紛争ですべてを失ったウガンダの子どもたちに、
希望を与えたのは音楽と踊りだった。
(c) 2006 Shine Global, Inc. All rights reserved.
『ウォー・ダンス / 響け僕らの鼓動』
監督=ショーン・ファイン&アンドレア・ニックス・ファイン
反政府武装組織の襲撃で両親を殺され、少年兵として戦いを強いられる等、心に大きな傷を負った少年少女たち。そんな彼らを救ったのは歌と踊りと音楽だった。ウガンダの全国音楽大会に初出場を決め、上位入賞を目指し、ひたむきに頑張る子どもたちの軌跡を追った感動のドキュメンタリー。
2008年11月1日(土)より東京都写真美術館、アップリンク他全国順次ロードショー
希望を与えたのは音楽と踊りだった。
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『ウォー・ダンス / 響け僕らの鼓動』
監督=ショーン・ファイン&アンドレア・ニックス・ファイン
反政府武装組織の襲撃で両親を殺され、少年兵として戦いを強いられる等、心に大きな傷を負った少年少女たち。そんな彼らを救ったのは歌と踊りと音楽だった。ウガンダの全国音楽大会に初出場を決め、上位入賞を目指し、ひたむきに頑張る子どもたちの軌跡を追った感動のドキュメンタリー。
2008年11月1日(土)より東京都写真美術館、アップリンク他全国順次ロードショー
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中盤から涙が止まらず、ホルマリン漬けの胎児のような顔で試写室から出た。無知な自分への憤りと、「なぜこんなにむごい?」「でもなぜこんなに強い?」という疑問が頭の中をグルグルと駆け巡り、思考回路がショートしたのだろう。帰宅して数時間寝込んだ。
世界の各地で未だ紛争中の地域があることは、新聞やテレビのニュースで多くの人が知っている。しかし、誰にどんな影響があるのか、そして紛争を逃れた人々の生活はどうなっているのかを具体的に知る機会は非常に少ない。ドキュメンタリーもほとんどが「紛争ですべてを奪われた文明化されていない人たち」というトーンで、あくまでも先進国側の目線から「かわいそう」としか思えないものばかりだ。
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『ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動』の舞台はアフリカの東部にあるウガンダ共和国のパドンゴ難民キャンプ。住み慣れた家を焼かれ、家族を失い、筆舌に尽くしがたい経験をしたドミニク、ローズ、ナンシーという名の3人の子どもたちが、部族固有の伝統舞踊や歌に取り組むことで、生きる喜びや意欲を取り戻していく様子を追う。作品全体を通して見ても前述した偽善者的態度は微塵もなく、取材する側とされる側との目線がストイックなまでに一致している。その証拠に、登場する子どもたちはカメラの前で誰にも言えなかった人を殺めた過去や、時には神を呪う言葉すら口にする。お恥ずかしい話だが、私はこれらのシーンを見ておそらく初めて、「かわいそうな難民」とひとくくりにされてきた彼らにも自分と同じように名前があり、個性があり、尊厳があることを実感できたように思う。
3人の子どもへの密着を横糸に、物語はクライマックスの全国音楽大会へと進んでいく。ウガンダ中の20,000を超す小学校が出場を熱望するこの大会に、紛争地域のキャンプ内にある学校としては初めて彼らパドンゴ小学校が出場することになったからだ。首都カンパラから2人の音楽家が呼ばれ、伝統舞踊、聖火合唱、器楽に特に重点を置いた猛特訓が始まる。「音楽の中にいるときだけはすべてを忘れられる」と口を揃える子供たち。制服も衣装も楽器も強豪校とは比べ物にならないくらい粗末だけれど、全身全霊で披露する技能はまぎれもなくアーティストのものだ。パドンゴ小学校はいったいどんな結果を残すのだろう? そして3人はこれからどんな道を歩んでいくのか? ぜひ映画館に足を運び、その目で確認してもらいたい。
紛争や難民問題に対して、何かアクションを起こしてみたい人、無知を恥ずかしいと思っている人にはぜひ見てほしいと思う。うさんくさい輪っかを腕にはめるより、どこに流れるか分からない募金をするよりも、クリアに現状やすべきことが見えてくるはずだ。
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文=仲間カリ
『ウォー・ダンス / 響け僕らの鼓動』
2008年11月1日(土)より東京都写真美術館、アップリンク他全国順次ロードショー
2007年 サンダンス映画祭 ドキュメンタリー部門監督賞受賞
2007年 第80回 アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート
監督=ショーン・ファイン&アンドレア・ニックス・ファイン
プロデューサー=アルビー・ヘクト
製作総指揮=スーザン・マックローリー
音楽監修=ジョージ・アコグニー
音楽=アッシュ・アンド・スペンサー
撮影=ショーン・ファイン
キャスト
ドミニク、ローズ、ナンシー
配給=IMAGICA TV 宣伝=アップリンク
2007年|アメリカ|カラー|107分|英語、スワヒリ語|ドルビーサラウンド
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『ウォー・ダンス / 響け僕らの鼓動』公式サイト
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仲間カリ 昼間は教育・健康・実用・ビジネス・広告系媒体の、夜はエロ・サブカル系の記事作成に勤しむフリーライター。早川舞率いる女王様バンド「SEXLESS」ではギターを担当。 we are SEXLESS!! |