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撮影:インベカヲリ★
(C) copyright 2007 Inbe Kawori★
The long interview of
photographer Inbe Kawori★.

強烈な表現衝動の源泉
 
写真家・インベカヲリ★
ロングインタビュー 第2回


インタビュー・文=安田理央

協力=「飛茶瓶洞 Cafe FLYING TEAPOT」


インベカヲリ★写真展『倫理社会』開催直前、作家の素顔に迫るロングインタビュー全3回。本日は第2回の掲載です。また完全撮り下ろし映像を2作品、そしてインタビュー当日の映像も併せて公開! はたしてインベカヲリ★とは何者か!? 必見の総力特集です!

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最初は写真展ありきだったんですよね
そこから撮り始めたんですよ。どんな写真展にしようかって



インベカヲリ★さんと安田理央氏。「飛茶瓶洞 Cafe FLYING TEAPOT」という共通点はあるものの、この日まで直接会うことはなかったとか。

――さて、短大を卒業して就職ですよね。
「広告代理店の面接を受けたんですが、みんな落ちちゃって。どうしようかなと思ってたら編集プロダクションの募集があって、何するんだかわからなかったんですけど応募したら、唯一受かったんですね。広告とは違うけれど、出版なら、なんとなく近いかなぐらいの感じで」
――別に雑誌に興味はなかったんだよね。
「そうなんですよ。雑誌もあんまり読まなかったですから。書くということでは、一緒かなって。その頃は、すごい量書いてましたから。それまでは日記を書く習慣ってなかったんですけど、あるときから突然書くようになって、日記は月に2冊、創作ノートは1冊くらいのペースで」
――うわ、すごいですね。それは小説を書きたいとか、そっちの方には向かなかったの?
「それは無いです。日記なんで、今日は何をして、そこから何を得たか、何を考えたか、思いついたらどんどん書いていくだけですから。朝起きたら、まず日記を書くとか、そんな感じでした」
――じゃあ、ライターになりたいと思っていたのかな?
「うーん、文章は下手だったんですよ(笑)。編集者時代にも、君はライターに向いてないってハッキリ言われてましたから」
――その編プロでは、どんな仕事をしてたんですか?
「当時は『スコラ』とか『CanDoぴあ』とかで、男性誌が多かったですね。レストランの取材からアイドルまで」
――いわゆる編プロ仕事ですね。その仕事はあまり面白くなかった?
「面白かったんですよ。入ったときは、今が人生でもっとも輝いてるって思ってましたね(笑)。今でも、その当時のことは色鮮やかに思い出せますよ。毎日何をして、どこへ行った、こんな人に会ったあ、とか。小中高の頃なんてまるっきり思い出せないのに、そこだけは輝いてて」
――本当に楽しかったんだなぁ。
「なのにクビになりましたね(笑)。というか辞めることをすすめめられた。『君はこの業界は絶対向いていない。まだ20歳だし、方向転換はきくから辞めるなら早い方がいい』って説得されて」
――ひどいのか、親切なのか。
「いつも怒鳴られてたんです。ちょっと常識に欠けるところが多かったみたいで。あまりに自己管理が出来ないから、今日は何をするのかスケジュールを書いて提出しろって言われて、赤ペンで書いたら、『赤で書くなぁっ!』って怒られたり」
――ああ、インベさんの、ダメそうな感じがわかるなぁ(笑)。
『お前が考える企画はいつも法に触れるんだよ』って言われたりして。『コアマガジンならいいだろうけど、うちは違うから』って」
――あ、なるほど。そういう感じか。でも本人は楽しくやってたわけですね。そこから追い出されちゃった。それは傷つくね。
「傷つきますよぉー。自分は社会不適応者だけど、制作系だったら何か居場所があるだろうと思っていたのに、もう絶対向いていないって断言されちゃった。だったらもっと壊れてやろうと、とりあえずビラを作って撒いていたんです」
――ん? どんなビラ?
「内容はないんです。『君も骨折をしないか』みたいなよくわかんないことを書いて、携帯電話の番号を載せて、これで電話をかけてくる人間となら仲良くなれるかなあ、とか」
――電話、かかってきましたか。
「一本もかかってきませんでした。イタ電でもいいから欲しかったんですけど」
――それすらなかった。
「なかったです」
――その活動は何かに結実したんですか?
「いえ、それで終わりってことで満足しました。江古田でそのビラを配っている時に、『ああ、そういうのならフライングティーポットだよ』って「えこだの山賊」の市川さんに言われて」
――あーっ、「えこだの山賊」の! Tシャツと雑貨の店ね。すごいローカルな会話をしてますね、僕たち(笑)
「『よくいるんだよね、君みたいなタイプ』って言われて(笑)」
――そういうタイプはとりあえずフライングティーポットへ行けと(笑)。
「で、ここ(フライングティーポット)で写真展をやらせて下さいって頼んで」
――なんでいきなり写真展なの? ビデオじゃなく、写真?
「ビデオはもう撮るのを止めてたんですね。でも、編プロで働いている時に、写真は褒められたことがあったんです。編プロだから、何でも自分でやるじゃないですか。自分で取材に行って、自分で原稿書いて、写真も自分で撮って。取材前夜に一応親にカメラの使い方を教わったんです。それで撮ったら『あ、いいじゃん』って褒められたんです。一言だけだったけど、その編プロに勤めていて唯一褒められたのが、それだけだったんですね」
――それが写真だったと。
「もう写真ぐらいしか出来ることがないんじゃないかと思って。写真って、手っ取り早いじゃないですか。他の表現方法も思いつかなかったし。だから、とにかく何かやりたかったんですね」
――その時は、お父さんへの反発も、もうなくなっていた?
「もう諦めましたね。で、写真展の日取りだけ決めて……」
――なんでいきなり写真展になるの?
「編プロ時代に、同期の編集者が、カメラマンは写真展をやって、やっと認められるみたいなことを言ってて、そうなのかなぁって。じゃあ、私は写真展からスタートするかって(笑)」
――その時は、どんな写真を撮ろうというのはあったの?
「えーっと……」
――撮りたい写真があっての写真展だったわけではない?
「最初は写真展ありきだったんですよね。そこから撮り始めたんですよ。どんな写真展にしようかって」
――締切が決まってから、みたいな。
「そうそう。でも、最初から人間を撮ることしか考えていませんでしたね。あの、心理学から入ったから」
――写真展の話をする時に、ここの店長さんに当時の作品を見せてるわけですよね。それはどんな写真だったの?
「はじめからテイストは同じですよ。モデルがいなかったから、友達にカメラを渡して、こう撮ってって頼んで、自分を撮ってもらって。衣装も小道具も持ってって作りこんだ写真ですね。その時は、まだ具体的にこれを伝えたいって言うのはなかったんですけど、ふっとわいたものを撮ってました」
――こういう写真が撮りたいというのは、ありましたか? 誰かの影響とか。
「なかったです。小説とか読まないけど、写真はもっと見ないですから(笑)。写真というよりもそのときは完全に、思い浮かんだ映像を形にしたいだけで、たまたま使うものがカメラだったってだけです」
――ドラマ的な世界を作り込んで演出するっていうスタイルだけど、どうしてこういう写真を撮ろうと思ったのかな。
「昔から、色々なことを思いつくタイプだったんですよ。例えば音楽を聴いていても、全く関係ない映像が思い浮かんじゃうんですよ。ニュースを見てても、目の前の人間の行動を見てても、まったく脈略ないことがどんどん組み合わさって頭に思い浮かんできちゃう。それが病気なのか、正常なのか、どっちなんだろうって、ずっと悩んでたんです。いつか自分は発狂するって不安があったんで、封印してたんですけど、その封印していたものを出してみたんですね」
――写真展の反響はどうでした?
「それが凄い大反響。初めてでこれをやるのは凄いよとか。こういう世界大好きとか言われて。君は絶対成功するから、進む方向だけは間違えないようにして頑張りなさいとか説得されちゃって。その気になっちゃいますよね」
――その後の活動は?
「『H』って雑誌があるんですけど、後ろのほうにに仲間募集のコーナーがあるんですよ。そこに写真のモデルしてくれる人、募集って出したんです。絶望感漂う人を撮りたいですとか。そうしたら50人以上来ましたね。その写真を自分のホームページにアップしていったら、それを見てどんどんモデル希望者が来るようになりました」
――もうそこからは基本的に写真家という感じになった?
「いや、それで稼いでない以上、素人なんで。仕事しながら『趣味です』とか言い張ってましたね。でも名刺だけはちゃっかり作ってて、そのときの肩書きは『写真か!?インベカヲリ★』でした(笑)。」
――写真という自分の表現がやっとみつかった、みたいな感じだった?
「ああ、そうですね。でも、いつかは出版業界に戻りたいと思ってたんで。でも、戻るならちゃんと自分の我が必要とされる形で戻りたいと」
――誰でもいいというわけではなく、インベカヲリ★として必要とされたいと。
「はい」

(続く)


インベカヲリ★完全撮り下ろし映像公開!
カヲリチャンネル vol.02
動物園へ行こう

kawori_channel 02.jpg
インベカヲリ★、ビデオカメラを手にして動物園へ。人ならざるものの群れを前にして、作家の視線はどこへ向かうのか。

インベカヲリ★撮り下ろし映像はこちらから>>>

Windows Media Playerの入手
WMV形式 79.7MB 5分7秒


インベカヲリ★直筆サイン入り缶バッチプレゼント!

撮り下ろし映像「動物園へ行こう」に登場した「動物缶バッチ」を3名様にプレゼント!
インベカヲリ★さん直筆サイン入りです。
「フンボルトペンギン」
「レッサーパンダ」
「プレーリードッグ」
以上の3種類を1個ずつ、 抽選で3名様にプレゼントいたします。
※缶バッチの種類は選べません。

ご希望の方は、「宛名」「送付先」を明記し、

「インベカヲリ★さんへのメッセージ」を必ず添えて、
以下のアドレスへ「インベカヲリ★プレゼント」というタイトルのメールをお送りください。
なおご応募の締め切りは11月5日(月)必着となります。

sniper.jpg

なお当選者の発表は発送をもって代えさせていただきますので、あらかじめご了承くださいませ。

ニコンサロンjuna21
インベカヲリ★写真展『倫理社会』
■東京
2007年10月30日(火)〜11月5日(月)
10:00-19:00(最終日は16:00まで)
会場:新宿ニコンサロン
(東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階 ニコンプラザ新宿内)
※11月3日(土)13:00〜14:00 ギャラリートークあり

■大阪
2008年4月3日(木)〜4月8日(火)
10:00-18:00(毎週水曜日休館)
会場:大阪ニコンサロン
(大阪市北区梅田2-5-2新サンケイビル1階 ニコンプラザ大阪内)
※グループ展につき、東京での展示と同内容で、出展数を減らしての展示となります

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インベカヲリ★ インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。

インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/



yasuda_face.jpg 安田理央 エロ系ライター、アダルトメディア研究家、パンク歌手、ほか色々。この夏、ついに四十代に突入ですよ。もう人生の折り返し地点かと思うと感慨深い。主な著作に「エロの敵」「日本縦断フーゾクの旅」「デジハメ娘。」など。趣味は物産展めぐり。でも旅行は苦手。

安田理央の恥ずかしいblog

「エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること」(翔泳社)

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07.10.28更新 | WEBスナイパー  >  インタビュー