有末剛といえば『花と蛇』、読者の皆様にはそんな印象があるかもしれない。だがそのキャリアは30年以上に及び、また近年は様々な分野のアーティストたちとのコラボレートでも名高い。決して斯界にこだわらず活動の幅を広げる有末剛、その緊縛師としてのスタイルとは。 |
名の知られた緊縛師のもとには、多くの女性が集まる。
そしてそれゆえの苦労も存在するという。
有:色んな奴がくるからさ。蛇の道は蛇だよね。いやホントにね、そういう人と関わるってことはさ、生死をかけた戦いだから。いや冗談じゃなくね(笑)。やっぱ死んでもいいって奴もくるんだよ。でもそれを何とか生きていきましょうって方向に持ってかなきゃならない。俺、別にカウンセラーじゃないけどさ、精神病理的なこともわかってないとまともな相手はできないよね。
――極端なM女さんと向かい合うためには、緊縛の技術以外にそうした知識も必要であると。
有:そうそう。ちょうど明日新しい向精神薬を開発した人に会って話を聞くんだけど。でもさ、例えば医者はある程度何百人とか診るわけでしょ、そういう人たちを。そこでいちいちシンパシー感じてたらね、医者が自殺しちゃうよ。そこを自分なりに納得するようなところまでいかないと。死ぬ奴は死ぬんだっていう、そのレベルまではなかなかいかない。
――そこまで割り切れる人は少ないと思います。
有:でもね、みんな色んな形で繰り返すんだよ。だいたい同じように月の満ち欠けで女の子は変調するから。月が欠けてきて、新月になってくると同じような「死にたい」ってメールが何十件とか届くの。そういう自然現象を気にしたりとかさ。月齢カレンダーを買ってみたりとかさ(笑)。彼女たちは欠けてる部分を埋め合わせようと必死なんだ。そういう意味じゃ、あらゆる病気は表現なんだよ。SとかMの人はSMっていう表現をしてるわけだ、私を縛ってよっていう。リストカットのお姉ちゃんなんて全然死ぬ気ないわけじゃん。ただSMってものが受け皿になってる。死ぬことの代償行為としてのSMがあるわけよ。
(続く)
インタビュー=編集部・五十嵐彰
※この記事はS&Mスナイパー2006年1月号に掲載された記事の再掲です。
有末剛 プロフィール=1954年生まれ、70年代よりSM誌全般で緊縛師として活躍。にっかつロマンポルノやVシネマ、アダルトビデオの世界でもその才を発揮。特に最近では杉本彩主演の映画『花と蛇』での調教師・鬼源役など幅広く活動する、斯界でも稀な緊縛師である。
関連リンク
有末剛公式サイト・有末流一門会=http://www.arisue-go.com/
関連情報
緊縛教室・有末剛の夜の学校
開催日:原則 毎週土曜日 20時〜23時
会場:都内某所
参加費 男性:10000円 女性:5000円
※授業は全て基礎から、マンツーマンです。縛られたい女性用に、コスプレの貸し出し始めました。麻縄はお貸しいたしますので、初心者の方でも大丈夫です。受講希望の方は、こちらarisuego@gmail.comまで。なお完全予約制となります。 少人数制で行なっているため、その日の定員に達した場合、締め切らせて頂く場合があることをあらかじめご了承ください。