「今、描いているものは学生時代（武蔵野美術大学）から好きで描いてたものの延長といえなくもないわね」

ファッショナブルな装いで待ち合わせの喫茶店にあらわれた北原史香（きたはらふみか）嬢は開口一番、こう切り出した。

もともとデザインを専攻していたようなのだが、「就職するのがイヤだった」らしくて、卒業後も定職なし？

「同級生には、やはりデザイナーになったりした人が多いようね。ええ、デザイン会社とかに入ったりして……。でも私の就職するのがイヤだったという意味は、いろんな拘束をうけるのがイヤだったって事なの」

さてＳＭ誌にイラストを描いている女性は数少ない。それだけに大変貴重な存在でもある北原嬢なのだが、抵抗感はなかったのか。

「学生の時から本屋さんでこの手の雑誌は随分立ち読みしたわね。もちろん好きだったから。それに描いていたものの多くはエロチックなもの。そういうわけで抵抗は全くなかったわ」

紹介するのが遅くなったが、彼女のイラストは本誌目次裏に毎号描かれているので御存知の向きも多かろう。病的にも思える痩身の少年少女が登場、太目と自他ともに認めるインタビュアーにとってみれば、なんとも気になるところ。

「変な話なんだけど、私って骨を感じさせるような無駄のない身体が好きなのよ！　それが何か言葉ではうまくいえないんだけど、ドキッとするようなＳＭ的魅力を暗示してくれる気がするわけ。つまり、普段見えない骨まで晒してしまうんだというような・・・・・・」

それはともかく「人間つきつめればＳかＭのどちらか」といいきり、「女性の場合は肉体的にはＭだけど、性格的にはＳの人が多いのでは」という確固たるＳＭ観を持つ北原嬢。長野県は飯田市の生まれである。