special issue for Golden Week in 2011.
2011ゴールデンウィーク特別企画
戦後の焼け跡を生きたWEBスナイパーの著者たちが、かつてと現在をクロスオーバーさせて自分の今を見詰める特別寄稿シリーズ。他者や周囲の状況から人や物事を語るのではなく、個人の立ち位置から発せられる言葉によって結果として状況を批評する、エロティシズムのクリエイターならではの直裁なメッセージとは……。個、それぞれの中から立ち上がり、放出される「生きる力=エロス」をテーマにした臨時コラム。第1弾は連載「芳野流人生相談 10代からの飲酒案内」でおなじみの作家・芳野眉美さんです。
昭和20年3月10日の東京大空襲(これはアメリカの軍による人災)にあったのは小学6年、焼け跡……中世の闇にもどってしまった。
小学校の卒業証書をいただいたのは、それから43年後の昭和63年3月25日でした。
中学に入っても、食い物がなくて、6月から長期休暇、誰もたすけてくれないし、勝手に生きろ……の時代、焼け跡に畠(はたけ)をつくった。肥料は人糞、たくさんある。
古道具屋で、イビツなバスケットボールを見つけ、バスケット部をつくった。なんたってイビツだから、投げるとどこへ飛んでいくやらわからない。
8月15日終戦、この夏は暑かった。広島長崎の原爆の放射能が、どれだけ大気中にあるのかも知らずに、イビツなボールを追って、焼けつく校庭をかけまわったハダシの足の裏は、ヤケドで皮がむけ血が滲んでいた。腹がへッて水ばかり飲んでいたのに、それは楽しかった。それが、生きている実感だったのでしょう。
その頃、広島で原爆にあった兄が帰還した。それでも、この兄は90歳まで生きました。
海あり、陸あり、酸素を含む大気ありで、しかも今でもプレートが動いているのが地球という星でして、その動くプレートの上にあらゆる生物が生きている。
プレートが動くたびに、地震あり、津波ありで、どれだけ生物が被害を受けてきたかわからないが、これが地球の活動、生き方なのだから仕方がない。
地球から見れば、人間のいう「天災」というのはありえなない。すべて自然なのである。
「がんばって下さい」
最近、耳にタコができるほど、アチラコチラでおっしゃっています。
これ「禁句」だと思います。相手によっては、こんな失礼な言葉はない。
がんばっていない人なんていないんです。
「一生懸命がんばっているのに、これ以上、どうがんばればいいのですか」
内心怒っている人のほうが多いのではありませんか。皆さんだまっていますけど。
みんなが言っているから、言っているだけ。
さて――
生まれて死ぬまでの一生は、その人の「作品」だと思います。世間の物差し、うその美徳を無視して、自分だけの「作品」を完成することは、いつの世でもかわりありません。
「なるようになる、心配するな」
というのが一休さんの遺言状だそうで、私は大好きデス。水の流れのごとく、自然に生きればよろしい。
人間は人工ではありません。自然です。
文=芳野眉美
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