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日本の血塗られた歴史のなかで行なわれてきた拷問――その戦慄のシーンを若松孝二監督が生々しく描き、オムニバス形式でまとめた新東宝のピンク映画。調べていくと、その初期に拷問映画ブームというものがあったことがわかります。1964年の『日本拷問刑罰史』(新東宝 監督:小森白)の大ヒットをきっかけに、拷問をテーマにした作品が次々と作られたとか。
『日本拷問刑罰史』は、蛇責め、木馬責め、股裂き、叩き責め、石抱き、磔など、江戸時代の拷問を執拗に描いた作品です。当時は規制が厳しく成人指定のピンク映画でも乳首を見せられなかったそうなんですが、こういう残虐表現はOKだったというのが面白いですね。
そんなわけでこの『日本拷問刑罰史』に興味を持ったのですが、さすがに1964年の作品ということで映像ソフト化もされていません。ネットで調べてみると、SMマニアの人たちが『日本拷問刑罰史』のフィルムが東京国立近代美術館フィルムセンターに保管されていることを突き止めて、上映会が出来ないかと働きかけたのですが、フィルムの保存状態が悪く断念したとか。
拷問映画自体は、70年代まで作られていて、以前に名画座で見たことのある『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年 東映 監督:石井輝男)なんかも、この系譜に連なる作品だったようです。あれはメチャクチャなパワーがあって面白い作品でした。ラストは女性が股裂きの刑で真っ二つだったし!
他にも今、見ることが出来る拷問映画はないかなと探していたら、DUGAで新東宝の拷問映画が数タイトル配信されているじゃないですか。山本晋也監督で谷ナオミ出演という『残虐女刑史』(1976年 新東宝)にも惹かれましたが、とりあえず若松孝二監督の『拷問百年史』(1975年 新東宝)にしました。ピンク映画の歴史を調べていくと、やっぱり若松孝二は外せない、という気になるのです。
江戸時代から昭和の戦時中に至る拷問を描いたオムニバス形式の作品です。
開幕していきなりこんなナレーション。「歴史の底にひそむ影の暗殺者たちは強い者の背後に弱い者、民衆を常に虐げ、反抗するものを圧殺してきた。この映画は歴史の暗黒から暗黒へ引き継がれ流れ続ける拷問の物語である」
まずは江戸時代。男に追いかけられ、川辺で犯される町娘。彼女は実は隠れ切支丹だったのです。そして洞窟の中の秘密教会に男たちは乗り込み、隠れ切支丹たちを捕らえます。全裸にされて、十字架に拘束される女信者たち。蝋燭の炎で股間を隠すアングルが、安易なモザイク修正に慣れた目には新鮮です。
男たちは女信者に蝋燭の炎をかざして責めます。実際に炎で炙るシーンどころか、蝋を垂らすシーンもなく、磔したまま犯すだけでこのエピソードは終わり。あれ、拷問はどうしたの?と、ちょっと拍子抜け。
時代は変わって、明治時代。主人を殺した濡れ衣を被せられた妾が取り調べを受けます。両手吊りや両手両足を束ねた狸吊りで、妾はビシビシと棒で打たれます。ここでは石抱きも登場。普通の石抱きは、算盤板(三角形の木を並べた台)の上に正座させて膝の上に石版を載せていくのですが、ここでは算盤板の上に仰向けに寝かせ、腰の上に石版を載せるという変わった方法。三角形の木が足じゃなくて、お尻に食い込むわけですね。どっちが痛いんだろう。お尻のほうが肉があるから、少しは楽なんでしょうか。
「拷問は権力者が権力を温存するために必要とする。そしてその拷問の中で弄ばれた人間は権力者にとって一個の物体にすぎない」
なんてナレーションがかぶって、このエピソードも終わり。
続いて昭和。特高が社会主義者の女を拷問するというエピソードです。まずは両手吊り。完全に足が地面から離れているので、これはかなりハードですね。
憲兵が「転向しろ! 転向しろ!」と責め立てますが女は「女にも自分で考える権利はあります!」と強気な態度。それでは、と憲兵が連れて来たのは、その女の娘。なんか、あんまり年が違わない感じがしなくもないですが、その辺はご愛嬌。
娘の目の前で、三角木馬に載せられて電気責めです。しかし、本当の拷問はこの後だったのです。なんと憲兵は娘を同じ拷問にかけたのです。苦痛に泣き叫ぶ娘を目の前に、何も出来ない母親。
「おふくろを恨むんだな」と憲兵。ある意味で、本作の中で一番残酷な拷問です。
結局、娘は責め殺され、母親も舌を噛んで死ぬという救いのない結末となります。
最後の舞台は、戦時中の中国。抗日パルチザンのアジトを襲撃した日本兵。男は殺され、女たちは裸にされます。
地面に打ち込んだ杭に手足をつなぎ、尻を高く上げたポーズにさせた女を三人並べて、一斉に犯す日本兵。そして犯しながら色々叫んでるんですが、ちょっとヤバイのか急に音量が小さくなります(笑)。これはオリジナルでもそうなのかな?
犯し終わってからは「貴様らは虫けらだ、人間じゃない」「この地上から消えてなくなれ」と全員撃ち殺してしまいます。
ああ、なんという後味の悪さでしょうか。
そしてエンディングは学生運動を制圧する機動隊、工場、公害病などの写真が映し出され、
「日本は戦争に破れ、しかし歴史の暗黒は生き残った。そして拷問は今もなお、闇の中から獲物を狙っている」
というナレーション。
つまり現代の我々も、また権力者によって圧殺されているのだ、というメッセージの映画だったのです。
正直なところ、そのメッセージのために拷問を描いたのか、拷問を描くためにメッセージで正当化しようとしたのか、その辺は判断が難しいのですが、1975年という時代の空気は伝わってきますね。そしてエロのジャンルでこういう表現が許されたのが、この時代のピンク映画だったのです。
はっきり言って、拷問の凄惨さを期待するとがっかりします。今のAVのほうがよっぽどハードなことをガチでやっています。
ですが、その背景にあるストーリーや女優の泣き叫ぶ演技により、責めの重圧感はグッと増しているんですね。この後味の悪い感じは、今のAVでは味わえないものです。
ああ、ピンク映画はあくまでも「映画」なんだな、と再認識しました。
文=安田理央
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『拷問百年史(新東宝』
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