有末剛といえば『花と蛇』、読者の皆様にはそんな印象があるかもしれない。だがそのキャリアは30年以上に及び、また近年は様々な分野のアーティストたちとのコラボレートでも名高い。決して斯界にこだわらず活動の幅を広げる有末剛、その緊縛師としてのスタイルとは。 |
緊縛師に必要なものは縄だけにあらず。
女性の想いを受け止めるだけの胆力を持たねばならない――。
――そして今では舞台もやられていて。でもそれまでのキャリアと比べれば、ごく最近のことなんですよね。
有:一番最初にやったのは若松劇場。五年くらい前かな。(早乙女)宏美ちゃんが、長田(英吉)さんがちょっと調子悪いから出てくれないかな、って話をもらって。だから宏美とやって、それから卯月(妙子)とやって。従来の緊縛師さんってわりかし自分のM女さんとかをショーで使うよね。そのほうがやりやすいのかもしれないけど、でも広がりがないじゃない。色んな形で色んな人たちと組んでやるのが好きなのね。
――それが有末さんのスタイルと言っていいのでしょうか?
有:俺はどっちかっていうと受け的なものが多くて、相手にやりたいことをやらせてそこに乗っかってくっていうのがある。
――そのニュアンスって難しいですね。
有:だから自分の中だけだと、やりたいことだけで終わっちゃうでしょ。結構狭い考え方になるじゃない。でもやっぱりそうじゃないわけで、女の子の引き出しを出していってあげれば、いろんなもの出てくるじゃない。そういうやり方のほうが面白いんだよね。
――グラビアでも舞台でも一緒なのでしょうか。
有:そうだね。でも従来のM女さんていうよりも、むしろ一般の人の引き出しを出してあげる機会の方が多いんだよね。
――モデルさんではなく一般の人を縛る機会がそんなにあるんですか。
有:ある。それはあるよ。むしろ僕はマニアさん受け付けないから(笑)。マニアさんってやっぱり偏狭のなかにあるんで。そのなかでも極端なところにいるんだよね。それってさ、調教師がコレはコレだって言ってやりたいことやってるのと変わらないんだよ。同じ意味で、彼女たちはコレをやってほしいっていうかたちで投げてくる。凄く強烈なものをね。そうなってくると、僕は自分を防御しないといけないでしょ。そうした相当なものを受けるためには緊縛よりも胆力とかを持ってないと。むしろそっちのほうが大事。そう思うけどね。緊縛は別にほら、技術だからさ。当然プロだったらある程度できるのは当たり前。同じように、緊縛師がみんな違うのも当たり前だし、どれがいいとか悪いとかじゃない。で、俺は引き出しを出してやるタイプなわけ。だから俺のスタイルは受け(笑)。
(続く)
インタビュー=編集部・五十嵐彰
※この記事はS&Mスナイパー2006年1月号に掲載された記事の再掲です。
有末剛 プロフィール=1954年生まれ、70年代よりSM誌全般で緊縛師として活躍。にっかつロマンポルノやVシネマ、アダルトビデオの世界でもその才を発揮。特に最近では杉本彩主演の映画『花と蛇』での調教師・鬼源役など幅広く活動する、斯界でも稀な緊縛師である。
関連リンク
有末剛公式サイト・有末流一門会=http://www.arisue-go.com/
関連情報
緊縛教室・有末剛の夜の学校
開催日:原則 毎週土曜日 20時〜23時
会場:都内某所
参加費 男性:10000円 女性:5000円
※授業は全て基礎から、マンツーマンです。縛られたい女性用に、コスプレの貸し出し始めました。麻縄はお貸しいたしますので、初心者の方でも大丈夫です。受講希望の方は、こちらarisuego@gmail.comまで。なお完全予約制となります。 少人数制で行なっているため、その日の定員に達した場合、締め切らせて頂く場合があることをあらかじめご了承ください。