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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第4回「卯月朱美」【4】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=卯月朱美
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第4回は卯月朱美さんを紹介中です!
好きでやってたはずなのに、仕事にしようってなるとできない
だから本当にやりたいことではなかったんでしょうね
だから本当にやりたいことではなかったんでしょうね
夜逃げの後、ストリップへ
理容師時代に貯めたお金はなんと100万弱。部屋を借りて、貯金で食いつなぎ、アルバイトを転々としながら、今度は別の資格を取り始めた。
「着付けの学校に通いました。国家資格とかではないけど、着付けの先生としてやっていける看板は持ってるんです。それから色彩の学校も通ったし、アロマテラピーは基礎科、応用科、研究科にまでいきましたね。あとはメディカルハーブとか。トータルビューティの店を出したいっていう野心があったんですよ」
驚くほどに独立心旺盛。しかし資格を取得した後に、はたと自分の人生について考えてしまったのだという。
「根暗な女なんですよ。経営の本とか読んでたら、考えが変わってきちゃって。そこでやることやったら何なの? 成功したら何? 経営をはじめたら、一生走り続けなきゃいけないじゃないですか。お金がなくても母親みたいに生きてる人はいるし。そんなことを考え始めて、急に冷めちゃったんですよね。アロマも着付けも床屋も、好きでやってたはずなのに、仕事にしようってなるとできない。だから本当にやりたいことではなかったんでしょうね。だからそこで、うぴたんが出てきちゃったんですよ。もっと楽したい! 面倒くさいことは嫌い! 縛られないで好き勝手生きたい!って。そんなときにストリッパーの仕事に辿り着いたんです」
ストリッパーという職業は、好きな衣装を着て、好きな音楽をかけ、好きな踊りができる。何から何までセルフプロデュースできる世界だ。初めてストリップのショーを観たとき、卯月朱美はピンときた。
「出来るか出来ないかで考えたんですよ。当時すごくアクロバティックなポーズを切る姐さんがいて、ステージでバク転してる姿を観たんですね。私は小学生の頃に器械体操を習ってたから、大概のアクロバットってできるんですよ。だから姐さんの姿を見て、『なに?これなら私もできるよ』って。あんまり難しそうだと思わなかったんですよね。アソコを見せるどうこうじゃなくて、まずそこに目がいった」
合理的な判断力で、迷いなしにデビューした。最初は、派手なアクロバットでポーズを切っていた卯月朱美であったが、イメージの違いから路線変更を強いられる。
「お前の雰囲気はピシピシ踊らないで、くにゃくにゃヒラヒラしてるのが似合ってるって、業界関係者やお客さんに言われて。それからアクロバットをショーに入れるのを止めたんですよね」
人からのアドバイスを素直に受け入れ、ヒラヒラのドレスでしなやかに踊った。しかし元々の気性の激しさや、我の強さはそう簡単に変わるものではない。ステージ上で、その性格がまたも炸裂した。
「ステージでも寝てる客とかいると、『お前、むかつくんだよ!』って踊りながら叫んでみたり、缶を蹴ったこともありましたね。ステージに缶を乗っけてる人がいると、笑顔でルンルンって踊りながら出てきて『缶乗っけてんなよ!』ってカン蹴り(笑)。で、その蹴った缶は、隣で一生懸命に手拍子していた違うお客さんに引っかかりました。そういうのを見てるお客さんもいるので、私を嫌いって人もいっぱいいると思う。でもさすがにもう7年もやってるので、最近はそういうことは止めましたけどね(笑)」
怖がるお客さんもいた。他の踊り子さんがしないようなことも、平気でした。
「だから最初、叩かれまくったんですよ。今にして思えばいい勉強になりました」
あっけらかんと言うところが、卯月朱美らしい。肝が据わっているのだ。
(続く)
Uzuki Akemi x Inbe Kawori★
卯月朱美
林企画所属。2001年2月1日に新宿TSミュージックにてデビュー。女性らしい淑やかな雰囲気とは対照的に、BGMを消して行なわれる扇情的なオナニーベッドは、その大胆さとストリップとは思えぬリアルな演出があいまって多くのファンから支持されている。 撮影=インベカヲリ★
モデル=卯月朱美
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あけ うえぶ
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.03.01更新 |
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