『Crash』1986年8月号より/白夜書房
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青山正明と「Flesh Paper」/『Crash』編(2)
前回載せられなかった5月号から引き続き解説していく。
『Crash』1986年5月号
「青山正明のもっと気持ち良く射精するための「奇跡の変態」へんたいゼミナール」は、「ロリコン中学生の執念」と題して、裏ビデオが欲しいがために麻布書店にイタズラ電話をかけてきた中学生男子の話。オナニーについての連載だがあまり関係ない。次号から連載「Flesh Paper」を始める旨がある。ちなみに『Crash』はこの号から金坂健二の連載「セクシャル・レヴォルーションUSA」が開始されている(〜87年10月号)。女装したアレン・ギンズバーグの写真が印象的。金坂については以前書いた新宿アングラ話を参照してほしいが、60年代の日本にアングラを持ち込んだ伝説的人物だが、現在不当に評価が低い。80年代初頭にも別のエロ本に連載を持っていた。
『Crash』1986年7月号
『Crash』はこの号から版型がA4からB5に変わる。「Flesh Paper」第40号。見出しは「クラシック・コーラが飲みたいぞ!おい!」「ロリータ地下ビデオの傑作「夢まくら」」「〈フィルム・インディーズfrom NY〉に寄せて ヤンキー・カルトが、果たして日本の観客に通用するのか!?」「リノリウムの床 ミルク 喫煙者」。柱には一行情報として“『悪魔の植物人間』群馬テレビでノーカット放映、横浜の正明、泣く。”“青山正明、意外にも医学書の編集に着手。エロ業界各社から羨望の眼差し!?”とある。情報中心で文体的に感心するような部分は少ないが、早くも「ぴあ」のカルト・ムービー戦略について皮肉を書いているのは、らしい。
『Crash』1986年8月号
「宗教グッズ通販でガッポリ儲ける!?原価百円の粘土細工が、御神体と銘打ちゃ1万円で売れる!」「フランク・デ・フェリータの新刊『ゴルゴダの呪いの教会』」「あらあら不思議、ミカンがいじける思念形態の具象化卑近例」「選民シェルター完成!?」「ドラッグをデザインする」「これはアブナイ!復讐・悪戯テクニック第2回」。既に連載フォーマットが完成しており、裏社会ネタ、本・映画・音楽のレビュー、噂話、テイストレスを雑多に並べたアブナイ情報のページとして回っている。
『Crash』1986年9月号
ミミズの煎じて飲むと流感が治る、悪戯テクニック第3回、開錠・金庫破りの基礎マニュアル『Locks, Picks, and Clicks』の紹介など。アーサー・ケストラー『ホロン革命』に端を発する「ホロン」ブームについて、それって高校で習う“冗長性”と変わらないだろと批判。「とにかく、内容の陳腐さをネーミングで一新するカップ麺みたいな真似は止めて欲しいね、学問では……。ニューサイエンスなんつう俗な商品名考えやがって(日本人が考えた言葉だよコレ。知ってた?)」
『Crash』1986年10月号
悪戯テクニック第4回、桜桃書房の角本変態誌『フラッパー』紹介、スケベ・マントラ、リーガル・ドラッグ、「何が感性だ!何がノリだ!コラッ!?」など。『フラッパー』について「硬軟取り混ぜて、近親相姦というありふれたテーマを実に興味深く読ませる辺りは立派の一言。ビリー、フィリアック、ビッチ亡き後の総合エロ・グロ・ナンセンス誌として、エロ写真の夏を増大させ、更なる躍進を遂げることを期待したい。う〜ん、ちょっとでいいから僕も加えてくれよぉ、鈴木編集長!!」とかなりの高評価。プロフィールには「横須賀市立鶴久保小学校卒」とある。
『Crash』1986年11月号
海外ヘンテコリン事件簿、悪戯テクニック第5回、科学誌『クォーク』の別冊『セックス・サイエンス』の紹介、大麻栽培の手口暴露など。「随分前から友人に「おい、青山。クォークはスゲェぞ。おまんこガンガン載せとるぞ」と言われていたのが、いやはや、実際見てびっくりしました」と推薦。プロフィールには「GTRを聞きながらガーナ・チョコを食べてる時が一番幸せ」とあり、クレジットは「盗用・構成・執筆」。一応、海外からネタ盗用の意識もあったのだろうか。
『Crash』1986年12月号
海外ヘンテコリン事件簿、悪戯テクニック第6回、Radioimmunassay(RIA)放射免疫検定法、『ベアトリーチェ・チェンチ 16世紀ローマの悲劇』の紹介、チャクラ覚醒法など。プロフィールには「父と母と妻を連れてシャボテン公園に行った健康的孝行息子」とある。海外の種本から拾ったと思しきネタと、ほとんどあらすじ紹介の書評で、全体的に楽をしているように見える回。
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新宿アンダーグラウンドの残影 〜モダンアートのある60年代〜
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青山正明と「Flesh Paper」/『Crash』編(2)
前回載せられなかった5月号から引き続き解説していく。
『Crash』1986年5月号/発行=白夜書房 |
「青山正明のもっと気持ち良く射精するための「奇跡の変態」へんたいゼミナール」は、「ロリコン中学生の執念」と題して、裏ビデオが欲しいがために麻布書店にイタズラ電話をかけてきた中学生男子の話。オナニーについての連載だがあまり関係ない。次号から連載「Flesh Paper」を始める旨がある。ちなみに『Crash』はこの号から金坂健二の連載「セクシャル・レヴォルーションUSA」が開始されている(〜87年10月号)。女装したアレン・ギンズバーグの写真が印象的。金坂については以前書いた新宿アングラ話を参照してほしいが、60年代の日本にアングラを持ち込んだ伝説的人物だが、現在不当に評価が低い。80年代初頭にも別のエロ本に連載を持っていた。
『Crash』1986年7月号/白夜書房 |
『Crash』はこの号から版型がA4からB5に変わる。「Flesh Paper」第40号。見出しは「クラシック・コーラが飲みたいぞ!おい!」「ロリータ地下ビデオの傑作「夢まくら」」「〈フィルム・インディーズfrom NY〉に寄せて ヤンキー・カルトが、果たして日本の観客に通用するのか!?」「リノリウムの床 ミルク 喫煙者」。柱には一行情報として“『悪魔の植物人間』群馬テレビでノーカット放映、横浜の正明、泣く。”“青山正明、意外にも医学書の編集に着手。エロ業界各社から羨望の眼差し!?”とある。情報中心で文体的に感心するような部分は少ないが、早くも「ぴあ」のカルト・ムービー戦略について皮肉を書いているのは、らしい。
『Crash』1986年8月号/白夜書房 |
「宗教グッズ通販でガッポリ儲ける!?原価百円の粘土細工が、御神体と銘打ちゃ1万円で売れる!」「フランク・デ・フェリータの新刊『ゴルゴダの呪いの教会』」「あらあら不思議、ミカンがいじける思念形態の具象化卑近例」「選民シェルター完成!?」「ドラッグをデザインする」「これはアブナイ!復讐・悪戯テクニック第2回」。既に連載フォーマットが完成しており、裏社会ネタ、本・映画・音楽のレビュー、噂話、テイストレスを雑多に並べたアブナイ情報のページとして回っている。
『Crash』1986年9月号/白夜書房 |
ミミズの煎じて飲むと流感が治る、悪戯テクニック第3回、開錠・金庫破りの基礎マニュアル『Locks, Picks, and Clicks』の紹介など。アーサー・ケストラー『ホロン革命』に端を発する「ホロン」ブームについて、それって高校で習う“冗長性”と変わらないだろと批判。「とにかく、内容の陳腐さをネーミングで一新するカップ麺みたいな真似は止めて欲しいね、学問では……。ニューサイエンスなんつう俗な商品名考えやがって(日本人が考えた言葉だよコレ。知ってた?)」
『Crash』1986年10月号/白夜書房 |
悪戯テクニック第4回、桜桃書房の角本変態誌『フラッパー』紹介、スケベ・マントラ、リーガル・ドラッグ、「何が感性だ!何がノリだ!コラッ!?」など。『フラッパー』について「硬軟取り混ぜて、近親相姦というありふれたテーマを実に興味深く読ませる辺りは立派の一言。ビリー、フィリアック、ビッチ亡き後の総合エロ・グロ・ナンセンス誌として、エロ写真の夏を増大させ、更なる躍進を遂げることを期待したい。う〜ん、ちょっとでいいから僕も加えてくれよぉ、鈴木編集長!!」とかなりの高評価。プロフィールには「横須賀市立鶴久保小学校卒」とある。
『Crash』1986年11月号/白夜書房 |
海外ヘンテコリン事件簿、悪戯テクニック第5回、科学誌『クォーク』の別冊『セックス・サイエンス』の紹介、大麻栽培の手口暴露など。「随分前から友人に「おい、青山。クォークはスゲェぞ。おまんこガンガン載せとるぞ」と言われていたのが、いやはや、実際見てびっくりしました」と推薦。プロフィールには「GTRを聞きながらガーナ・チョコを食べてる時が一番幸せ」とあり、クレジットは「盗用・構成・執筆」。一応、海外からネタ盗用の意識もあったのだろうか。
『Crash』1986年12月号/白夜書房 |
海外ヘンテコリン事件簿、悪戯テクニック第6回、Radioimmunassay(RIA)放射免疫検定法、『ベアトリーチェ・チェンチ 16世紀ローマの悲劇』の紹介、チャクラ覚醒法など。プロフィールには「父と母と妻を連れてシャボテン公園に行った健康的孝行息子」とある。海外の種本から拾ったと思しきネタと、ほとんどあらすじ紹介の書評で、全体的に楽をしているように見える回。
(続く)
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ばるぼら ネッ
トワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのイ
ンターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミ
ニコミを制作中。
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09.03.08更新 |
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