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第10章 特殊奴隷・晶【3】

まったく経験のない晶にとって、千尋の舌技は、あまりにも強烈すぎた。直前に一度射精していたにも拘わらず、あっという間に限界が訪れた。

千尋はうれしそうに、自分の腔内に噴出した液体を飲み込み、そして丁寧に舐め上げて、それを綺麗にした。

晶は、荒く息をついていた。信じられないほどの快感だった。自分の手でするオナニーとは全く次元が違う。

それにしても、またあっけなく射精してしまったことが気恥ずかしく、晶は頬を赤くして目を反らせた。千尋の顔が見られない。

「あ、ありがとう……」

とりあえず、それだけつぶやく。

「美味しかったです、晶様」

千尋は、再び晶にブリーフを穿かせ、布団をかける。そして、床に正座した。

「ねぇ、千尋」

しばらくして、晶は話しかける。まだ気恥ずかしくて、顔は見られない。視線は天井に向けている。

「なんでしょうか、晶様」
「千尋は、ずっと奴隷だったの?」
「いいえ。国民奉仕法によって15歳の時に奴隷になりました。そして2年間の奉仕期間が終わった後、自分の意志でこちらの『島』に来ました」
「え、ここは島なの?」
「あっ」

千尋は慌てた。うっかりと余計なことを言ってしまったことに気づく。

「申し訳ありません。今のは聞かなかったことにしていただけますでしょうか」

青い顔になって狼狽する千尋を見ると、晶はそれ以上、追求することが出来なくなった。

「まぁ、いいや。千尋はおれと同じ18歳なんだよね。じゃあ、もう3年もこんな生活を送ってるんだ?」
「はい。そうです」
「奴隷って、誰にでも、あんなこと、するんだろ……?」
「あんなこととは、ご奉仕のことですか?」
「うん」
「ご主人様の命令があれば……」
「もう、何人もの男と、したんだよな」

千尋の表情が暗くなる。

「申し訳ありません。以前のご主人様のことについては、話すことが出来ないんです」
「そうか。ごめん」

晶はベッドの上で千尋に背を向けて、布団を頭からかぶった。

「少し寝るよ」
「はい。では私は洗濯物を出しに行って参りますね」

千尋は、精液で濡れた晶の寝着のズボンとブリーフを抱えると、ドアの前に立った。インターホンを操作する。

「千尋です。洗濯物を出しに行きます」

するとカチリと音がして、ドアのロックが外れた。千尋はベッドに晶がいることを確認して、部屋の外に出た。

「千尋、口を滑らしたな」

廊下にいた男が千尋に声をかけた。千尋はビクっと身体を震わせて怯えた。

男は、まだ若く、晶や千尋と同じくらいの年齢のようだが、印象はまったく違った。ほっそりとした体格は晶と変わらないが、若さゆえの甘さ、ひ弱さは感じさせない。硬質な刃物のような鋭い目をしていた。

「あ、申し訳ありません」

千尋は頭を深々と下げる。この男が怖くてしょうがないようだ。

「まぁ、いい。どうせそのうちわかることだ。それよりも、お前。まだあいつは回復しきってないんだぞ。いきなり二本も抜いたら、身体に差し障りがあるだろうが」

男は笑いながら、そう言ったが、目は笑っていない。ひんやりとした視線で、千尋を見ている。

「も、申し訳ありませんっ」

千尋は、もう今にも泣き出しそうだ。

「あいつに奉仕してやるのはいいが、そこだけは気をつけてくれよ。何しろあいつは、死にかけた人間なんだからな」
「はいっ」
「いいよ、さっさと用事を済ませてこい」
「はい。失礼します」

千尋は逃げるように、廊下を駆けて行った。

男は、ちらりと晶の病室のドアを見てつぶやいた。

「さて、オヤジはこいつをどうする気なんだろう……」


悲鳴と共に金色の長い髪が大きく揺れた。真白な肌に真っ赤な線が刻みつけられている。もう自分では立っていられないようだったが、両腕を天井から鎖で吊るされているために、倒れることも出来ない。

革製の鞭が、また振り下ろされた。

「ヒィッ!」

金髪の女は身体を仰け反らせて呻く。これまでに何度も鞭を受けたことはあったが、こんなにきついのは初めてだった。鋭く重く、身体の芯まで衝撃が響いてくるのだ。

この鞭の使い手の女は、相当の腕の持ち主なんだと、見ているだけでわかる。露出度の高い黒の革のコスチュームを身につけたその女は、美しかった。鞭打たれている金髪の白人女性も相当な美女だったが、鞭使いの女の美しさはどこか人間離れした凄みすらあった。

「それくらいにしておけ、真紀。あまり傷をつけると商品価値が下がる」

背後から声をかけられ、真紀と呼ばれた女は鞭を打つ手を止める。

「はい、ご主人様」

男はソファからゆっくりと立ち上がり、荒く息をついている金髪の女に近づいた。そしていきなり強引に股間へ手を突っ込む。

「ヒッ」

女は苦痛に悲鳴をあげた。男の指が無理矢理肉裂にねじ込まれたからだ。

「ふん。ちっとも濡れていないな。こいつは苦痛には興奮しないタイプか」

真紀が答える。

「調教次第では、なんとかなるとは思いますが、素質的には別のタイプのほうが向いているかもしれません」
「なかなかお前のような逸材はいないもんだな、真紀」
「スピア様に任せたほうがいいでしょう」
「またあいつか。まぁ、貴重な金髪美女だ。慎重に調教するに越したことはないな」

男は再びソファに戻って、ドッカと座り込んだ。真紀は金髪の女の手枷を外し、抱きかかえた。女は意識が朦朧としていた。真紀は女の頭を優しく撫で、囁きかける。

「よく頑張ったわ、エリカ。いい子よ」

そしてキスをする。女は全裸に赤い首輪だけの姿。そして真紀の首にも、同じ赤い首輪が巻き付いていた。

真紀は係員を呼ぶと、金髪の女を医務室へと運ばせた。入れ替わるように、一人の男がこの調教室へ入ってきた。さっき廊下で千尋に話しかけた男だ。

「北尾先生、あの漂流者のことなんですが」

呼ばれた男……北尾は、少し驚いたようだった。

「なんだ、ちょうどお前の話をしてたところだぞ。いつもタイミングのいい奴だな」

しかし、男はとりあわずに話を続ける。

「千尋とのやりとりを見ていたんですが、ちょっと調教師になれそうな素質はなさそうですね」
「まぁ、そうだろうな。もともとそのつもりもなかったがな」
「では、どうするんですか。まさか……」
「あれだけの美形だ。女装の美少年を好む客も少なくないからな。特に東洋人の美少年ともなると、人気は高いようだ。価値はある」
「確かに。しかし、おれはオカマの調教はちょっとごめんですよ。考えるだけでも、ゾッとしますよ」
「そういえば小僧、お前はあの子と同い年か。そりゃあ、余計にイヤかもしれないな。まぁ、尻を使えるようにするのは、男も女も同じじゃないか」

北尾は笑った。男は苦虫を噛み潰した表情になる。

「その小僧というのは、もう止めてくださいよ。おれにもここでの立場というものがあるんですから」
「ははは、悪かったよ、スピア。お前はその年で、ここの調教師のエースなんだからな。大したものだ。おれの目に狂いはなかったということだ」

男……、スピアは苦笑した。北尾は二言目には、すぐその言葉が出てくる。収容所から、引き上げてくれたのは確かに北尾であり、感謝はしているが、こう何度も言われると、さすがにうんざりしてしまう。

「しかし、共和国の人間を、そんな風に調教したことがバレたら、国交的にかなりまずいんじゃないですか?」
「だからきっちりとした調教が必要になるということだ。だいたいナイアガラ号の遭難で生存者がいるとは、共和国の人間で知っている者は誰もいないだろう。あいつは、この世にはいるはずのない人間なんだよ」
「いずれにしても、おれにはオカマの調教は出来ませんよ。そんなこと、できそうな調教師は『島』にはいないんじゃないですかね」
「ふうむ。ならば女にやらせるというのも手かもしれんな。なぁ、真紀」

北尾にいきなり振られて、真紀は一瞬驚いたようだったが、すぐに妖艶な笑顔で答えた。

「ご主人様が、そうおっしゃるのでしたら」


それは別の生き物のようだと晶は思った。つるんとした無毛の股間で、それは妖しく口を開いていた。

「ああ……。そんなに見つめられたら、恥ずかしいです」

千尋は思わず手で顔を覆った。長い奴隷生活で多くの男の目の前にその部分を晒して来た千尋だが、羞恥心は失っていなかった。そして、初めて本物の女性器を見るという晶は、目をキラキラとさせながら、じっとそこを見つけているのだ。好奇心と若い性欲でいっぱいの視線を、開ききった股間に感じていると、千尋は羞恥で身体が熱くなり、同時にとめどなく熱い興奮が溢れてくる。

「す、すごいな。ビショビショになってる」

千尋はベッドの上で、脚を抱えるようにして広げている。晶が、よく見たいと言ったので、そんなポーズを取っているのだ。

「入れていいの?」

晶は無邪気にそんなことを聞く。千尋は顔を真赤にしながら頷く。

「はい。お願いします」

晶は、熱く硬くなっているペニスを、千尋の股間へ近づける。そして先端を、その部分へゆっくりと沈めていった。

「ああっ」
「あっ」

二人は同時に叫んだ。ずぶりずぶりと晶のペニスは千尋の中へ入り込んでいく。

「あ、熱い……」

晶が呻いた。千尋の中は、熱く燃えるようだったのだ。粘膜が晶のペニスにからみつく。それは晶が初めて知る、女の感触だった。

「ち、千尋」

晶は千尋を抱きしめ、唇を合わせた。千尋は積極的に舌をからめてくる。頭と下半身、その両方で千尋とひとつになっているように晶は思った。

セックスとはどうやればいいのか、知識としては分かっているのだが、実際に腰を上手く動かすことが出来ない。ぎこちなかったが、それでも強烈な快感を晶に与えた。

そのうちに千尋が腰を浮かせるようにして、自分で動き始めた。前後に、そして円を描くように。その微妙な動きが、晶のペニスを刺激する。

「あ、あっ……」

不意に、晶が情けない声をあげた。その瞬間にほとばしる。挿入されて、3分ともたなかっただろうか。

しかし、その迸りを膣内で感じて、千尋は最高の歓びにひたり、全身をひくつかせた。膣がキュっと締まり、晶を絞り取る。

すぐに射精してしまったことが恥ずかしかったのか、晶は照れくさそうな表情で千尋を見た。

「はは……。すごいね。女の子って、すごいんだね……」

千尋は晶を抱きしめた。15歳で奴隷となり、処女を奪われてから、多くのセックスを体験してきたが、こんな気持ちになったのは初めてだった。千尋は、命令されないまま、晶にキスをした。

(続く)

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11.04.04更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |