Photo series by Shirao Ray;turtle shell tombs
連載 写真シリーズ「カミヌクー」
沖縄県に多く見られる墓の形式のひとつ「亀甲墓」。「カミヌクーバカ」とも呼ばれる巨大なそれは、形状から「亀の甲」を意味するだけでなく、母の体を表わしてもいた。――人は生まれ、どこへ還るのか。フォトグラファー・白汚零の写真シリーズ連載全5回、月に一度の更新です。
与那国島は祖内地区に広大な亀甲墓の墓地がある。通常、亀甲墓は海の方向を向いて建てられることが多いのだが、ここでは海向き、道路向きなどばらばらだ。その真ん中に立ってぐるりと見渡すと360 度亀甲墓に囲まれ、実に圧巻 だ。また、断崖ぎりぎりに立つ墓もあり、波しぶきをあびている。潮に削られた表面のテクスチャーは美しい。墓のデザインも個性的なものが多い。大きく口を開けたようなもの、階段ピラミッドのようなもの、顔がのっぺりとしたものなどだ。そののっぺり顔のお墓、納骨口が少し開いていた。沖縄では、夜になるとおばけが墓の外に出かけるという言い伝えがある。ちょうど日が沈んだ頃で、霊魂がお出かけしていたのか。
著者既刊写真集