web sniper's special AV review. WEB スナイパーAVレビュー 『性欲解放 伊藤あずさ(実録出版)』 文=安田理央 二部構成でお贈りする「性欲解放シリーズ」第一弾。前半はラブホテルで伊藤あずさを酒に酔わせ、淫乱な本性を徐々にむき出しにしていく実録淫乱セックスを収録。後半パートでは、黒い下着を身につけた伊藤あずさが激エロ痴女に変貌していく。女の奥底に潜んだ性欲を解放したセックスドキュメントの傑作! |
現在の日本のAV女優は、とんでもないレベルに成長しているのではないか、と「性欲解放 伊藤あずさ」を見ながら考えた。
かつて洋ピンの女優を見て、外人の女は獣のようなセックスをするなぁと思ったものだが、今の日本のAV女優は、獣を超えてバケモノのような領域に達しているのではないだろうか。バケモノというと言葉が悪いか。男の妄想の中にだけいる架空の存在といった方がいいかもしれない。
快楽を貪るようなダイナミックなセックスを見せる洋ピン女優と違って、清楚さを求められたのが黎明期の日本のAV女優だった。脱ぎそうもない清楚な女の子がセックスを見せる。それが当時のAV女優にユーザーが求めたものだった。だから、疑似本番はもちろんフェラもしなかった。フェラがあるだけでハードだと言われる時代だった。
80年代終盤に淫乱女優のブームが起こった。豊丸を筆頭に多くの淫乱女優が登場した。彼女たちは獣のように大胆なセックスを見せた。白目を剥くほど感じ、絶叫し、ペニスを貪る。洋ピンタイプのAV女優が日本にも登場したのだ。
しかし淫乱ブームはわずか1〜2年で終息した。洋ピンタイプの淫乱女というのは、やはり日本人の感覚にはそぐわないところがあったのだろう。ブームの渦中も、どちらといえば怖い物見たさのキワモノという扱いの方が多かった。
その後は、美女・美少女がそれなりに激しいセックスを見せるというレベルが主流となる。セックスをポジティブに楽しんでいるという感じの子が人気を得た。
痴女という概念が生まれるのは90年代初頭。きっかけは南智子のAV出演だろう。性感マッサージという新しい風俗からやってきた南智子の存在はそれまでの淫乱女優とは、全く違っていた。南智子は男が感じる姿を見ることで、自分も快楽を得るというタイプ。それはそれまで男特有だと思われていたメンタリティだった。SMの女王様のエッセンスを全面に押し出して、男を快楽の世界へと導く「攻める女」。それは自らが快楽を貪ろうとする淫乱女優とは、むしろ対極にあるものだった。
そして、南智子に代表されるこうした性感マッサージ嬢のプレイに衝撃を受けたゴールドマン監督が「私は痴女」などのシリーズを撮り出す。女性が卑猥な言葉を連発する「淫語」も彼が元祖的な存在だ。
ゴールドマンはエロ漫画からイマジネーションを膨らますことが多かったという。エロ漫画は男の勝手な妄想を具現化したものがほとんどだ。つまり南智子的な「男を気持ちよくさせることで快感を得る女」と、エロ漫画の妄想の中の女が結実したのが、ゴールドマンの産んだ「痴女」である。
そして、それを更にブラッシュアップしたのが、本作の監督である二村ヒトシだ。二村の描く「痴女」は、実は二村自身だ。自分が女だったら、こんな風に男である自分を責めたい、そんな願望を女優にそのまま演じさせているのだ。
唾液まみれのキスをし、男の乳首を舐め、自ら男に跨り腰を振る。そんな二村の妄想に賛同するユーザーは多かった。
2000年代に入ると、あっという間に二村が産み出した「痴女」像はAV界を席巻した。二村の妄想の中の「都合のいい女」を、あらゆるAV女優が演じ始めたのだ。
「性欲解放 伊藤あずさ」は二部構成となっていて、前半は伊藤あずさと二村のプライベート風ハメ撮り、そして後半は伊藤あずさがひたすら男優を責め立てる痴女物だ。
整った顔立ちの伊藤あずさは美少女である。あどけなく可愛らしい。しかし、いざセックスとなると、いやらしい言葉を連発し、男の乳首を責めまくる。喜々としてして男を感じさせようとする。
唾液をしたたらせてのキス、派手な音を立ててのフェラ、アクロバティックな体位で、接合部を見せつけながら騎乗位で腰を振り「チ○ポ美味しい」「でっかくて長いチ○ポ」と淫語を連発する。ハメながら男の足の指を舐めるという技まで繰り出す。
こんなに可愛らしい女の子が、こんなことをするなど、海外のポルノでは考えられるだろうか?
しかも、伊藤あずさは特殊な例ではない。こんな凄まじいセックスを見せる女優が他にもたくさんいるのだ、今のAV業界には。
男の妄想を忠実に具現化してきた日本のAV。そしてそのAVを見て育った男女が、セックスとはこういうものだと擦り込まれていく。かつては一部の変態のすることだと思われていたフェラチオは、とっくに一般化し、最近では素人女性が男の乳首やアナルを舐めることも珍しくなくなってきている。「性欲解放」で見られるようなセックスが普通になってしまう、そんな日も遠くないのかもしれない。それがいいことなのか、悪いことなのかは、わからないのだが。
文=安田理央
『性欲解放 伊藤あずさ(実録出版)』
発売:2009/1/31
出演:伊藤あずさ
監督:二村ヒトシ
収録時間:DVD 145分
価格:2,940円(税込)
品番:KNX-01
メーカー:実録出版
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安田理央 1967年生まれ。エロ系ライター、アダルトメディア研究家、パンク歌手、ほか色々。主な著作に「エロの敵」「日本縦断フーゾクの旅」「デジハメ娘。」など。趣味は物産展めぐり。でも旅行は苦手。 |
09.02.24更新 |
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