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フェティシストが愛する名匠を訪ねて
第1回 エピキュリアン代表 矢嶋アキラ

インタビュー・文=安田理央
SMといってすぐに思い浮かぶアイテムは何でしょう。縄、鞭、蝋燭などでしょうか。また何もSMに限らなくとも、私たちの性の営みとその周辺には、実に様々なアイテムが溢れていますよね。そうしたモノとそれを作る職人たちにスポットを当て、普段顧みられることのない彼らの素顔と職人の技に迫る連載第1回。まずはオリジナルの拘束具やSMグッズで有名な「エピキュリアン」のアトリエにお邪魔しました!

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ラバーの質感に惹かれた。
こんな世界があったのかって。


オリジナルのSMグッズを販売するエピキュリアンの名前は、SMに興味がある者なら誰でも一度は聞いたことがあるだろう。その独特なデザインのラバー製拘束具は、多くのSMビデオやSMグラビアでも使用され、最近では神谷ひとみ主演の「SM魔女狩り審問会」などのオリジナルDVDのメーカーとしても知られている。

そのエピキュリアンのグッズを製作している工房にお邪魔させてもらった。下町・亀戸の閑静な住宅街の一角。まさかここでSMグッズが作られているとは、誰も思わないだろう。



アトリエでインタビュー中。代表の矢嶋氏。

ギャグボールに使われるカラーボール。

ゴムの三つ編みも手作業。鼻フック等に使用。

完成した商品が在庫に。ほぼ受注生産だ。

工房には、ラバーをはじめ、多くの金具がきちんと整理されて並んでいる。そして無骨な工作器具。この現場を見ても、なかなかSMグッズのイメージとは結びつかない。いわゆる性的な物を連想させるものは、ほとんどない。かろうじて工房の隅のガラスケースの中に並べられた完成した商品が、SMショップのショーケースに似ているくらいだ。

「まぁ、地味なもんですよ。こうやってコツコツとラバーを切ったり金具をはめたりしているだけですから」

エピキュリアン代表の矢嶋氏はそう言って笑った。

切り出されたゴムシート。作業効率化のため。 鼻フックとアナルプラグ。完成して発送直前。 商品に使われる金具が整然と並んでびっしり。 作業中。オリジナル商品は全て手作り。

矢嶋氏が、SMグッズを作り始めたのは意外に最近のことだという。2000年頃の話だ。インターネットの通販で、拘束スティックを購入した。棒の左右に手枷足枷が付いていて、どこでも手足を拘束できるというものだ。ところが届いたものは矢嶋氏の期待を大きく裏切るものだった。

「なんか物干し竿みたいな棒を切断したものに、ちゃちな金具がついててね。結構いい値段したのに、こんなショボイ作りってのはひどいとがっかりしてね。腹が立ったんだけど、これなら自分でも作れるんじゃないかって気持ちになった」


矢嶋氏にグッズ製作の心得があったわけではない。それまでも証券会社や輸入会社など、工作とは全く無縁の仕事を行なっていた。しかし、送られてきた拘束スティックを見ると、ホームセンターで買ってきた素材を組み合わせるだけでも作れそうな気がしたのだ。

矢嶋氏は、さっそく後にエピキュリアンの第一号商品となる拘束スティックの制作に取りかかった。購入したスティックは、持ち歩く時に棒の長さが不便だった。バックには入らないし、棒を剥き出しで持ち歩くのにも抵抗がある。そこで、矢嶋氏は棒の部分を3分割できるようにした。3つのパーツをねじ込み式でつないで使えるようにしたのだ。棒の部分だけでは使えない。矢嶋氏はさらに手枷や足枷も作ってみた。

「その頃、作る参考にしようと思って、色々調べているうちにドイツのマーキース社のラバー系ビデオにたどり着いて、観たら度肝を抜かれた。こんな世界があったのかって。そのラバーの質感に惹かれましたね」

完成した拘束スティックは、使い勝手もよく満足のいくものだった。自分でプレイに使っているうちに、矢嶋氏は思いつく。これを売ったらどうだろう、と。自分が購入した、あのちゃちな拘束スティックが商品として流通しているのだったら、これが売れないわけがない。他のSMグッズの通販サイトを見ても、似たようなものを売っているばかり。これなら俺の方がいいものが作れるはずだ。

そう思いついた矢嶋氏はホームページを作り、通販を始めた。予想通りに、パラパラと注文が舞い込んできた。

「ちょうどその時、やっていた仕事の景気があまりよくなくてね、まぁ、お小遣い稼ぎ程度の気持ちで始めたんですよ。まさかこれで食べていくことができるとは思わなかった」

しかし、矢嶋氏が「エピキュリアン」と名付けた、このオリジナルSMグッズの通販サイトは順調に成長していった。

尻尾付きアナルプラグは試作品とのこと。こうした試作品は時折作られるそうで、商品使用例の写真を撮影する暇がなく、実は困っているそうです。 こちらも試作品のスチール製の手・足・首枷。 専用の鍵付き。なくすと大変なことになりそう。

ターニングポイントとなったのは、オリジナルDVDの制作だった。きっかけは鼻責めモノで知られるAV監督の東雲勇太氏が、エピキュリアンのグッズを愛用していたことに始まる。グッズを購入しに、エピキュリアンに訪れた東雲監督にインディーズビデオの世界の話を聞いた矢嶋氏は、自分も制作してみたいとの思いに駆られた。

東雲監督に制作を依頼し、オリジナルDVD第一弾「プレイノーズBar」が完成したのは2003 年。この作品は数々のSM雑誌、マニア誌で取りあげられ、作中に登場するエピキュリアンオリジナルのSMグッズが注目を集めた。この作品自体が、エピキュリアンのグッズの宣伝となったわけである。更に作品のシーンをサイトの商品のページに掲載することで、実際に商品を使った時のイメージも伝わりやすい。正に一石二鳥、三鳥もの効果があった。

エピキュリアンは、以降も「鼻吊り隊渋谷を行く」「ボンデージチャンネル」「口枷パラノイア」「SM捕虜収容所」、そして最新作である「SM魔女狩り審問会」など、1年に2本ペースでオリジナルDVDをリリースしていった。もちろんどの作品でも、エピキュリアンのオリジナルSMグッズがふんだんに使用されている。

またテレビドラマ「エコエコアザラク」でホワイトヘッド開口器が使用されたり、CBC放送「ノブナガ」に矢嶋氏がさるぐつわ職人として電話出演、その他にも多くの雑誌などで取り上げられるようになった。

(続く)

関連リンク

取材協力=SMグッズのエピキュリアン


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安田理央の恥ずかしいblog
http://d.hatena.ne.jp/rioysd/

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安田理央 気がつけば、今年で40代を迎えるエロ系ライター。今年はボーッとしてると大変ヤバイことになってしまいそうなので、色々と新しい行動を起こすぞと考えたり考えなかったりしております。「エロの敵」に続くアダルトメディアルポも構想中。  

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07.06.09更新 | WEBスナイパー  >  フェティシストが愛する名匠を訪ねて