読者投稿不定期連載 北陸在住マニア画家の美少女羞恥緊縛図絵
Specially selected abnormal maniac exhibition
あぶらいふコレクション
新・淫マニア異端ノ図 【花も恥じらう】
作=魚清
北陸在住のマニア絵師が描く背徳的な鉛筆画と掌篇バックストーリー。責められる肉感美女たちの恥じらいと諦観は、どこまでもあいまいで広大深淵なファンタジーを紡ぎだす――少年の頃に見た夢の一つに、今は孫を持つ身となった百合さんの出てくる淫夢がある。当時、私は12歳。百合さんは16歳。花も恥じらうとはよく言ったもので、少女時代の百合さんは顔を見るのにも罪悪感を覚えるほど眩しく輝いていた。百合さんは私の親戚である。
私は一度だけ、百合さんが大便を排泄する姿を見たことがある。当時、トイレと言ったらどこの家でも「ボットン便所」。近所に住む百合さんの家はトイレの場所が裏の草っ原に面していた。田舎のことで柵もない。壁一枚だけが草っ原とトイレを隔てる壁であり、壁には下のほうに換気用の小窓がついていた。
初めから覗き見をしようと思っていたのではなかった。当時から独り遊びの好きだった私が、彼女の家の壁際に蟻地獄の巣を見つけ、点々と連なる巣を追って少しずつ移動していくうち、頭の上から物音が聞こえてきた。知らぬ間にトイレのそばまで来ていたのである。
最初に聞こえた音は、誰かがトイレに入ってきて、ドアを閉めた音だった。にわかに胸が高鳴った。
それが百合さんなのかどうか、私の五感がざわめいた。折しも夏休みの真っ只中である。彼女の両親は働きに出ている。
やがて衣ずれの音が聞こえてきた。あわせて床の板を踏む音がする。小窓は私の手の届く距離にあり、すでに三センチほどが開いていた。
頭の中は真っ白である。私は夢遊病者のようにノロノロと手を伸ばした。
百合さんの家の便器はどちら向きであっただろう。向きによっては、窓に手をかけた段階で見つかってしまうに違いない。しかし逆向きであれば気づかれないかも知れない。
何もかもがスローモーションのように感じられた。
私の指が、小窓を押した。わずかに開きが大きくなった。少し頭を突き出せば中にいる人物の身体の一部は見ることができる。
私は片手を地面についた。
首を伸ばすとこちら側に向けた尻の半分が見えた。そして、床に踏ん張っている片脚も。
こちらを向いた土踏まずが見えた。そして白い三つ折りのソックス。
まぎれもない百合さんの下半身である。
私は口を開きっぱなしにして、小窓をさらに大きく開けた。
真っ白な肉と肉の合わせめに、薄茶色の丸い何かが見えた。それが肛門だと分かるまでに少し時間がかかった。理解した瞬間には、そこからムリムリと滑らかな糞がヒリ出てきた。
あっ、と息を飲む間もない。私は撃たれたようによろめいて小窓から離れ、息を止めたまま、足音を立てないようにして駆け出した。
百合さんの夢を見たのは、それからしばらく経った晩のことである。
どこか納屋のような場所で、私は荒縄を使って百合さんを縛っていた。夢の中の百合さんは夏祭りで着ていたような浴衣姿だった。
私は縛り、解き、百合さんを裸にして、またキリキリと縛りあげた。縛っては解き、また縛っては解き、延々と、黙々と、汗をぬぐいながらただ縛ることを繰り返した。
この夢の中の情景を思い出すたび、私にとって「縛る」とはどういうことなのだろうと考えてしまう。
それはいわゆる責めのようなものではなかった。罰のようなものではなかった。今ならばともかく、縛ることについて当時の私にそんな連想はなかった。ただ縛り、裸にし、また縛らずにはいられない情動の迸りだけがあった。
今でも百合さんを遠くに見つけるだけで胸が震える。縛ることの意味も、胸が震えることの意味も、私にはうまく言葉にして説明することができない。ただ、私にとってその情動は観念的な花のようなものだとしか言えなくて、もどかしい。
決してこじつけるわけではないのだが、「花も恥じらう」という言葉に触れると、私は以上のことをひとまとまりでぼんやりと思う。
作=魚清
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魚清 北陸在住のアマチュア画家。 学生時代に読んだSM雑誌『裏窓』で椋陽児の絵に触れ、緊縛画の魅力を知る。その後数十年を経て自らも鉛筆による緊縛画を書き始め、5年ほど前に『S&Mスナイパー』内にあった「あぶらいふ」に作品を投稿、連載 を始めた。 責めの情景の中に少女が秘めた憂いや葛藤をエロティックに描きだす。 |