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第13章 女上司・麻奈美【10】

「いいところに来たわね、大原君」

女たちは、美幸に連絡を伝えに来た剛士を見つけると、室内に呼び込んだ。

「ねぇ、ねぇ、大原君は麻奈美のアナル犯したことあるの?」
「いや、僕はまだ前しかないですけど」
「まだってことは、そのうちやりたいと思ってるってこと?」
「そうですね。北畠さんが『麻奈美のアナルは最高だ』なんて言ってるから、ちょっと興味があるんですよね」
「じゃあさ、今、やってみない?」
「え、ここでですか?」

剛士は驚いて女たちの顔を見た。

「そう。ちょうど麻奈美のお尻の中を綺麗にしたところなのよ。今だったら、どんなにズボズボ突っ込んでも、汚れることはないわ」

紗香が自慢気な表情で言う。

「いや、でも、みなさんが見てる前でなんて、ちょっと出来ないですよ」
「えー、見せてよ、大原君。あなたが麻奈美のアナルを犯してるところ、見てみたいな」
「そうそう。この部屋の中では、みんな理性を捨てて楽しむことになってるんでしょ」
「じゃあ、先輩たちも裸になって下さいよ」
「いやよ、恥ずかしいもん」
女たちはゲラゲラと笑う。
「しょうがないなぁ……」

剛士はベルトに手をかけた。四つん這いで床を拭き掃除している麻奈美の白い尻を見ていて、どうしようもなく欲情してしまっていたのだ。自分が麻奈美を相手に出来る順番が回ってくるのは、まだ相当先だ。北畠がことあるごとに麻奈美のアナルがどれだけ気持ちよかったのかを語るのを聞いていて、剛士も次のチャンスには試してみようと思っていたところだった。

女の先輩たちの目の前でそんなことをやるのは確かに恥ずかしかったが、それはそれで刺激的な体験かもしれない。なによりも、少しでも早く麻奈美を相手にできるチャンスを見逃したくなかった。

剛士が一気にブリーフを下ろすと、いきり立ったペニスが飛び出した。最初に麻奈美を相手にした時は、ろくに勃起できなかったのが嘘のようだった。

「あらやだ、けっこうすごいのね」
「へぇ、見かけより逞しいじゃない」

女たちは、剛士の勃起したそれを見て、お思わず唾を飲み込んだ。剛士は少し晴れがましい気分になった。

「ほら、麻奈美。少し湿らせろよ」

剛士が言うと、麻奈美は黙って跪き、それを口に咥えた。丁寧に舌を這わせる。

フェラチオの助けも不要なほどに、剛士のペニスはすでに最大限までふくれあがっている。剛士は麻奈美を床の上で四つん這いにさせて、尻を高く上げさせた。

「あ、クリーム……」

陽太が潤滑クリームを渡そうとする間もなく、剛士はその窄まりに勢いよくペニスを突き立てた。

「ああっ!」

麻奈美の悲鳴が上がる。いくら浣腸と排泄の後とはいえ、いきなり挿入されてはたまらない。引き裂かれそうな痛みに襲われた。しかし、剛士は麻奈美の腰をがっしりと掴み、逃がさない。強引に奥までねじり込んだ。

「ひ、ひいっ」

麻奈美が悲痛な叫びを上げるのを、女たちと剛士は楽しそうに見ている。顔を曇らせているのは陽太だけだ。

「こ、これは確かに、すごい締め付けだ」

剛士が感想を漏らす。

「どう? やっぱり前とは違うの?」
「そうですね。入り口のところの締め付けが強烈です。中のほうはそれほどでもないんですが……。ううむ、これはすごいや」

剛士が腰を動かし、肉棒が菊花から出入りする。粘膜がその度にめくり上がり、窄まりが大きく広がる。

「あっ、あっ、ああっ」

普通に犯される時よりも、甲高い喘ぎ声になっている。それは快感よりも遙かに苦痛のほうが大きそうな声だった。

「へぇ、すごいのねぇ」

女たちは剛士と麻奈美の回りを取り囲んで、接合部を覗き込む。

「うわぁ、お尻の穴があんなに広がってるわよ。いやらしい」
「小さい穴だと思ってたけど、広がるものなのねぇ」
「でも、前のほうがお留守だと、ちょっと寂しそうじゃない?」

美幸がそんなことを言い出す。

「これも使ってみようよ」

用意してあったバイブレーターを取り出す。それは黒人男性のペニスを模したもので、常識外れの大きさだった。

「なにそれ、デカすぎじゃない!」
「さっき道具箱の中で発見したの。これ入れてみようよ」

さすがにこの大きさだ。先端には潤滑クリームを塗る。

「ねぇ、こっちに入れさせてよ、大原君」
「そんなの入るかなぁ……」

剛士は後背位で肛門に挿入したまま、麻奈美の足を掴んで左右に開いて持ち上げた。

「あ、いや……」

まるで幼児にオシッコをさせるようなポーズに麻奈美はされた。大きく広げられた股間には無毛の肉裂が口を開き、その下の窄まりには剛士のペニスが突き刺さっている。

「じゃあ、入れてみようよ」

楽しげに美幸がバイブの先端を麻奈美の肉裂にあてがった。

「あ、あ、大きい……。大きすぎます……」

麻奈美が怯えた声を上げる。あらゆる責めを受けてきた麻奈美でも、その凶器は恐ろしすぎた。しかし、美幸は構わずにそれを押し付ける。メリメリと先端がねじ込まれる。

「ひ、ひいっ!」

ただでさえ巨大なバイブだ。しかも肛門には剛士のペニスが挿入されている。

「あっ、ああっ!」

美幸は力任せにバイブを沈めていく。麻奈美は絶叫した。激痛が全身を貫く。目の前が真っ暗になった。

「あれ、失神しちゃった」

麻奈美は糸の切れた操り人形のように床に倒れ込んだ。

「だらしないわねぇ、しっかりしなさいよ」

女たちは笑った。剛士も笑いながら、それでも腰の動きを止めなかった。


もう限界だった。このままでは麻奈美は壊されてしまう。どう考えてもあと半年も身体がもつわけがない。いや、先に精神が破壊されてしまうだろう。

陽太は意を決した。麻奈美が壊れるのを黙って見ているわけにはいかない。

「北村さん、黙って聞いていて下さい」

陽太は、紗香や剛士たちが去った後、麻奈美の身体を拭くふりをして、顔を耳に近づけ、そっと囁いた。もし隠しカメラやマイクがあって、聞かれてしまったら大変なことになる。

「逃げましょう。これ以上、こんな生活を続けていたら、北村さんの身体がもちません。僕と一緒に、逃げましょう」

その言葉を聞いて、麻奈美はビクっと身体を震わせた。そして視線を陽太から外して、小さい声で答える。

「奉仕期間中の脱走は重罪です。それを手助けした人も同罪になるんですよ」
「僕はもう覚悟は出来ています。方法はいくらでもあります。このまま北村さんが壊れてしまうのを見過ごすほうが、僕にとっては辛いです。海外に逃げましょう。北村さんと一緒なら、どんなところでも耐えられます」

相変わらず麻奈美は視線を宙に向けたままだったが、瞳には涙が浮かんでいた。

「そんなに、私のことを……」
「今すぐというわけには行きませんが、僕が万全を期した脱走計画を練ります。だから、あと少しだけ耐えていて下さい」
「高橋君……」

奴隷と管理者という立場になっても、二人は他人の目のないところでは、かつての上司と新入社員の時と同じく苗字で呼び合っていた。それが麻奈美に残された、唯一のかつての絆だった。

二人はそれから黙ったまま、福利厚生室の片付けをした。陽太の表情は、どこか吹っ切れた明るさがあり、一方で麻奈美は暗い顔をしていた。


陽太は必死で情報を集めた。一番近い外国といえばもちろん日本共和国だ。共和国への亡命というのが、一番現実的ではある。しかし、そうなれば二度と東京へ戻ることはできなくなるだろう。

できればアジアあたりにしばらく潜伏しよう。物価の安い国ならば、なんとか暮らしていけるだけの貯金はある。

問題は移動手段だ。変装をしたとしても、奴隷の証である首輪をしたままでは空港で飛行機に乗ることは不可能だ。ボディチェックの際に、首も見られてしまう。

また公的には否定されているが、首輪にはGPSが内蔵されていて、奉仕庁はそれぞれの奴隷の居場所を把握しているという噂もある。これが本当ならば、脱走など完全に無理だ。

それに街を歩くにしろ、マフラーやコートで隠すことができる真冬ならいざ知らず、温暖な気候の今の季節は、首を露出していなければ怪しまれる。

いずれにせよ、なんとかして首輪を外さなければ、脱走は絵に描いた餅なのだ。

陽太は、あらゆる手段で、奴隷の首輪を解除する方法を探った。しかし入手した情報のいずれもが、都市伝説に近い怪しげなものだった。それもそうだろう。そう簡単に解除できるような首輪では、国民奉仕法の根源が揺るいでしまう。

解除方法を発見することが出来ないままに、時間だけが過ぎていった。ハイライズ社の業績が好調なことと比例するように、社員の麻奈美に対するサディズムも過激化していった。

麻奈美は目に見えて弱っていった。少し休養が必要だと、陽太は佳織に訴えたが、聞いてはもらえなかった。佳織は麻奈美を責め殺す気でいるのかもしれない。

こうなったら、首輪をつけたままでも、ここから連れださなければいけない。そう陽太が考え始めた頃だった。

麻奈美が消えた。仕事で陽太が福利厚生室から離れたほんの一時間ほどの間に、麻奈美はいなくなっていた。

日中で、会社内には社員がたくさんいた。そこで全裸に首輪だけの麻奈美が逃げ出そうとすれば、絶対に誰かの目につくはずだ。

しかし、麻奈美は何の痕跡も残さずに、姿を消してしまった。

いや、ただひとつ、福利厚生室には赤い首輪が落ちていた。見事に解錠された、麻奈美の首輪だった。

「どうして……? どうやって?」

陽太は、その首輪を手にしたまま福利厚生室に佇んでいた。なぜ、麻奈美は自分を残して消えてしまったのか。どう考えても陽太にはわからなかった。

もう一人、ハイライズ社から消えた人間がいた。林原社長だった。自宅からかなりの現金を持って行ったようだ。

林原社長は、かつての愛人であった麻奈美を連れてどこかへ逃げたのだった。

二人は直ちに指名手配されたが、その行方は全くつかめなかった。この事件は大きなニュースとなり、マスコミでも連日報道された。しかし、麻奈美の首輪が解除されていたことだけは緘口令がしかれていた。

元々は天才プログラマーと言われていた林原社長が、その持てる能力の全てを駆使して首輪のハッキングに成功したのだろう。

その事実が公になれば、奉仕庁への信頼が崩壊してしまう。陽太にも警察から口外しないようにと念を押された。

しかし、それから間もなく、ネットに首輪の解除方法が流れ始めた。最初は今までと同じく怪しげなものだと思われたのだが、次第にそれが信頼できる情報なのだと言われるようになった。もちろん、それを試すことは犯罪となるので、おおっぴらに成功したという者はいなかったが。

管理の不行き届きを追求され、陽太は入社したばかりのハイライズを馘首になってしまった。ハイライズ自体が、この事件によりマイナスイメージが拭えず業績を大きく悪化させていた。倒産の噂も度々耳にする。

とりあえず陽太は、コンビニエンスストアのアルバイトをしながら次の就職先を探す日々だ。

しかし、麻奈美の白い裸身のことだけは、いつまでも脳裏を離れることはなかった。

(続く)

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11.12.19更新 | WEBスナイパー  >  赤い首輪
文=小林電人 |