DJ Harukichi shouts at the crossing of music and Eros. DJハル吉の脳内性感ミックスアップ! 音楽とエロスの交差点【6】 「Fetish Dreams」 出版:Edition Skylight 文・翻訳=DJハル吉 |
人の数だけフェチはあります。自分の好きなフェチとは? そして他の人が好むフェチとは? スイスの出版社「Edition Skylight」が今年発売した37名の写真家によるフェティッシュ写真集「Fetish Dreams」を中心に、お薦めフェティッシュ作品集を紹介します。「S&Mスナイパー」や「S&MスナイパーEVE」の表紙が大好きな貴方はお見逃しなく!
<< 前回の記事を読む
「Fetish Dreams」 編集・Martin Sigrist 出版・Edition Skylight ISBN-13:978-3-03766-586-2 ISBN-10:3-03766-586-6 Erscheint im Juni 2008/Due June 2008 |
大きさは「S&Mスナイパー」と同じで厚さは約2.5倍、約400ページに400枚を越える美しくエロティックな写真の数々を収めた「Fetish Dreams」。コンパクトなサイズゆえに、37名の写真家それぞれのフェティッシュ・ファンタジーをちょこちょこっと覗き見感覚で楽しめる写真集です。カメラマンの出身地はドイツ、イギリス、フランス、スイス、スペイン、チェコなどが多く、結果としてユーロ・フェティッシュを俯瞰する内容にもなっています。またこの出版社はフェティッシュ写真集とフェティッシュ写真家の宝庫ともなってますので、ぜひ一度サイトを見て下さい。
photo:peter W. Czernich
photo:Volker Diekamp |
photo:Ragnar Gischas |
photo:Karl Louis
衣装はガーター、コルセット、ハイヒールといった定番からガスマスク、ラバースーツ、キャットスーツなどのラテックス系まで、撮影もシンプルなポートレート派から映画のワンシーンのようなシチュエーション派までそれぞれのこだわりが現われています。ラテックス系と言えば、この人Peter W. Czernich(フェティッシュ雑誌「marquis」や、そこからファッションに特化した「marquis style」の編集長)の作品が載ってます。もうヌメヌメ・テカテカ・ピチピチでエロいっす。Peter W. Czernichの新作「VINTAGE DITA」もこのEdition Skyllightから発売されたばかりですね。Edition Skyllightに聞いたところ、その他のお薦めはJean-Paul fours 「My Erotic X-Files」、Philip Cartier 「Plastic Bondage」だそうです。
「VINTAGE DITA」
Peter W. Czernich Hardcover:128 pages Publisher:Edition Skylight(1 Oct 2008) Language English ISBN-10:3037665904 ISBN-13:978-3037665909 Product Dimensions:27 x 21.4 x 1.6 cm |
「My Erotic X-Files」
Jean-Paul fours Hardcover:128 pages Publisher:Edition Skylight; 1 edition(15 April 2005) Language English ISBN-10:3037665572 ISBN-13:978-3037665572 Product Dimensions:21.8 x 16.3 x 1.5 cm |
「Plastic Bondage」 Philip Cartier Hardcover:128 pages Publisher:Edition Skylight(19 Jun 2008) Language English ISBN-10:3037665874 ISBN-13:978-3037665879 Product Dimensions:21.6 x 16.2 x 1.6 cm |
ちなみにPeter W. Czernichの「marquis style」はフェティッシュ写真家市川哲也が経営するラバーセレクトショップ「オルタフェティッシュ」でプレビューできます。
「marquis style」プレビュー |
本書(「Fetish Dreams」)では、スキンヘッドの女性をモデルにする写真家Harald A. Jahn、巨漢女性ばかりを使うGeroge Pitts、或いは局部のアップだけでモデルの顔や容姿は写さない人体静物画的なボディスケープを撮るアーティストなど、モデルの選び方にも写真家の個性が見受けられます。陰毛フェチの写真家Rolf W. Hapkeはこう言います。
俺の考えとしては、いっぺんに全部見えてしまわないほうがより神秘的で、陰毛の三角地帯だけがこの神秘性を高められると思う。だから陰毛を剃らないモデルが好きだ。きれいに剃ったあそこは子供っぽすぎるよ。〜(中略)〜俺にとってアンダヘアーはエロティックだ、以上!――(「Fetish Dreams」p153より)
巨漢女性ばかり撮るGeroge Pittsは「The new erotic photography」にも載っていました。
「The New Erotic Photography」 Taschen Hanson, Dian / Kroll, Eric(ED) Hardcover 19.6 x 27.3 cm, 608 pages, ISBN:978-3-8228-4924-8 Multilingual Edition:German, French, English (c) TASCHEN 2008 |
こちらは14ヶ国82人の写真家による新しいエロスをテーマにした608ページの大著、Very 重〜い。日本からは「ここ友達んちなのー」的直球リアリズムな宮下マキ、現代日本のアングラ童話を淡い色調で撮る村田兼一、スナイパー誌とも関係が深くストイックな男性ヌードを得意とする写真家野村佐紀子、モデルの冷めた目線と昭和の雰囲気が漂う「S&Mスナイパー」編集長渡邊安治等が載っています。
photo:Yasuji Watanabe
話を戻すと、「Fetish Dreams」にはマイナーな写真家が多く、有名なのは上述したPeter W. Czernichと、もう一人ロベール・シュラキ(Robert Chouraqui)ぐらいでしょうか。金属衣装を使ったサイバーゴシックな写真からタンクトップにガーターといったギャル系までオールラウンドなフェティッシュフォトグラファーです。
そういえばミリオンムック「Fetish Mode」にインタビューと作品が載っていましたね。
Fetish Mode―FETICHE ET BIZARRE PHOTOGRAPHE 出版社:ワイレア出版 (2003/08) ISBN-10:4813007643 ISBN-13:978-4813007647 発売日:2003/08 |
現在は絶版のようですが、濃い内容にもかかわらず古本市場で安価にて購入可能ですので、フェティッシュ好きはぜひ入手していただきたい。
「私はいつでも、身体の匿名性というよりも、被写体との親密な関係の上に現われる表情を追求することに専念しています。モデルたちの個人的なセンスは、非常にシンプルなポーズの組み合わせによって表現されています。奇妙なメタルアクセサリーや、わざと無表情な顔は、シンプルなポーズを引き立たせるためなのです」――(「Fetish Mode」p41より)
という感じでざっと紹介してみましたが、いかがだったでしょうか。「Fetish Dreams」や「The new erotic photography」にはプロフィールやサイトも載ってますので、気に入ったアーティストがいればさらに深く知ることが出来るでしょう。
(続く)
DJハル吉:今日の一枚
『Extremum』(CD) Die Form(2000年 Trisol)
フランスのフェティッシュ写真家フィリップ・フィショのバンドDie Form。アルバムジャケットは全て本人が手がけています。ダークなシンセに打ち込みドラムそしてフィリップの写真モデルも務めるエリアーヌ嬢の天空ヴォイスが混ざり合うディスコ・インダストリアル系。ディストーションヴォイスとオペラチックなソプラノがノイズビートやSFサウンドと一体となり、映画『フィフス・エレメント』『ブレードランナー』っぽい荒廃したSF都市の世界観をかもし出しています。デペッシュ・モードやマリリン・マンソンが好きな人にもお薦め。
フェティッシュなクリップはこちら
Die Form「Anode Current」
文・翻訳=DJハル吉
関連記事
「S&Mスナイパー4月号」のフォーラムコーナー扉に写真家市川哲也さんが登場!
ALT-FETISHオリジナルデジタル写真集004「ラバーキャットスーツガールマイ」発売!
関連リンク
出版社「Edition Skylight」
「Fetish Dreams」
DJハル吉 7"インチ専門DJ。得意なジャンル:童謡とノイズ。その他インディーズ翻訳家兼作曲家。曲を演奏してくれるオーケストラ募集中。鳥の唐揚げが大好き、あとラム肉。座右の銘「猫は野良に限る」。 DJハル吉サイト=「峠の地蔵」毎週月曜更新 |
08.10.16更新 |
WEBスナイパー
>
音楽とエロスの交差点