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これは前講でも触れたことなのですが、逆さ吊りは大変危険な腸洗滌法の一つです。正しい手順で行なわないと、楽しい楽しい逆さ吊りが、一転して大惨事になり得るのです。逆さ吊りを成功させるためには、きちんと準備し、正しい作法を知らねばならないのです。前講で私は、大量の温水を抵抗少なくケッツの穴から腸内に注入する最も優れた方法は、被術者の両足を縛って逆さまに宙に吊り上げ、頭が地面(床)から離れるようにした完全倒立の態位だと言いました。そして同時にそれは非常に危険を伴う方法であり、誰でもが安易に試みるべきものではないと注意しました。
人間の両足を縛って吊り上げ、完全に宙ぶらりんにすると、血液は下になった頭のほうに集まり、脳が充血します。頭が身体の一番上にある平素の日常生活とは全く逆の状態になる訳で、ゆっくりと逆さにし、短い時間倒立させて又ゆっくり元に戻すのであれば、健康のためにはいいのですが、何時間も逆吊りのままで元に戻さないと、健康な人でも脳や心臓に悪い影響が生じますし、元々成人病予備軍であったり、若者でも身体が虚弱な人には、逆さ吊りそのものが過激でショックが大きすぎますから、これは誰にでも奨められる方法ではありません。
そしてもう一つ、両足首を縛る場合、外れないようにと固いロープでしっかりと縛って吊り下げると、縛られたところに力が懸かりすぎ、取り返しの付かぬ損傷を生ずる危険性があるのです。
固いロープで両足首をギュウギュウに縛り上げて吊り下げますと、身体の全重量が縛り目に懸かりますので、縛られた個所の筋肉や血管や骨が不目然に捻じれて引っ張られますから、それらが損傷する危険性が大きいのです。
損傷といっても、治療によって完治する軽微な怪我ならそう心配しなくてもいいのですが、固いロープでギュウギュウに縛りあげてぶら下げると、引っ張られ捻じられてその個所の神経が切断されてしまうことがあるのです。
裂傷や骨折や出血なら治りますが、神経は一度切れたらもう治りません。一生不治で障害が残ることになります。
これは昭和61年、私が東京にいた頃(丁度横田猛雄の筆名でSM誌に登場し始めた頃)、当時×××の××××(※伏せ字部分の店名は『S&Mスナイパー』掲載時の誤りで、後に「同店とは無関係の出来事でした」と著者である横田猛雄氏から訂正が入っています。誤解を避けるため、ここでは文言を伏せさせて頂きます。WEBスナイパー編集部)を仕切っていた、鞭の使い手として名の知られた矢野龍子女史から聞いた話です。
その頃××××で催されたSMパーティで、縛りのMモデルを志願して来たOLの女性が、逆さ吊りではありませんが、両手首を縛って宙吊りにされた時、固いロープでしっかり縛られていたため、そのまま吊り下げたら手首の神経が切れてしまい、その女性は手首から先の感覚を失ってしまうという障害を得て、本来なら楽しいサバト(密夜の秘宴)であるべき一場が、たちまちにして傷害問題の争いの場と化したとのことです。
一旦切れてしまった神経は、回復は不可能とのことで、過失だ、傷害だ、補償だ……と予想だにせぬ不幸な方向へ転開することになる、そんな前例がありますから、吊り下げる時は細心の注意が必要です。
縛って宙吊りにする場合は、縛る個所(手首や足首)に、先ずタオルなどの柔らかい布類を巻いて養生をしておいて、その上から柔軟性のある綱で少々ゆるく縛るなどの気配りが必要で、間違っても細くて固いゴッゴッした綱で、ギュウギュウにきつく縛ってはいけません。猪や狸を生け捕りにするのとは違います。
(続く)
11.10.26更新 |
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