第53講 空気浣腸の奥深さを知る【1】 文=横田猛雄 イラスト=伊集院貴子 |
第一課 憧れの古代ローマ帝国
「ローマは一日にして成らず」と言われますが、偉大な文化が隆盛して栄耀栄華を極め、爛熟し切った末に見せる頽廃の様はまさに人を酔わせてしまう毒気に満ちています。
古代ローマ帝国の貴婦人たちは自分の所有する奴隷のケッツの穴へ空気を一杯に注入し、各々がそんな奴隷を自分の持ち駒として出場させ、貴族のサロンを会場にして「屁こき競争」をして大金を賭けるというギャンブルに現をぬかしていたのです。
かの古い時代にどのようにして人間のケッツの穴から空気を入れたのか、助平な諸君にとってはそれが一番知りたい所でしょう。
諸君よ安心しなさい。いくら昔にさかのぼっても、ケッツの穴から液体を注入する方法はあったのです。
ローマ帝国よりまだもっと古い古代エジプトでもすでに医学で浣腸する方法はあり、植物(木や草)を管(パイプ)にした物を患者のケッツの穴に挿し込んで、目一杯に薬を含んだ医師が、そのパイプの端を咥えてプウッと力一杯吹いて注入していました。
使用するパイプは木や竹の外には銀製のパイプがよく用いられたもので、ケッツの穴からパイプで息吹き掛けるのでは大したことは出来ないのでは……と諸君はたかをくくるでしょうが、どうしてこの方法はそれほど馬鹿にしたものではありません。
注入する時の体位が大切なのです。四つん這いにさせて、そのまま尻を高くかかげさせ、頭と胸とを低く床に着けさせる、いわゆる「胸膝位」にさせますと、ケッツの穴が天を向き、内臓全体が自分の重みで下垂(この場合低くさせた胸の方へ)しますので、下行結腸もS字状結腸も直腸も引っ張られてズボンと長い一本の管になり、肛門括約筋も肛門挙筋もすべてが弛緩しますので、この姿勢で腹の力を抜かせるとポコッと指一本入るくらいケッツの穴が口開いたりしますし、女性の場合は膣や子宮も同様に下垂しますのでオメコもポコッと口を開けます。そんな状態で流し込むのですから口うつしでも大量の液は入ります。
日本の江戸時代の浣腸もそれと同じ方法で行なわれたもので、医師は蛙のケッツの穴に麦ワラを挿し込むようにしてプウと口で吹いていたのです。高貴な入用の管は蒔絵を施した立派な筒だったようです。
これが北欧のバイキングの間では管よりも一歩進んだ牛の角になるのです。古代の北欧では牛角を洒盃にしているのを諸君はバイキング映画でよく知っているでしょう。あの酒盃の尖った底を少し摺り、穴を上から下(底)まで貫通させた物をケッツの穴へ挿入したのです。
牛角の盃はここで初めて細めの漏斗となるのです。そして胸膝位で入りやすく腸が拡がっているのですから、これをケッツの穴から突き立てて液を注入してやれば液は勝手にひとりでに流れ込むのです。
古代ローマの時代には現代のガラス工芸の礎となる吹きガラスの技法が生まれます。パイプに種を取って吹いて成形するガラス技法では盃は手軽く大量生産が可能で、そうなれば酒盃の他、ケッツから液を飲ませる浣腸用器の出現はごく当たり前のことです。
好色な古代ローマの貴婦人たちのことです、職人に命じてきっと様々な口径と長さのガラスの浣腸器を作らせたことでしょう。
そこで使われる薬液は当然医療用の範囲を超えて快楽追求用や拷問用にも多用された筈です。眠り薬も痺れ薬も、口から入れて効く物はケッツの穴から入れると更によく効くのです(胃の消化液に薄められず成分が百%生のまま直腸から直に血液の中に入ってゆくから)。
だが諸君、冒頭で述べたケッツの穴の屁の競争用には管より更に大量の空気を合理的に一遍に入れられる器具の必要性が起こり、そこに登場するのが「豚の膀胱」なのです。
ゴムもビニールも無い昔、豚の膀胱こそは巨大な風船で、これに銀の口金を付ければ、人間のケッツの穴に大量の液や空気を注入することが出来る大変重宝な物なのです。現在でもイタリアなどの西欧料理に豚の膀胱を使うのは、その起源は古代ローマ時代にあるのです。現在でもこの方法はバルーンと称し、ゴムやビニールになり医療に使用されています(腸内撮影の時空気を大量に注入するドッジボールのようなゴム風船で、割れないように網付きの物などありこれなどは豚の膀胱の正統なる子孫と言えるでしょう)。
それにしても毎日こんなのでケッツから空気を入れられて群衆の注目の中でプウプウ屁をこかされた奴隷も大変なものです。
横田猛雄 1990年3月号よりS&Mスナイパーにて実践派のための肛門エッセイを連載。1993年ミリオン出版より『お尻の学校[少年篇]』発行。またアナル責めのAV作品にも多数出演しており、A感覚実践派の伝道師として他の追随を許さぬ存在。2007年5月号まで同誌上で『大肛門大学』を連載していたが、高齢と健康上の理由により連載終了。そしてWebスナイパーにて、膨大かつ偉大なるアーカイブの復刻連載開始です! |
09.05.13更新 |
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