毎週土曜日更新! The dancing girls are in full bloom at their best.
咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第4回「卯月朱美」【2】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=卯月朱美
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第4回は卯月朱美さんを紹介中!
学校はあんまり行かないですね
深夜にファミレス行ったり、カラオケボックスに行ったり
深夜にファミレス行ったり、カラオケボックスに行ったり
小学校・中学生
どんな悪さをしても、母親は何も言わない。子供の頃から「自由」であるということは、そこに自分の意志や決断も伴ってくるものだ。早熟にならざるを得ない環境で、荒んだ小学校時代を過ごし、中学生の頃にはすっかり落ち着いていた。
「クラスメイトが私に報告してくるんですよね。『俺さー、CD盗もうと思ったら、あれビーって鳴るんだよなー』とか言って。私はやんなかったけど(笑)小学校の頃『悪いことなんだよー』って注意してたくせに、中学になってやってるんですよ。あれー、ダメって言ってなかったっけー?みたいな(笑)。なに、今頃やってるの?って。皆さん遅いですよねー」
普通の子が中学生でやることを、小学生ですでに終わらせていた。しかし卯月さんの言う「落ち着いた」は、「人に迷惑をかけなくなった」というだけで、決して真面目になったわけではない。
「学校はあんまり行かないですね。深夜にファミレス行ったり、カラオケボックスに行ったり。誰かしらお金は持ってましたからね。煙草は吸ってましたよ。煙草も周りが持ってるからくれるんですよ。結局みんなアクセサリーとして持ってるだけなんで、お金がなくても手に入るんです。私はマイセンが大好きでした」
充分、不良だ。そういうと、卯月朱美は否定する。
「不良ではないんですよ。だって、例えば他の子は夜遊びするにも親の目を盗んで出てきたりとかするわけでしょ?親が怒って『帰ってこい!』ってなるわけですよね。私の家は怒られない環境なので、ただやってたというだけなんですよ」
では、卯月朱美の言う不良はどういう人なんだろう?
「だってニュース見てると、恐ろしいことしてる人たちっていっぱいいるわけじゃないですか。人を殺してしまったりとか。そういうのを考えれば学校に不良はいなかった。迷惑はかけてたかもしれないけど、人に危害を加える子はいなかったですね」
親が縛らないから、自由に生きてきただけ。悪いことをしているという意識はない。世の中のルールで、ダメと言われていることに素直に従うという発想が、卯月朱美にはなかった。
「でも本来それができるってことがオカシイですよね。そう思いませんか?なんでそんなにみんなね、いうこと聞くってできるんですか?」
勝手気ままな行動をとがめるのは先生だけではなかった。出る杭は打たれる。卯月朱美は女の子グループから仲間はずれにされたこともある。
「やっぱり性格がすごい無敵だったんですよ。生意気で。だから最初はみんな仲良くしてくれるんですけど、だんだん仲間割れするんですよね。で、仲の良かったグループに、一回すごいハブられたんですよ。女の子って怖いですよね。昨日まで仲良かったのに、急に『裏こい』って。でもそこで喧嘩になるわけではなく『どういうつもりー?』みたいな。でも一カ月経ったらまた元通り。今度は別の子がハブられているという。その子の場合は登校拒否になっちゃって、親が学校に言いに来て問題になりましたね。うちは親に言うほど親も暇じゃないんで」
そんな自分の過去を振り返り、卯月朱美はキッパリと言い放つ。
「やっぱね、親は縛りすぎちゃダメですよ。放任過ぎてもダメだけど」
誰にも頼れないということは、それだけたくましく育つということ。さらに母親は、自分の背中を見せることで、子供に強く生きていくことを教えていたようだ。
「うちは借金が多い家だったんですよ。お母さんが電話口で『うるせーバカヤロー!払えねーもんは、払えねーんだよ』とか怒鳴ってたり。あまりに煩いから電話線抜いて寝てたりしましたからね。そんなんだから嫌がらせは多かったですよ。変な手紙がいっぱい来たり、痔のサンプル薬とか英会話の教材が届いたり、自転車もすぐにパンクさせられるし。それでも耐え抜く親ですから強いですよね」
卯月朱美が警察に捕まったとき、母親は驚くわけでもなく、「まあ、そんなときもあるわよね」と、言ったという。まさに、この親にしてこの娘あり。一番身近な人間が冷静でいてくれるというのは、立派な強みになるのだ。
(続く)
Uzuki Akemi x Inbe Kawori★
卯月朱美
林企画所属。2001年2月1日に新宿TSミュージックにてデビュー。女性らしい淑やかな雰囲気とは対照的に、BGMを消して行なわれる扇情的なオナニーベッドは、その大胆さとストリップとは思えぬリアルな演出があいまって多くのファンから支持されている。 撮影=インベカヲリ★
モデル=卯月朱美
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あけ うえぶ
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.02.16更新 |
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