第53講 空気浣腸の奥深さを知る【2】 文=横田猛雄 イラスト=伊集院貴子 |
第二課 空気浣腸の神様
昭和三十年代後半の雑誌『奇譚クラブ』誌上で投稿活躍した空気浣腸ファンと言うか腸内に沢山の物を詰めることに快感を得るマニアの大先輩として忘れてはいけない人に、羽島水江さんと言う女性がいます。
羽島水江さんは文章の内容から推察して現在六十歳くらいになる方で、当時は二十代後半か三十代の初めと思われます。羽島水江は当然仮名(ペンネーム)ですが、本人は私と同じく三重県の人だとのことです。
この羽島さんの凄いのはとても強度な内臓被虐性欲者で、機会があれば誰かを捕らえて思い切り大量の水や空気を、どれだけ入るか実験的にケッツの穴から入れてみたいという願望を述べていましたが、他人を責めるだけではなく、自分の身体にも誰かの手で強制的にそんな責めを加えられたくて、又そんな光景を沢山の人に見られたいという願望を持つ人で、とにかく徹底した人でした(どんどん空気を送り込んでお腹が破裂するまで入れたらどんなになるか……等と言っていました)。
羽島さんの凄いのは中々責め手が見つからないので自分で自分の身体に施す自虐プレイの内容です。
空気入れのゴムホースを自分で自分のケッツの穴に挿し込み、ペダルを踏んでどんどん空気を入れていき、蛙か風船のように腹パンパンにしてしまうのです。
人間の身体にケッツの穴から空気を入れると最初は臍の上、胃のあたりが前へせり出して膨らんできて、次は左右の脇腹が前へではなくむしろ横に開いた感じで膨らみ、その姿はアンパンのように丸くなります。
これで大体三千ccから三千五百cc入ったことになります。
更に空気を入れようとしますとカンカンに固くなっていて、腸が裂けそうな痛みがありますが、腹を時計廼りにさすりながら、ゆっくり少しずつ更に入れまずと、苦しいけど徐々に入るようになります。
これは直腸・S字状結腸・下行結腸・横行結腸・上行結腸即ち大腸が満タンになり、そこで一応流入がさえぎられたからです。
大腸の先には小腸がありますが、人間の食物の消化のしくみは、胃の中に入り強い胃液でこなされた食物は、胃では吸収されずに十二指腸を通って小腸に行き、小腸で初めて腸壁から栄養として吸収されるのです。
そうして小腸で栄養分を吸収されたカスが大腸(上行結腸以下)に送られ、大腸(諸結腸)では水分が吸収され(吸収された水分は尿になる)、固形化されたカスが便となって直腸に下りてくるのです。
食物の栄養分を摂りカスを送り出す小腸と大腸の境には逆流しない弁があって、普通では一旦送られたカスが小腸に戻ってこないようになっているのですが、ケッツの穴から逆に液や気体を流入すると、大腸まで一杯になると、この弁で一旦は遮られるのです。腹がパンパンになってそれ以上入らなくなりますので、そこまで何cc入ったかを測っておればその人の大腸の容量が分かるということで、それが成人なら三千〜三十五百ccということです。
入りにくくなったのを根気よくさすりながらゆっくり入れてやると、弁の辺りの腸管が一杯に拡げられ、ついには一方通行の弁も少や隙間が開き、ゆっくりゆっくり液や気体は小腸に流入します(液より空気の方が楽に入る)。
空気が小腸に入り始めると腹の形は横に丸形になっていたのが崩れて下腹の方もたらんと膨らんで来てまるで風船のようにボテンとなります(それでも妊婦腹とはやや異なります。妊婦のは子宮を中心に前へせり出しますので前へもっと尖って、臍が飛び出した形になります)。
空気が小腸に入り始めると、やがて腹がゴロゴロと鳴り続け、空気は胃の方へ侵入し始めるので盛んにゲップが出続けます。
ゲップが出ると自分でも分かりますが腹が少ししぼみます。それは空気が口から抜けるからで、次々とゲップが出て楽になります。
そうなるとどれだけケッツから追加して空気を入れても同じで、上からどんどん抜けて行きます。つまり空気の抜ける「道」がついてしまったのです。
素人が見ていたらどんどん空気を注入して面白いと思うかも知れませんが、皆ゲップで抜けるのです。
ゲップは歯を喰いしばっていれば奥歯の隅から音は立てずに出せます。
そこで先号で記したように女郎部屋や闇の世界では女の鳩尾を腰紐できつく縛る処置をするのです。
こうすると胃の上部・食道が塞がれ、空気の洩れは防げますが、腹は太鼓のようにカンカンになり、肋骨の動きは妨げられますので呼吸が困難になって苦しくなります。
羽島さんは自分の手で自分をこんな姿にして密かに自宅で風呂に浸かってみたら、腹を上にしてぽっかり浮くことを体験したそうです。
こうやって大量の空気をケッツの穴から入れると人間は背が大きく反り、俯いたり前かがみで物を拾えなくなります。
横田猛雄 1990年3月号よりS&Mスナイパーにて実践派のための肛門エッセイを連載。1993年ミリオン出版より『お尻の学校[少年篇]』発行。またアナル責めのAV作品にも多数出演しており、A感覚実践派の伝道師として他の追随を許さぬ存在。2007年5月号まで同誌上で『大肛門大学』を連載していたが、高齢と健康上の理由により連載終了。そしてWebスナイパーにて、膨大かつ偉大なるアーカイブの復刻連載開始です! |
09.05.20更新 |
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