↑ダンスフロアで圧倒的な存在感を放っていた“Dancer Doll”「Rinko」。 |
2007.12.9.Sun
Club Theatic Show & Alamode Night 『Theatic+Alamode 02』review 国内最大級アングライベント 『Theatic+Alamode 02』レビュー!! 文=真白 |
2007年12月9日、日曜日。ほどよく晴れた昼下がり。私、真白はDANCER DOLLとして出演する『Theatic+Alamode 02』の準備に追われておりました。
↑ライブのオープニングでは映像作品を披露し、フロアを沸かせた「Agent§Murder」。 |
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↑美しいダンスパフォーマンスで会場の視線を独り占め!「Malie」。 |
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↑ライブ後もその装いは会場に馴染んでいた「Cross Cradle」。 |
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↑「†13th MOON†」。ライブでの出演を終えて談笑中。 |
年に一度のスペシャルパーティでございます。
そんな素敵イベントに出演者として呼んでいただけるなんて光栄☆
しかし、当日になっても服が決まっていない〜。
わぁ〜ピンチ〜!
出演といっても舞台に上がって何かするわけではなく、出し物と出し物の間のDJタイムにて派手な格好をして会場を盛り上げる役割ですので、その日の衣装がどれだけ素敵かによって、イベントへの貢献度が決まるといっても過言ではないのです。
しかもしかも、フランス人形のような吸血鬼のような街では絶対見かけないド派手で麗しい方々がたっくさんいらっしゃるイベントなんですもの!
絶対、手を抜くわけにはいかない〜。
自室の鏡の前でああでもないこうでもないと自問自答をくりかえしながら衣装を決め、出演者がたくさんいるから楽屋いっぱいだろうな、ヘアメイクは家でしていくかと、お気に入りの黒ボブウィッグをかぶり、ツケマツゲを付けたり、目の周りを黒く塗ったりなどしていたら、いつの間にやらオープンの1時間半前!
埼玉の私の家からイベント会場の田町までは、約1時間半。え、ギリギリじゃん!
街では確実に通行人にドン引きされる衣装をコートで隠し、寒空の下、自転車を走らせる、私(家から駅まではチャリンコです)。
山手線、田町駅。いくつも信号を渡り、曲がり角を行く複雑な道の先に、イベント会場はあります。
私、初めて行ったときは迷いました。二度目も迷いました。三度目も、微妙に……。
駅から会場までバスがスピン運行していますので、私のような方向音痴さんは、それを利用したほうが無難です。
会場前、すでにお客様が並んでいます。おお、ありがたや。
あれ、なんとなく見知った顔が! コルセット職人のPure Oneさんじゃないですか〜。どうもどうも。時間が押しに押しているので、楽屋へ急ぎます。
エレベーターの扉が開くと、そこは異次元でした。
皆さん、華美な衣装と濃厚なヘアメイクで男なのか女なのか人間なのか何なのかよく分からないぞ! ……だが、そこが良い。
夢見心地で楽屋内をフラフラしていると、黒髪ロングの美女がこちらに手を振っていらっしゃる。あ、玉虫さん〜。同じくDANCER DOLLとして出演する玉虫ナオキさんでございます。今日も麗しい。今日も黒い。女王様のようです。踏んでください。
私、急いでコートを脱ぎ、衣装を整えます。
試行錯誤のうえ決めた今日の衣装は、赤いフリルたっぷりのワンピース。
袖は姫袖、スカートはパニエを仕込んでふわっと丸く膨らませます。その上から真っ白なエプロン、こちらもフリルたっぷりです。そして頭に大きなリボンカチューシャを!
胸元に懐中時計型のペンダントをぶら下げれば、赤と白のコントラストが映える、クリスマス風不思議の国のアリスの完成でございます。
念入りにメイクを施していたら、とっくにオープン時間の16:30!を、過ぎてました。
……ごめんなさい。
本日は、会場内全フロアを貸し切っての催しとなっております。
2Fと4Fではそれぞれギグ、パフォーマンスが行なわれており、また合間にもDJが絶えず音楽を流し、装飾過剰かつ見目麗しいダンサーたちが会場を盛り上げちゃいます(ここ、“DANCER DOLL”の出番です)。
6Fでは写真やイラストの展示、ドレスやアクセサリーの販売など。
また、静かな中でゆっくりと会話を楽しめるサロンにもなっています。
↑「もはや説明不要、アングラ界のカリスマアーティスト「泰造 -TAIZO-」。 |
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↑弊誌が誇るフェティッシュフォトグラファーamidacameraのモデルにもなったことのある「口枷屋モイラ」。 |
↑「Rose de Reficul et Guiggles」。“ヴィクトリアンアンダーグラウンド”と銘打たれた世界観は他を寄せ付けない。 |
フェティッシュでちょっぴりダークな写真を撮られる方。写真も素敵なら、ご本人も可愛らしいロリータさんなのです。
そして、以前からサイトを拝見させていただいてひっそりファンだった口枷屋モイラさんを探す。ハッ!いない!ブースはあるのに〜。どこ行っちゃったんだろ〜。まぁ。あとで探そう。
片手で数えられる程度しか知り合いがいなかったので、おとなしく出し物を見ることに。
まずは4F、大島朋恵さんのMC。
臨場感たっぷりなのです。ワクワクしてしまうねぇ!
1組目はRose de Reficul et Guiggles。ブロンドの髪を縦ロールにしたゴージャスなドレスのお姫さま。
全身に包帯を巻き、手足が幼女のように細い女。燕尾服をまとい、シルクハットをかぶった紳士。中世ヨーロッパの貴族の舞踏会のような世界観。
けれど華やかなだけではない。姫が突如乱心し、ぬいぐるみをナイフでズタズタに引き裂き、泣き叫ぶように身悶える。
漆黒のドレスに身を包んだ女は、人形を片手に舞台を右往左往。
舞台の上を風船が舞う。紳士は真紅の花をハサミで切り落とす。賑やかな晩餐は狂乱の宴と化す。
しかし最後には全員、肩を抱き合い、笑顔。ハッピーエンドなのかどうかは、観ている者の心次第。
お次〜、廻天百眼の三人娘、CAYさん、紅日毬子さん、大島朋恵さんによるダンスパフォーマンス。三人ともほっそいぜ……。無駄な肉のない健康的な細さ。羨ましいぜ〜。
首輪やムチなどの小道具を使いSMの要素を取り入れた、しなやかで妖艶なダンス。黒白の衣装に赤いムチが映える。美しい!
動きや表情からストーリーが窺えるので、演劇を観る感覚で楽しめます。
↑全て一点モノという仮面を販売、「Aberrant Corpses」。 |
↑ビクトリアンなモチーフながらコンセプチュアルなアイテムを作り続ける「massaging capsule」。編み上げフェチは要注目! |
↑コケティッシュな佇まいと身体能力の高いダンスが蠱惑的「Rokka」。 |
↑ダンスフロアで妖艶な姿をアピール“Dancer Doll”「HAR. Bloodmore(from THE ROYAL DEAD)」。 |
↑会場内でも異彩の存在感を放っていたDJ「5」。 |
↑サブフロアのVJユニット「映奏組曲〜visualwork〜 」。弊誌のこともご存知で実はアングラ嗜好だとか。 |
↑オーディエンスへの心のこもったMCが印象的だった「marlee」。 |
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↑「虚飾集団廻天百眼」のステージは一瞬にして彼らの世界に引きずり込まれる。 |
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↑メインダンスフロアのVJユニット「コケカキイキイ」。ずば抜けた情報量のなかでの繊細なオペレーションが印象的だった。 |
ボーカル、ギター、プログラミングのデジタルロックバンド。
ボーカルの女の方の赤髪ロングヘアーが素敵。MC中、カツラだと仰っていましたが……。まさか……そんなまさか……(笑)。
来ました廻天百眼!
私、単独公演を観に行くくらい大好きなんだからね〜。
今日ずっと楽しみにしてたんだから〜。
いやしかし、夢中で観ていてあんまりメモ取ってないので、何やってたかほとんど覚えてないですね(笑)。
白襦袢だったり学生帽だったり下駄だったり、追いかけて追いかけられて浴衣脱がされちゃったり。
うん、とにかく和製ゴシック、エロ、ナンセンス満載で満足でした。
最後に鳴らしたクラッカーの火薬の匂いが消えるまでずっと、祭囃子が聞こえていたような気がします。
他にも素敵なライブやパフォーマンスはたくさんありましたが、なにぶん出演者が多く、各フロア内にて同時進行で行なわれているため、全てをきっちり観るのは不可能でした。
残念!
あ! 序盤で書いた口枷屋モイラさんですが、エレベーターでバッタリお会いし、狂喜!
私、モイラさんが口枷(しかもアヒルの)を装着しているにも関わらず話しかけるというKYっぷりを発揮させていただきました。
ごめんなさい(笑)。
でもイベント後に楽屋でゆっくりお話できて嬉しかったです。
サンタの格好でいらっしゃった。
ちっちゃくてね〜細くてね〜顔ちっちゃくてね〜可愛いんだよ〜。
しかしあれです、出演者、お客様に限らず本当に麗しい方が多かったです。
黒ずくめで退廃的な雰囲気のゴシックファッション、あるいはフリル、リボン満載でメルヘンなロリータファッションを基調にした方が多いのですけど、完成度が半端じゃないんですね〜(私が偉そうに言うのもナンですが)。
↑当日のゲストお2人。素敵な装いはまさに異世界の住人のよう。 |
↑さすが国内最大級のアンダーグラウンドフェスというだけあって、大盛況の会場。 |
↑そのいでたちと「SFサイバーパンク」の融合したステージは会場のゲストたちを置き去りにしてしまうほどに先進的。「PSYDOLL」。 |
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↑6Fに展示されていた池田祐美製作の球体間接人形。「虚飾集団廻天百眼」の舞台上にも用いられた。 |
ここまでは当たり前で、その上で皆、それぞれの個性を演出している感じ。
ゴシックだけど和の要素を取り入れていたり、はたまたその逆だったり、赤や青の色鮮やかなウィッグをかぶっていたり、作りが分からないほどゴージャスなドレスをまとっていたり……。
こうゆう素敵な方々を観るだけでも、イベントに参加した価値があると思います。だって、街中で派手な格好の人は見かけるけれど、これだけ完璧な方々を一気に観るって、絶対有り得ませんもの!
現実を逸脱した世界に恍惚を感じずにはいられませんな。中毒性高し、ですよ。
イベントは11時過ぎまで続き、盛りに盛り上がりました。
私、“DANCER DOLL”なのにほとんど踊ってなかった(笑)。
だって、ホール内ところ狭しとみなさん踊ってらっしゃるんだもの〜。それを観ただけで満足してしまったのでした。
終電が早いのでちょっと早めに退散した私。
灰色無地のコートを着込み、外を歩くにはちょっと濃過ぎるアイメイクを隠すため、サングラスを装着。
急に夢から醒めてしまったような、心にぽっかりと穴が開いたような、寂しい気分。
山手線に乗って、よれたスーツのおじさんなんか見た時には、空しさもひとしお。翌日は月曜日。一週間が始まる。
出演者もお客さんも、一部のプロの方々をのぞけば、学校だったり、仕事だったり、アルバイトだったり、ごくごく普通の生活を送っているのだろうなぁ。
『Theatic+Alamode 02』のようなアングラなイベントは、そんな日常からのちょっとした逃避だったり、刺激だったり、冒険だったりするのでしょう。
だって現実なんて退屈だったり憂鬱だったり、楽しいことばかりじゃありませんもの。
ときには学校のテストの点数なんて忘れたい、上司のお小言から解放されたい。世間の目や常識を忘れて、飛びっ切りの美しい夢に溺れたい。
『Theatic+Alamode 02』は、そんな甘美な幻想に魅せられた人間たちの楽園であり、居場所なのです。
文=真白
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真白 ビジネス系専門学校にて、編集・出版を学ぶ。 2007年2月より、趣味で被写体の活動を開始。 自作HPにて、文章、写真を公開。 ほか活動は、ゴシック、フェティッシュ系のイベントに、ダンサーとしての出演など。 赤 裸 々 P a 4 マ й 素 |
07.12.27更新 |
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