有末剛といえば『花と蛇』、読者の皆様にはそんな印象があるかもしれない。だがそのキャリアは30年以上に及び、また近年は様々な分野のアーティストたちとのコラボレートでも名高い。決して斯界にこだわらず活動の幅を広げる有末剛、その緊縛師としてのスタイルとは。
縄に捕らわれないこと。
緊縛師であるがゆえに有末剛が選んだスタイル。
有:ぶっちゃけていうと恋愛フェチなんですよ。恋愛することが好きなの。だから緊縛以前のことなんだよね。その延長線上に緊縛があるならある、ないならない。
――あってもなくてもいいんですか?
有:必ずなくてはならないってものではない。そこが周りの人と違うとこかな。もちろん緊縛は好きなんだけど、その女の子によっては、あってもなくてもいい。相手が望めばね、もちろん縛るけど。あくまで受けの姿勢(笑)。僕の緊縛は受け身なんだよね。
――有末さんが色んな人とコラボレートするのが好きなのも、恋愛フェチが関係しているんでしょうか。
有:どちらかというと、アートが好きってのがあるよね。クオリティの高いものが好きっていう。やっぱりできるだけある程度の一流の人と組んでいきたいから。そうすると化学反応が起きて、縄も生きてくるし。人それぞれによって違うじゃん、反応は。だからできるだけいい化学反応を起こしていきたいよね。
――ではアート好きというのは……。
有:センス。人間センスがない奴はダメ(笑)。生き方も死に方もセンスだよ。緊縛とか刺青とか世界に持っていけるコンテンツがあるのに、日本のなかではね……。アートならアートって括りの中で考えればいいと思うんだけど。やっぱり一回世界に出て、どういう評価をされるのかってことを実体験して味わわないとね。もうひとつ高い山っていうか、高い波は越えられないなと。だからどっかのタイミングでヨーロッパで何かやることを考えたいよね。日本人でしかわからない肉体と縄のせめぎあいっていうかさ、そこを見せれたら、面白いなあって思うよね。すっごい違う視点からでも面白いと思うけど。ファッションショーとかでもいいじゃん。
――それでも有末さんにとって、縄はやはり特別なものなのでしょうか。
有:もちろん(笑)。縄はものすごく僕の中にあるよ。それは間違いない。縄が好きなんだけど、縄に捕らわれないこと。あらゆるものに捕われないこと。精神の自由、それが僕の緊縛師としてのスタイルだから。
次回は神浦匠が登場です。
インタビュー=編集部・五十嵐彰
※この記事はS&Mスナイパー2006年1月号に掲載された記事の再掲です。
有末剛 プロフィール=1954年生まれ、70年代よりSM誌全般で緊縛師として活躍。にっかつロマンポルノやVシネマ、アダルトビデオの世界でもその才を発揮。特に最近では杉本彩主演の映画『花と蛇』での調教師・鬼源役など幅広く活動する、斯界でも稀な緊縛師である。
関連リンク
有末剛公式サイト・有末流一門会=http://www.arisue-go.com/
関連情報
緊縛教室・有末剛の夜の学校
開催日:原則 毎週土曜日 20時〜23時
会場:都内某所
参加費 男性:10000円 女性:5000円
※授業は全て基礎から、マンツーマンです。縛られたい女性用に、コスプレの貸し出し始めました。麻縄はお貸しいたしますので、初心者の方でも大丈夫です。受講希望の方は、こちらarisuego@gmail.comまで。なお完全予約制となります。 少人数制で行なっているため、その日の定員に達した場合、締め切らせて頂く場合があることをあらかじめご了承ください。