記憶も、すぐに薄れた。今の自分は、何もかも晒した恥知らずの牝に過ぎないのだ。

エリカは目を閉じ、さらに腰を高く上げ、脚を開いた。股間の二つの花が、男たちの目の前で悩ましげ咲き誇った。



「さっき、北村恵美の身柄を拘束したと連絡が来ました。これで東京のPTWメンバーは、すべて捕獲できたことになりました」
「そうですか。私の知っている限りでは、これで全員です」
「ご協力に感謝します、坂下さん」
「はい。あの、これで私は……」
「ええ、お約束しますよ。国家反逆組織に関わった罪も帳消しにしますし、奉仕期間も免除いたします」
「ありがとうございます」

坂下みゆきは、無表情のままに明智警部補に頭を下げた。

「では、気をつけてお帰り下さい。くれぐれも、このことはご内密に。まぁ、あなたから口を開くことはないでしょうけど」
「はい、約束いたします。では……」

みゆきは、逃げるように早足で立ち去った。

「まったく薄気味悪い女だな」
「平然と仲間を売りましたしね。ああいうのは、もう少し慙愧の念にかられたりするもんだと思ってたんですが」

柳生が少しあきれたように言うと、明智が答える。

「まぁ、ああいう人間がいるおかげでおれたちも助かるんだからな。そういや、あの金髪さんもあいつの密告で捕まえられたんだよな」
「ええ、あの人が高橋書店へ連れ込んだらしいです」
「ありゃあ、久しぶりに上玉だったよなぁ。おれはあんまり外人って興味はなかったんだけど、あれだけ綺麗だとやっぱりいいな」
「ええ、実は僕も小林警部のあの趣味は、あんまり理解できなかったんですけど……」
「浣腸責めか? あれは警部の病気みたいなものだから、そう言わずにつきあってやれよ」
「まぁ、もうずいぶん慣れましたけどね。いや、それでも、あのエリカの浣腸責めは、さすがに興奮しちゃいましたよ。あれだけ美しくてプライドの高い白人女性が、泣き叫びながらひり出すんですからね。あの時ばかりは、汚いなんて思わなかったな」
「ははは。確かにな。あの後、ずいぶんPTWのメンバーを尋問したけれど、エリカの後だとみんな見劣りするばかりだったもんなぁ」
「だって、男に縁がないから女性運動にハマっちゃったような奴ばかりじゃないですか、PTWのメンバーって。それじゃ尋問のしがいもないですよ」
「警部も明らかに尋問に手を抜きまくってたよな。すぐ苦痛で片をつけようとしてたし」
「で、エリカって今、どうなってるんですか? まだ警部のところに?」
「ああ。かなり警部もお気に入りだったようだが、上から指示が出てな。『島』行きになるらしいぞ」
「へえ。外人が『島』行きって初めてじゃないですか?」
「ああ、たぶんな。でもこれから増えるんじゃないか? ドールのニーズも増えてきてるみたいだし」

その時、二人の背後から声がした。

「おやおや、そんな話を大声でしていてはいけませんね」

明智と柳生が振り向くと、そこには小林が立っていた。いつの間にかに取調室に入ってきていたらしい。小林たちは、慌てて敬礼する。

「申し訳ありません、警部」

謝りながら、いつから話を聞かれていたのだろうかと焦る。浣腸責めは病気の下りなど、聞かれていたら、いろいろと問題だ。

「確かにエリカの『島』行きが決定しました。残念ですよ、私も彼女は気に入ってたんですけどねぇ。それでも上の命令には従うしかないですよ。宮仕えの悲しいところですね」

小林は大げさに肩をすくめて見せる。

「まぁ、それで最後にちょっと楽しもうかと思いましてね。あなたたち二人をお誘いしに来たんですよ」
「え?」



その日、勤務を終えた二人を、小林は自分の隠れ家として使っているマンションへ招待した。そこは小林が個人的なサディスティックな趣味を満喫するためのプレイルームとなっていた。明智たちも、何度か連れてこられたことがあった。

「ふふふ、遅かったじゃないですか」

プレイルームには、すでに高橋店長が来ていた。一糸まとわぬ姿で初老の裸身をさらしている。ベッドに腰掛けている店長の股間には、美しいブロンドの女が跪いて顔をうずめている。エリカだった。腕は背中で拘束されているため、口だけを使って、店長に奉仕しているのだ。

部屋に入ってきた二人に気がつくと、エリカはチラリと視線を向けたが、すぐに奉仕に戻った。艶めかしく舌を遣い、年のわりには元気な店長のペニスを舐め回す。

「今日は、みなさんと一緒にエリカを楽しもうと思いましてね。あれから、私がどれだけエリカを仕込んできたか、その成果をお見せしますよ」

ガウン姿になった小林がそう言うと同時に、店長が声を漏らした。射精したらしい。エリカは嬉しそうな表情を浮かべて、店長のペニスをしゃぶり、最後の一滴まで吸いだした。そして、口の中で精液をじっくり味わうようにしてから、飲み干した。その妖艶な表情と行為は、まるでベテランのポルノ女優のようだった。

「いやぁ、すごいな、こいつは。もう搾り取られちゃったよ」

店長は照れくさそうに笑いながら、ブリーフを穿いた。

「さぁ、エリカ。お二人にお前を味わってもらいなさい」
「はい。ご主人様」

エリカは一糸まとわぬ裸身をくねらせながら、明智と柳生に近づく。

「失礼します」

そう言って、素早く二人のスラックスを脱がしていく。

「おやおや、二人とも、もう準備OKじゃないですか」
「いや、あの……」

明智も柳生もトランクスの前を突き破りそうなほどに盛り上がっていた。

「前戯は不要のようですね。とりあえず一回抜いてあげなさいエリカ」
「はい……」

エリカはくるりと後ろを向いて、床に這いつくばると、腰を高く上げ、脚を開いた。二人の目の前にエリカの股間が丸出しになる。

「どちらでもご自由にお使い下さいませ」

エリカは悩ましげに尻を振った。肉裂はすでにヌメヌメとうるおいを見せていた。そしてその上の菊花も、愛液が流れ込んでいたのか、濡れ光っている。

「前も後ろも好きな方に入れていいんですよ。二人同時に入れるのも楽しいですよ」

小林の言葉に、二人は顔を見合わせる。

「ああ、お二人で一緒に入れて欲しいです。お願いします……」

エリカは尻を突き出して、二人を誘った。そこにいるのは、一匹の淫らな牝の獣だった。
(続く)

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11.03.14更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |