現存するフェルメールの作品35点。
しかし『合奏』と題された1点だけ、誰も見ることができない……
『消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス』
監督= レベッカ・ドレイファス
配給=アップリンク
フェルメールの「合奏」が美術館から盗まれて以来12年、遂に一人の探偵が立ち上がる!
9月27日よりアップリンクXにてロードショー!
生涯に三十数点しか描かなかった17世紀オランダを代表する画家フェルメール、そのうちの一枚である「合奏」が世界有数の規模を持つボストン美術館……ではなく、近隣にあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館から盗まれた。
事件は1990年3月18日午前1時24分、ガードナー美術館に警察官に扮した白人男性二人が現れ、通報を受けて来たと説明し館内に入り、警備員二人を拘束し、約90分の間にフェルメール「合奏」やレンブラント「ガリラヤの海の嵐」を含む13点(当時5億ドル相当)を盗み去ったというもので、現在に至るもその内の一枚すら見つかってない。
映画監督レベッカ・ドレイファスは少女の頃、このガードナー美術館を訪れ、気取らないくつろいだ雰囲気が気に入り、またフェルメールの「合奏」を見て感銘を受けたという。事件が起こってから10年、真相をめぐる色々な推論記事が出る度に読み、何か新しいことが起きてないかチェックしていたが未だに解決されず、監督は遂にこの謎に迫る映画を作ることにしたのである。『Digital Journal Online』のインタビューでこう語っている。
レベッカ監督:正直言うと、どうやって始めたのか覚えてないんだけど、映画を作らなきゃって思ったときにはもう製作真っ最中だったわ。映画が急に一人歩きを始めたのね。
[訳:ハル吉]
またガードナー美術館と「合奏」の思い出が映画に向わせたんですねという質問には、こう答えている。
レベッカ監督:確かに(映画を作る)きっかけになったわ。思い出のあの美術館であの絵だったから。もしこれが他の美術館で盗まれた別の絵だったら、絶対映画なんか作らなかったでしょうね。
[訳:ハル吉]
そして監督は世界的にも有名な絵画探偵ハロルド・スミスに調査を依頼。快諾したハロルドと一緒に「合奏」の行方を追う撮影が始まる。
フェドーラ帽(インディ・ジョーンズがよく被ってるやつ)を被り海賊系の黒い眼帯をした、小説に出てきそうなハロルド探偵。まずはテレビや雑誌を使い、盗難されたフェルメールの絵を探していると宣伝する。反響は大きかったが、「とあるホテルで飾られていた」「実は盗まれてはいない。美術館の他の絵の後ろにある」「盗んだのはジョン・レノンとオノ・ヨーコだ」といった愚にもつかないタレコミばかり。唯一信用できそうな電話もあったが実際に待ち合わせてみると結局は詐欺で会えずじまい。
大規模なメディア戦略が失敗すると今度は一つ一つ手掛かりを当たるしかない。もう一度現場の状況を洗い直すため当時の警備員に会って話を聞くと、警備はバイトがしており、誰も高額絵画を警備している意識がなかったという衝撃発言。調査が進むに連れ、500万ドルと告訴免除をくれるならすぐ取り戻してやると豪語する怪しい古物商やボストンを牛耳る闇社会のボスが関与しているという噂、作品は海を渡りIRA(アイルランド共和軍)が所有していると情報を持ち込み仲介を申し出る人物などが登場。これ本当にドキュメントなの?と思ってしまうくらい一癖も二癖もある輩が次々現れては、「ありえそうな話」をしていく。
またその追跡劇の間に間に、この美術館を建てたイザベラ・スチュワート・ガードナー(1840−1924)が如何にして海外から作品を集めてきたのかが、当時のモノクロ映像を交え、買い付けの手伝いをした伝説的美術鑑定家バーナード・ベレンソンとの往復書簡を朗読する形で語られる。
17世紀のオランダ美術が20世紀のアメリカに渡り、21世紀の世界の何処かに存在する。それはもしかしたら日本かもしれない。2005年に死去したハロルド探偵の遺志を継いであなたも絵の行方を捜してみては。報奨金500万ドル(約5億円)ですよ!
あ、銭形警部だ。
「待てルパーン!」
「あばよ、とっつぁん」
『消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス』
9月27日よりアップリンクXにてロードショー!
監督・撮影=レベッカ・ドレイファスマ
脚本:シャロン・ガスキン
キャスト
ハロルド・スミス
グレッグ・スミス
配給=アップリンク
2005|アメリカ|video|83分|1:1.33|カラー|ステレオ|
関連リンク
映画『消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス』公式サイト
映画『消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス』海外公式サイト
レベッカ・ドレイファス監督インタビュー(英語)
イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館(1896着工、1903年完成)
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監督= レベッカ・ドレイファス
配給=アップリンク
フェルメールの「合奏」が美術館から盗まれて以来12年、遂に一人の探偵が立ち上がる!
9月27日よりアップリンクXにてロードショー!
生涯に三十数点しか描かなかった17世紀オランダを代表する画家フェルメール、そのうちの一枚である「合奏」が世界有数の規模を持つボストン美術館……ではなく、近隣にあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館から盗まれた。
事件は1990年3月18日午前1時24分、ガードナー美術館に警察官に扮した白人男性二人が現れ、通報を受けて来たと説明し館内に入り、警備員二人を拘束し、約90分の間にフェルメール「合奏」やレンブラント「ガリラヤの海の嵐」を含む13点(当時5億ドル相当)を盗み去ったというもので、現在に至るもその内の一枚すら見つかってない。
映画監督レベッカ・ドレイファスは少女の頃、このガードナー美術館を訪れ、気取らないくつろいだ雰囲気が気に入り、またフェルメールの「合奏」を見て感銘を受けたという。事件が起こってから10年、真相をめぐる色々な推論記事が出る度に読み、何か新しいことが起きてないかチェックしていたが未だに解決されず、監督は遂にこの謎に迫る映画を作ることにしたのである。『Digital Journal Online』のインタビューでこう語っている。
レベッカ監督:正直言うと、どうやって始めたのか覚えてないんだけど、映画を作らなきゃって思ったときにはもう製作真っ最中だったわ。映画が急に一人歩きを始めたのね。
[訳:ハル吉]
またガードナー美術館と「合奏」の思い出が映画に向わせたんですねという質問には、こう答えている。
レベッカ監督:確かに(映画を作る)きっかけになったわ。思い出のあの美術館であの絵だったから。もしこれが他の美術館で盗まれた別の絵だったら、絶対映画なんか作らなかったでしょうね。
[訳:ハル吉]
そして監督は世界的にも有名な絵画探偵ハロルド・スミスに調査を依頼。快諾したハロルドと一緒に「合奏」の行方を追う撮影が始まる。
フェドーラ帽(インディ・ジョーンズがよく被ってるやつ)を被り海賊系の黒い眼帯をした、小説に出てきそうなハロルド探偵。まずはテレビや雑誌を使い、盗難されたフェルメールの絵を探していると宣伝する。反響は大きかったが、「とあるホテルで飾られていた」「実は盗まれてはいない。美術館の他の絵の後ろにある」「盗んだのはジョン・レノンとオノ・ヨーコだ」といった愚にもつかないタレコミばかり。唯一信用できそうな電話もあったが実際に待ち合わせてみると結局は詐欺で会えずじまい。
大規模なメディア戦略が失敗すると今度は一つ一つ手掛かりを当たるしかない。もう一度現場の状況を洗い直すため当時の警備員に会って話を聞くと、警備はバイトがしており、誰も高額絵画を警備している意識がなかったという衝撃発言。調査が進むに連れ、500万ドルと告訴免除をくれるならすぐ取り戻してやると豪語する怪しい古物商やボストンを牛耳る闇社会のボスが関与しているという噂、作品は海を渡りIRA(アイルランド共和軍)が所有していると情報を持ち込み仲介を申し出る人物などが登場。これ本当にドキュメントなの?と思ってしまうくらい一癖も二癖もある輩が次々現れては、「ありえそうな話」をしていく。
またその追跡劇の間に間に、この美術館を建てたイザベラ・スチュワート・ガードナー(1840−1924)が如何にして海外から作品を集めてきたのかが、当時のモノクロ映像を交え、買い付けの手伝いをした伝説的美術鑑定家バーナード・ベレンソンとの往復書簡を朗読する形で語られる。
17世紀のオランダ美術が20世紀のアメリカに渡り、21世紀の世界の何処かに存在する。それはもしかしたら日本かもしれない。2005年に死去したハロルド探偵の遺志を継いであなたも絵の行方を捜してみては。報奨金500万ドル(約5億円)ですよ!
あ、銭形警部だ。
「待てルパーン!」
「あばよ、とっつぁん」
文=ハル吉
『消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス』
9月27日よりアップリンクXにてロードショー!
監督・撮影=レベッカ・ドレイファスマ
脚本:シャロン・ガスキン
キャスト
ハロルド・スミス
グレッグ・スミス
配給=アップリンク
2005|アメリカ|video|83分|1:1.33|カラー|ステレオ|
関連リンク
映画『消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス』公式サイト
映画『消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス』海外公式サイト
レベッカ・ドレイファス監督インタビュー(英語)
イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館(1896着工、1903年完成)
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DJハル吉 7"インチ専門DJ。得意なジャンル:童謡とノイズ。その他インディーズ翻訳家兼作曲家。曲を演奏してくれるオーケストラ募集中。鳥の唐揚げが大好き、あとラム肉。座右の銘「猫は野良に限る」。 DJハル吉サイト=「峠の地蔵」毎週月曜更新 |